「社会学講座」アーカイブ

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講義一覧

8/31 競馬学概論 「90年代名勝負プレイバック〜“あの日、あの時、あのレース”」(16)
8/29 
演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(8月第5週分)
8/28 社会経済学概論「映画業界の異端児・アルバトロス風雲録」(8)
8/27 ギャンブル社会学特論「フリー雀荘麻雀、ギャンブルとしての期待値の考察」
8/26 犯罪社会学「拝啓、駒木ハヤト様〜夏の困った贈り物」(1)
8/25 社会経済学概論「映画業界の異端児・アルバトロス風雲録(7)」
8/24 競馬学特別講義「目指せ回収率アップ! 馬券学基本講座(4・最終回)」
8/22&23 
演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(8月第4週分)
8/21 社会経済学概論「映画業界の異端児・アルバトロス風雲録(6)」
8/20 ギャンブル社会学特論「雀荘メンバーというお仕事(2)」
8/18 文化人類学「2002年度・フードファイターフリーハンデ・中間レイト(4)〜総括」
8/17 競馬学特別講義「目指せ回収率アップ! 馬券学基本講座(3)」
8/16 教育実習事後指導(教職課程)「教育実習生の内部実態」(10・最終回)」

 

8月31日(土) 競馬学概論
「90年代名勝負プレイバック〜“あの日、あの時、あのレース”(16)」
1992年菊花賞/1着馬:ライスシャワー

珠美:「丸2ヶ月ぶりの競馬学概論ということになりますね、博士」
駒木:「あれ? そんなに間隔が開いてたんだ」。確かに、ここ最近はご無沙汰だったような気がしてたけど……」
珠美:「今月はずっと馬券学のお話でしたし、先月は特編カリキュラムで競馬学自体を実施してませんでしたし。
 ……えーと、6月29日の、宝塚記念に出走した3歳馬の特集以来になりますね」

駒木:「あー、思い出した! …そうそう、宝塚記念の予想をした時に、随分とトンチンカンな内容を喋っちゃったんだった。それで、懺悔企画ということで、宝塚記念に出走した3歳馬についての特集をやったんだよね。そうか、それ以来になるのかぁ」
珠美:「今日採り上げるレースは、博士には大変思い出深いレースとお聴きしていますけれども……?」
駒木:「そうなんだ。僕が一番好きだった馬がミホノブルボンでね。そのブルボンが唯一の敗戦を喫して、しかもシンボリルドルフ以来の3冠を阻止されたという、何とも辛いレースになるんだよね」
珠美:「…分かりました。その辺りも博士に後でお話していただきますね。
 それでは受講生の皆さんにはまず、このレースの出走表をご覧いただきましょう」

第53回菊花賞 京都・3000・芝

馬  名 騎 手
ヤマニンミラクル 河内
メイキングテシオ 大崎
サンキンタツマー 石橋
メイショウセントロ 上籠
ワカサファイヤー 小屋敷
グラールストーン 松永昌
ミホノブルボン 小島貞
ライスシャワー 的場
ランディーバーン 菅谷
10 マチカネタンホイザ 岡部
11 ヘヴンリーヴォイス 田面木
12 キョウエイボーガン 松永幹
13 ヤングライジン 佐藤哲
14 バンブーゲネシス 武豊
15 セキテイリュウオー 田中勝
16 スーパーソブリン 横山典
17 セントライトシチー 南井
18 ダイイチジョイフル 千田

駒木:「菊花賞っていうのは、上位陣以外の出走馬レヴェルは下がりがちなんだけど、この年は特にさびしいねぇ。G1常連と言えるのは、このレースの上位3頭ライスシャワー、ミホノブルボン、マチカネタンホイザ)と、後の天皇賞2着馬・セキテイリュウオーくらいだね。敢えて付け加えるなら、ダート路線で重賞を勝ったバンブーゲネシスは、今ならダートグレード競走でG1常連になっていたかも知れない。
 まぁ、言ってしまえばこのレースはミホノブルボンとライスシャワーのためだけにあったようなレースだね。それ以外の何物でも無い」
珠美:「……と、博士に決め打たれてしまいましたけど(苦笑)、一応ここで人気上位馬について、実績等を紹介させていただきます。菊花賞のレース概要については、3月2日付レジュメ(1994年菊花賞)をご覧下さいませ。
 まず、ダントツの1番人気に推されていたのがミホノブルボン。博士のフェイバリット・ホースですね(笑)。
 ミホノブルボンはここまでデビュー以来7戦7勝。その内5勝が重賞で、朝日杯3歳S(当時)、皐月賞、ダービーと3つのG1レースを制しています
 持ち味は卓越したスピードと、過酷な坂路調教に培われたスタミナを生かしたレースが持ち味で、ここまでのクラシック2冠は2レースとも見事な逃げ切り勝ちでした」

駒木:「ブルボンは逃げ馬なんだけど、決して『逃げないとお話にならない』ってタイプの馬じゃなかった。とにかくスピードの絶対値が違うんだよね。実際、デビュー戦は出遅れてからの追い込み勝ちだし。中京の1000m芝で、上がり3ハロン33秒0だったって言うんだから凄いよね」
珠美:「今で言う2歳馬が上がり33秒0ですか(苦笑)」 駒木:「上がりタイムのレコードだったらしいよ。だからこの馬の場合は、馬ナリで走らせてたらいつの間にかハナに立って逃げ切ってるって感じ。後でも話すけど、この馬の場合は下手にペース配分とか考えるよりも、好き勝手に走らせておいた方が良かったかも知れないね。
 それから、この馬を語る時に欠かせないのが、故・戸山為夫調教師のスパルタ式坂路調教。他の厩舎なら絶対にやらないし、他の馬なら間違いなく潰れていたような激しい調教を施されて、大分後天的な筋肉やスタミナを身につけたみたいだね。当時、ブルボンを担当していた調教助手さんが言ってたけど、『ブルボンにしてみたら、調教よりもレースの方が随分楽だったんじゃないか』って(苦笑)。皐月賞とダービーの間にも、危うくリタイア寸前の猛稽古をしていたって言うから徹底してるね」
珠美:「どうして戸山調教師は、ミホノブルボンにそこまでの猛稽古を施したんでしょうか?」
駒木:「ミホノブルボンというのは、血統的に見て、本質的には中距離もこなせる短距離馬って感じだったんだよね。少なくとも戸山調教師はそう考えていたみたい。
 で、そんな馬が2400mのダービーや3000mの菊花賞で勝つためには、とにかく調教でスタミナを養うしかないと考えたんだろう。生半可な調教で負けるよりも、激しい調教で玉砕した方がまだマシだって思っていたんだと思う。勿論、ブルボンが素質があって、尚かつとんでもなくタフな馬だという事を見抜いた上でのチャレンジだろうけどね。
 戸山調教師は、ブルボンが(旧)4歳になって以来、レースのたびに『これで負けたらブルボンは短距離路線へ向かう』と言っていた。チャンピオンでいながら、いつも崖っぷちで戦っていた。色々な意味で特異な馬だよね。ブルボンって」
珠美:「菊花賞ではダントツの1番人気でしたけど、この時は距離不安云々と騒がれたりはしなかったんですか?
駒木:「距離に関しては2000m皐月賞から『距離が保たない』って言われ続けてたからねぇ(苦笑)。菊花賞の時も一応、言われてはいたけど、散々言われてたダービーを4馬身千切って勝った時点で、“ブルボン距離不安説”のピークは過ぎていたと思う。そうじゃなきゃ、単勝1.5倍のオッズは出てこないよ。ナリタブライアンの時ほどじゃないけど、3冠馬達成濃厚…という感じだったんじゃないかな
珠美:「なるほど、分かりました。それでは次に行きます。2番人気のライスシャワーですね。
 ライスシャワーはこの年のダービー2着馬。秋シーズンには、セントライト記念と京都新聞杯に出走し、共に2着に終わっています。

駒木:「後のG1レース3勝馬も、この時はまだ一介の挑戦者に過ぎないポジションだったかな。
 まぁ、この馬が生粋のステイヤータイプだったと分かっている今なら『無理ないなぁ』と思えるんだけど、とにかくデビュー以来の成績が地味だったんだよね。
 新馬とオープン特別を僅差で押し切った他は、とにかく勝ち味が遅くてねぇ。スプリングSは4着、皐月賞とNHK杯は8着。だからダービーで16番人気だったのもうなずけるってもんだ。
 そのダービーで、熾烈な2着争いを制して、馬連導入後初のダービーで万馬券の立役者になったのが、この馬の出世のきっかけかな。
 それでも秋には当時はまだ条件馬に過ぎなかったレガシーワールドに競り負けたり、京都新聞杯でもブルボンに相手にされなかったりと、どうしてもブルボンとの格の差は否めなかった。菊花賞でも2番人気には推されていたけど、これは他の有力馬がリタイアした影響も強かったね。父リアルシャダイの血でどこまで立ち向かえるか…といったところだったんじゃないかな」
珠美:「3番人気がマチカネタンホイザです。朝日杯4着、ダービー4着という戦歴を経て、秋緒戦には古馬との混合オープン戦・カシオペアSを選択し、そこで2着しての菊花賞挑戦でした」
駒木:「後にナイスネイチャと並び称される“イマイチ君”になるんだけど(苦笑)、もうこの辺りからその片鱗は窺えるよね。この時点までの戦績で、皐月賞の7着を除いた他のレースでは掲示板を外していないんだけど、もうどうにもならないくらい勝ち味が遅かった。
 本来なら3番人気に推されるような戦績じゃないんだけど、ブルボン・ライスシャワー以外の皐月賞・ダービー上位馬が軒並みリタイアか大スランプだったからね。これも致し方なかったんじゃないかな。
 ただ、結果論にはなるけど、この馬は菊花賞の後、3000m以上のG3レースでは無類の強さを発揮したんだ。それを考えると、この3番人気は先物買いだったと言えるかもしれないね」
珠美:「4番人気がスーパーソブリン。主な戦績はセントライト記念の3着くらいしか残っていないんですが……」
駒木:「菊花賞が近付くと出てくる“血統表だけ見たらステイヤー”ってヤツだよ。『スタミナ血統だから3000mの菊花賞では善戦できるはず』とか書かれるタイプの馬。まぁこういうタイプの馬は間違いなくスピード不足でお話にならないんだけど、この時も見事にそうなったね」
珠美:「なるほど…。そして5番人気はヤマニンミラクルです。(旧)3歳時に大活躍した馬で、京成杯3歳S(当時)1着、朝日杯でミホノブルボンとのハナ差2着という成績が残っています。ただ、年が明けてからはスランプ気味で、秋2戦目になった京都新聞杯の3着が最も良い成績ということになります」
駒木:「これほどファンに迷惑かけた馬は無いね(笑)。特にトライアルレースで人気を背負っては惨敗するってパターンは、この頃の競馬を知ってる人間には非常に思い出深いんだよね(苦笑)。まぁ、僕はブルボン派だったから、自然とアンチ・ヤマニンミラクルになったんだけど。
 ……まぁ、私情は抜きにして、結局は早熟って事だったのかなぁ。朝日杯のハナ差も、この馬の善戦というよりは、ブルボンに乗ってた小島貞博騎手の作戦ミスだったというのが定説になっているし」
珠美:「…他に採り上げておかなくてはいけない馬はありますか?」
駒木:「そうだね、挙げるとするなら11番人気になっていたけど、神戸新聞杯を逃げ切りで勝ったキョウエイボーガンかな。京都新聞杯ではブルボンにハナを譲って惨敗してるんだけど、この菊花賞では『一生に一度のクラシックレースで、初めから負けるようなレースをするわけには行かない』ってことで、“逃げ宣言”をしていた。これがレースになって大きく運命を左右する事になる
珠美:「それでは、そのレース映像を観ながら、この菊花賞を振り返ることにしましょう。映像資料をお持ちの方、または入手できる環境にいらっしゃる方は、是非映像と合わせて受講下さいませ。
 ……まずスタートですが、宣言通りキョウエイボーガンが飛び出して、早々と大逃げを打つ格好になりました。ミホノブルボンは無理せず押えて2番手ですが、この時点ではハナを切っているのと同じような感じになっていますね。その後ろも大きく切れて、3番手にメイショウセントロ、さらに差が開いて4番手、5番手にマチカネタンホイザとライスシャワー。非常に縦長の隊列で1周目のホームストレッチを迎えました」

駒木:「キョウエイボーガンは、逃げは打ったけど自分が勝つよりもブルボンに迷惑を掛けない事を最優先にしたような逃げ方だったね(苦笑)。まぁ、この辺りは仕方なかったんじゃないかな。どんなレースをしたって勝ち目が薄かったのは誰の目にも明らかだったから。
 でも結局、いくら気を遣ってもブルボンのレースに綾をつけた事は間違いなかった。まぁそれが競走ってもんだし、仕方ないんだけどね。…珠美ちゃん、話を進めて」
珠美:「……ハイ。ホームストレッチで一旦、キョウエイボーガンとミホノブルボンの差が詰まるんですが、ミホノブルボンもスピードを抑えて2番手のまま。淡々としたペースですが、隊列は縦長で変化の無いまま、2周目3コーナーまで進行します」
駒木:「結果的にはここが勝負の分かれ目だったかな。馬ナリで逃げる事が当たり前だったブルボンが、このスローダウンで引っ掛かってしまったんだ。
 戸山調教師は亡くなるまでずっと、『1周目のホームストレッチでキョウエイボーガンを交わして、ペースを下げずにいれば逃げ切っていたはずだ』って言っていた。
 ただ、これは小島貞博騎手を責める事も出来ないんだよね。当時の長距離戦では、1000m〜2000mまでのラップはペースを下げるのがセオリーだったんだよ。そうしないとスタミナが最後まで保たないと思われていた。だからペースは落ちても、他の馬も差を詰めて来なかったんだ。
 小島貞博騎手もレース後ずっと悩んでた。『あの時、ペースを下げなかったらどうなっていただろうか』ってね。確かにセオリーを曲げるという事は、取り返しのつかない大チョンボに繋がる恐れもあるからねぇ。それをやっと栄冠を掴んだばかりの苦労人ジョッキーに求めるのは酷だったかもしれない。こういう仕事は田原成貴みたいな騎手がやる仕事だろうなぁ。事実、田原はマヤノトップガンに乗った天皇賞・春で、そのセオリーを破って大レコードタイムで優勝してるしね」
珠美:「博士は、もしこの時にミホノブルボンがペースを下げずにレースを進めていたら、勝てたと思われますか?
駒木:「十中八九はイケてたんじゃないかと思うよ。ライスシャワーに勝負所で脚を使わせて、直線前で貯金を貯め込んでいたら、何とか1馬身くらいは残ってたんじゃないかな、と思う。まぁこれはあくまで推論だけどね。
 でも、それも今だから言えることであってね。10年前じゃ無理だったろうなぁ。……じゃあ、話を進めて」
珠美:「ハイ。3コーナーの坂を登って下ったあたりで、後続の集団が一気に差を詰めて来ます。ミホノブルボンもスパートを開始して、直線入口では堂々先頭に立ちました。しかし、その後ろからライスシャワーとマチカネタンホイザも追撃を開始します」
駒木:「この時点でね、『あぁ、もうブルボンは危ない』と観念したよ。
 これまでのレースなら、ブルボンは後続の馬が手綱をしごいてムチが入ってから、悠然と仕掛けに入ってスパートをかけていたんだけど、この時は手応えが悪くなっていたのか、随分と早いスパート開始だった。ライスシャワーとの差も広がらないし、『もうヤバい』な、と」
珠美:「博士の言葉通りにレースはフィニッシュを迎えます。ライスシャワーが残り100mのあたりで単騎先頭に立ち、ミホノブルボンとマチカネタンホイザを振り払います。そしてそのまま、当時のレコードタイムとなる3分5秒0でゴール。第53代菊花賞馬となりました。
 ミホノブルボンは、一時は2着も危ないといった感じでしたが、何とかこれを死守。“準3冠馬”となって菊花賞を終えました」

駒木:「う〜ん、何度見ても悔しいなぁ、このゴールシーンは。
 悔しかったのはJRA関係者もそうだったみたいでね、レース後、誤って『ミホノブルボン3冠達成おめでとう!』っていうバルーンが揚がってしまったりしたらしい(笑)。色々考えてたんだろうなぁ……」
珠美:「なるほど…(苦笑)。それでは時間もありませんし、上位馬のその後について簡単に解説をお願いします」
駒木:「ミホノブルボンは、この後ジャパンカップに向けて調整をされていたんだけど、レース直前になって故障を発症してリタイア。この故障自体は大したものではなかったんだけど、この後に連鎖的に色々な故障が出て来てね。結局は1回も走れないまま引退、種牡馬入りになった。
 種牡馬になってからの活躍があまり聞かれないのは残念だね。多分、これはブルボンが後天的に鍛えられた馬だから遺伝だけで伝える能力には限界があるからだと思うんだけど。
 ライスシャワーは、ご存知の通り、この後2回天皇賞・春を勝って名ステイヤーの仲間入りを果たす。ブルボンやメジロマックイーンといった“善玉”キャラの馬の記録を阻止したってことで、随分“悪役”呼ばわりされていたけどね。
 中距離戦での不甲斐なさはアレだったけれども、長距離戦で勝ちパターンにハマった時の強かったこと、強かったこと。
 しかしこの馬、最後は“善玉”キャラになって、その直後に宝塚記念で故障を発症して安楽死処分になる。こう言っちゃナニだけど、最後まで悪役らしい悪役だったよね。いかにも悪役らしい消え方をした馬だった。
 マチカネタンホイザは、その後は一貫として善戦マンとして競走馬生活を送ってゆく。地味ながらもファンを抱えて幸せな競走生活を送ったんじゃないのかな。……まぁ、4着以下は大きく離されちゃったし、以上かな」
珠美:「ありがとうございました」
駒木:「珠美ちゃんもご苦労様。それでは、また来週の競馬学講座をお楽しみに」

 


 

8月29日(木) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評」(8月第5週分)

 先週のゼミで実施した緊急特集に関しては、各方面から(刺激的なモノを中心に)様々な声を頂きました。
 1週間経って振り返ってみますと、その内容はともかくとして、このゼミの本来の趣旨である「良作・佳作を発掘し、その良い所を多くの人に伝える」という所から大きく逸脱していたと思います。この点は深く反省ですね。
 今後は原点に立ち戻って、自信を持って高評価が出せるような作品を見つけて紹介する事に力を注ぎたいと思います。これからもどうか何卒。

 また、今回から「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年サンデー」の連載作品について、特筆すべき点のあった作品について述べる、「今週号のチェックポイント」を開始します。これにより、連載が進むにつれて段々“味”が出てきた作品についてフォローが出来るようになると思いますし、レビュー作品が少ない新連載の谷間期のゼミをいくらか充実させる事が出来ると思います。
 ただし、先程紹介した当ゼミの趣旨に則って、原則として“良くなって来た作品”だけを紹介しようと思っています。(A評価を付けていた作品を、B+やBに下げなければならないような事情が出てきた場合は別ですが……)

 さらに今週と来週の2回に渡って、「週刊少年ジャンプ」夏季増刊「赤マルジャンプ・2002SUMMER」の全作品レビューを行います。ただし、作品数が多いので、普段のレビューに比べると、かなり簡単な内容になってしまうと思われます。あらかじめご了承下さい。
 (前回の「赤マル」レビューに関しては、5月9日付ゼミのレジュメを参照)

 ……では、ゼミを始めましょう。

 まずは情報なんですが、今週は1つだけ。
 「週刊少年ジャンプ」の今週号(39号)で、正式に連載打ち切りがアナウンスされた『世紀末リーダー伝たけし!』の作者・島袋光年氏ですが、逮捕された件については起訴、そして同じ児童買春の別件容疑2件で再逮捕されました。裁判に向けての証拠固めのため、さらに拘置所(留置所)での取り調べが1ヶ月ほど続く事になりそうです。
 まぁ、裁判が始まってしまえば、事実関係を争わずに島袋氏がワビを入れて即日結審→次の公判で判決(おそらく執行猶予付き懲役刑)…という流れになりそうでありますが。しかし、ここまで大事になってしまったら、どのような形でも現役復帰はかなり難しくなりましたね。どこかで同じ事を言ったかも知れませんが、少なくともギャグ作家としては才能のあった人ですので、残念です。

 ……では、今週のレビューですが、新連載の谷間に入ってしまったため、今回の「ジャンプ」「サンデー」のレビュー対象作は、『──たけし!』打ち切りに伴う代原読み切り1作品しかありません。しかも、その代原を描いた作家さんが、島袋光年氏の猛プッシュでデビューを果たしたという経歴を持つ郷田こうやさん。何というか、凄まじいまでの因縁を感じさせるお話ですね(苦笑)。
 それではまず、この1作品のレビューと、今日から始まります「今週のチェックポイント」を合わせてどうぞ。

 

☆「週刊少年ジャンプ」2002年39号☆

 ◎読み切り『青春忍伝! 毒河童』作画:郷田こうや

 ……というわけで、“しまぶーの忘れ形見”という有り難くない異名を戴く事になりそうな、郷田こうやさんの代原作品レビューです。

 郷田さんは第54回赤塚賞(01年上期)の佳作受賞者で、描いた原稿が代原として本誌に掲載されるのは、これで4回目という事になります。
 当ゼミでも、デビュー2作目の『偉大なる教師』と3作目の『ボウギャクビジン』についてのレビューを実施していますので、興味のある方はそちらもどうぞ。(レビュー詳細については2月27日付、及び4月11日付レジュメを参照)

 さて、今回の『青春忍伝! 毒河童』ですが、まず結論から言ってしまうと、“代原の域は越えているが、連載を前提とする作品としては不満”という微妙なレヴェルのギャグマンガという事になるでしょうか。
 まるっきり寒いギャグばかり…というわけではないですが、かといって多くの読者を何度も笑いに持っていく事は難しい…という、そんなレヴェルの作品です。ネタそのものは悪くないのですが、間の悪さなどが手伝って、完成度が鈍ってしまったのでしょう

 しかし、これを郷田さん本人の過去作品と比較すると、格段の進歩が窺えます。
 まず、絵柄がこれまでの作品に比べて一気に洗練されています。これまでの3作品では、極太線を多用した荒っぽさの残るタッチが目立ったのですが、この作品では個性を残したまま、オーソドックスなペンタッチに近付いていっています。ギャグマンガ家として重要な、キャラのディフォルメ絵も描けるようになって来ていますし、もはや「ジャンプ」系のギャグマンガ家としてはかなり上位の画力と言っても良いでしょう。
 またギャグの持っていき方も、以前の“同パターンネタ一本槍”型から脱皮して、色々なパターンのギャグを適当な密度で次々と繰り出せるようになって来ました。『偉大なる教師』のあたりでは、ギャグに対する迷いらしきものも見られたのですが、この試行錯誤が今になって活きて来ているような気がします。

 ただし、最初に触れたように、ここまでレヴェルアップを果たしても、まだまだ未熟な点も多くありますこれからの課題としては、間の取り方(ページをまたいでオチを見せる…など)の上達、もっとオチ部分にインパクトを持たせる事、そしてギャグのパターンを増やす事…などが挙げられるでしょう。
 その確率としては、現時点では何とも言えませんが、もしもこれらの課題の克服が果たせた場合は、最終的には「サンデー」の椎名高志さんのような名コメディ作家になる可能性もあると思います。郷田さんの更なるレヴェルアップに期待しましょう。

 評価はちょっと甘目かもしれませんが、B+寄りのB。とにかく次回作が楽しみな作家さんです。

◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆

 ◎『アイシールド21』作:稲垣理一郎/画:村田雄介《第3回掲載時の評価:B+

 主人公・セナの視点を通じて、アメフトの基本ルールを読者にさりげなく伝えたポイント、秀逸です。
 ダラダラと試合を引き伸ばさないのも良い傾向ですし、連載5回目にして早くも“化ける”予感がして来ました。少なくとも今回だけならA−評価に値すると思います。

  

☆「週刊少年サンデー」2002年39号☆

◆「サンデー」今週のチェックポイント◆

 ◎『からくりサーカス』作画:藤田和日郎《開講前に連載開始のため、評価未了》

 語弊のある言い方かも知れませんが、相変わらず“人の死なせ方”が抜群に上手いですね。
 ある程度デジタル的に泣かせる話を量産できる才能というのは、異形ながら貴重だと思います。

 ◎『ふぁいとの暁』作画:あおやぎ孝夫《第3回掲載時の評価:B

 やや良化の兆しです。今回みたいに、読者にストレスを与える一方で、少しずつ救いのある話が続けられるようになれば、画風が活きて来るのではないかと。

 ◎『いでじゅう!』作画:モリタイシ《第3回掲載時の評価:A−

 回を追うごとに、どんどん良くなって来ています。レギュラーキャラ4人に、週代わりで準レギュラーキャラを交えていく作戦が功を奏している格好です。
 392〜394ページの辺りは個人的に完璧にツボでした。他の方はどう思われたのか知りたいところです。

 ◎『一番湯のカナタ』作画:椎名高志《第3回掲載時の評価:A−

 正直、ここ最近は息切れ気味だと思っていたんですが、新キャラ・ワネットの登場で一気に形勢逆転! 見事にテコ入れ大成功ですね。
 問題は、主人公・カナタの影が段々薄くなってゆく所なんですが(苦笑)、どうやってそれを克服してゆくか、椎名さんの手腕に期待しましょう。

 

 ……と、いうわけで、以上がレビューと「今週のチェックポイント」でした。

 それでは、これから「赤マルジャンプ」全作品レビュー(前編)です。前回と同様、本誌連載陣のショートギャグは対象外としました。

◆「赤マルジャンプ」完全レビュー(前編)◆

 ◎読み切り『電人タロー』作画:小林ゆき

 本誌連載デビュー作『あっけら貫刃帖』12回打ち切りの憂き目に遭い、一敗地にまみれた小林ゆきさんの復帰作です。
 連載終了からそう間が無かったのですが、少しタッチが変わったようですね。全体的に丁寧になってますし、特に女の子キャラのイメージが『あっけら──』の頃と随分違います。好みが分かれそうな絵柄というのは相変わらずですが、少なくとも悪くはなっていないと言えそうです。
 ただ、ストーリーが小じんまりとまとまり過ぎているのも相変わらずなのが痛いですね。具体的に説明するのが難しいですが、もう少しスケールの大きな話が描けるようになれば良いのですが……。

 評価は微妙ですが、B寄りB+というところでしょうか。

 

 ◎読み切り『アマツキツネ絵巻』作画:海図洋介

 昨年に『犬士ヒムカ』天下一漫画賞佳作を受賞し、本誌デビューを飾った海図洋介さんの1年ぶりの新作となります。
 デビュー当時から随分洗練されていた絵柄の方は、1年経っても健在。少なくとも絵だけ見れば、原作付きの作画担当作家が目指せるレヴェルです。
 ただし、ストーリーの方は、よく練られてはいるのですが、やや詰め込みすぎて中盤辺りでダレてしまうのが難点。特に、話全体のポイントとなる「ユタの筆」のエピソードの印象が随分とボヤけてしまったのは致命傷に近いです。
 もう少しシンプルに、読者に分かって欲しい部分だけ描いておけば、随分と印象が違ったかも知れません。
 評価は絵柄を加味してもBが限界でしょう。


 ◎読み切り『UN★TURBO』作画:吉田真

 第58回手塚賞(99年下期)で準入選を受賞、その後も散発的に「ジャンプ」系雑誌で作品を発表している吉田真さんの新作です。
 絵柄の方は、背景処理があまりにもお粗末ですし、幼いんだか老けてるんだか微妙な上、表情の変化が乏しい人物描写問題点が残っているような気がします。パッと見はそんなに不快感が残らないんですけどねぇ。
 ストーリーは、プロットがしっかり出来ているのか、綺麗にまとまっているようには見えます。ただし、先にストーリーありきで考えてしまったためか、主人公のキャラと行動から一貫性が欠けているのが残念ですね。
 絵柄、ストーリーともパッと見は良いんですが、中身的には今一歩。ちと厳しいかもですが、B−としておきましょう。


 ◎読み切り『40mmアイアン』作画:高野ひろ

 高野ひろさんは、「週刊少年ジャンプ」系の雑誌には初登場となる新人作家さん。恐らく女性作家さんですね。

 の方は、キャリア実質2年(プロフィールより)という事を考えると、線にも無駄が少なくてアマチュア臭さが感じられないのが良い感じです。ただし、表情の描き分けが全くと言って良い程出来ていないので、妙なぎこちなさが残っているような気もします。まぁこの辺りは、これからのキャリアが解決してくれる事でしょう。
 ストーリーは、典型的な悪役が、典型的な善玉に負けるべくして負ける……という、言い方は悪いですが、かなり使い古されたパターンを何のヒネりもなく流用したような感じで、独自色が全く感じられなかったのが非常に残念です。ワンシーンだけでも、ほとんど全ての読者を驚かせたり感動させたりする場面があれば良かったのですが……。
 評価はB−

 
 ◎読み切り『リ・サイクルZ』作画:安藤英

 第63回手塚賞(02年上期)で佳作を受賞、今回が受賞後第一作&デビュー作となる新人・安藤英さんの作品です。
 絵柄は鳥山明&尾田栄一郎両氏の影響が色濃く見られるものの、一応は別モノの画風には仕上がっているようです。ただ、良し悪しは別にして個性がキツい絵柄ではあるので、これを如何に作品に活かしていくのかが、今後の活動ではカギになってくるのではないでしょうか。
 ストーリーは、主人公の体を改造したポイントが、最後の戦闘で伏線になっているなど、“技あり”な部分が見逃せません。ただ、ご都合主義的な面が多々見られるので、今の状態で連載を始めたりすると、短期間でボロが出てしまいそうではあります。また、不必要な設定が多すぎる嫌いもあり、ちょっとセンスが古臭い気がしないでもありません
 評価はB−寄りといったところですね。


 ◎読み切り『TORA TAKE OFF !!』作画:ゆきと

 第62回手塚賞(01年下期)で準入選を受賞したゆきとさんの受賞後第一作&デビュー作という事になります。

 絵柄まだ完成手前という感じ。トビラのダンクシュートシーンなんかは、下手な人には描けないアングルでしょうから、実力不足というわけでは無さそうです。どうやらペンではなくロットリングを使っているようですが、それがプラスになっていないのが問題点でしょう。
 話も地味ながら、テンポ良く進んでいると思います。地区予選1回戦が舞台…というスケールの小ささは否めませんが、まぁ等身大のストーリーというところでコレくらいが丁度良いのかもしれません。
 唯一もったいない点が、主人公・トラが太ったままでスーパープレイを突然連発できるようになった理由付けが曖昧だったという所でしょうか。ここをもう少し丁寧に押えておけば、読者の感情移入度も高まったのではないかと思われます。
 評価は。連載獲得には、もう一押し欲しいところです。

 ◎読み切り『なるほど納得てんこもり !! おバカちん研究所』作画:日の丸ひろし

 第49回赤塚賞(98年下期)で佳作を受賞以来、増刊号や本誌の代原で度々作品を掲載している日の丸ひろしさんのショートギャグ作品です。
 この作品、マンガというよりも企画モノ的なショートギャグ数個によって構成されています。
 中には『ウォーリーを探せ!』(古!)的なオフザケもありますが、これは論外。メインの、お笑い芸人の“いつもここから”や“鉄拳”のような1枚絵+キャプションというギャグも、どうにも消化不良気味で話になりません
 絵柄やタイトルのセンスにも古臭さや世間とのズレも感じますし、どうも将来性も怪しい感じです。相当の意識改革が無ければ、このまま埋もれてしまう作家さんでしょう。評価は久々の

 ……というわけで、今週は目次順に前半の7作品のレビューをお送りしました。残るはまた来週です。

 では、今週のゼミを終わります。また来週この時間に 

 


 

8月28日(水) 社会経済学概論
「映画業界の異端児・アルバトロス風雲録(8)」

 このシリーズも8回目。今のところ、キリよく10回目あたりで終わらせようと思っていますが、こればかりはどうにも分かりません。まぁ、『3×3EYE’S』みたいに14年半も伸ばしたりしませんので、それだけは安心して下さい。
 3回目から脱線して講義名まで変えた人間がこう言うのもアレですが、一応、講義の筋立ては出来てますので、ちゃんとした終わらせ方は出来ると思います。

 ※前回までのレジュメはこちら↓
  第1回第2回(ここまでは競馬の話)第3回第4回第5回第6回第7回(第3回以降は外国映画買い付けの話で、段々変な方向へ流れていきます)

 
 …さて、前回は1998年のアルバトロス映画史をお届けしましたが、今日からは1999年以降の主なアルバトロス作品を紹介してゆきたいと思います。
 前回の最後にも述べましたが、1999年は、アルバトロスにとって久々のヒット作が出た年でもありました。ノストラダムス系作家が“退職金”を全力で稼ごうとしていたのと同時期にヒット作を出すあたりが、いかにもアルバトロスといったところでありましょうか。

 この年のアルバトロス最大のヒット作は、いきなり1月に飛び出します。マイナー映画中心のアルバトロス作品とは言え、ひょっとしたら題名だけでも聞いた事がある受講生の方も多くいらっしゃるかも知れません。
 アルバトロス映画・90年代最大のヒット作、その名も……!

 

 『キラーコンドーム』

 

 ……この映画は、大半の方のご想像の通り、ナニをガブリと噛み千切るコンドームが暴れ回るドイツ映画(またドイツ!)です。男性受講生の方たちは、この設定を聞いた時点でキンタマがキューッっとなるでしょうが、まぁしばらくお付き合い下さいませ。
 ちなみにアメリカの放送批評家協会選定の90年代映画ベスト1『シンドラーのリスト』だったそうですが、90年代のアルバトロス映画ベスト1は、他の誰が何と言おうが、この『キラーコンドーム』であります。なんだか、手塚治虫先生の『ブッダ』『ボボボーボ・ボーボボ』を同列に扱っているような気がしないでもないですが、そこは深く考えず、元気にスルーしてゆきましょう。

 ……さて、この『キラーコンドーム』ですが、妙にスタッフが豪華であるのが特徴的です。
 まずSFX担当には、あの『ネクロマンティック』でドイツ政府指定の危険人物となった、アルバトロス御用達監督のユルグ=ブットゲライト「SFXは、“F”じゃなくて“E”じゃないのか?」…なんて、男子中学生が抱くような素朴な質問が脳裏に浮かびますが、ここも元気良くスルーしましょう。
 そして、この作品のポイントでもある、怪物・キラーコンドームのデザインを担当したのは、なんと『エイリアン』シリーズのエイリアン造型でお馴染みの、H=R=ギーガーでありました。
 ちなみに、そのキラーコンドームはこんな怪物です。↓

 怪物の造型がどうとか言う前に「仕事選べや、オッサン」とツッコミを1つ入れたくなる話なのですが、こうした草野球の試合に松坂大輔が先発するような豪華スタッフによって、『キラーコンドーム』は非常に印象的な作品となる事が出来たのでありました。

 もう題名聞いた時点で大バカ映画確定『キラーコンドーム』でありますが、その内容は意外と真面目なタッチの刑事モノ。ただし、出発点が出発点なので、評論家筋からは「文学座がドリフのコントをやるみたいなもんだ」と酷評されたりしたのですが……。

 舞台はニューヨークのダウンタウン。とあるラブホテルに、大学教授が教え子の女子学生を連れ込むという、非常に羨ましいけしからん場面から話は始まります。
 さすがに大学教授、万が一の事も考えて、ホテル備え付けのコンドームを装着し、いざ…と思ったその時! 辺り一帯にイチモツを食い千切られた教授の悲鳴が響き渡ったのでした。……そしてこの夜、ニューヨークのラブホテルで、同様の痛ましい事件が続発していたのでした。
 警察は「痴話喧嘩の末に、相手の女が噛み切ったんだろう」と断定してテンションの低い捜査を進めますが、その中でただ1人、「これは普通の事件じゃないぞ」と考えた変わり者の刑事・ルイジ=マカロニが独自の捜査を始めます
 現場のホテルで検証を始めるルイジ。しかし、そこで美少年・ビリーに出合うと、たちまち意気投合してベッドイン。そう、ルイジはゲイだったのです。
 こんな行きずりの同性愛関係でも、エイズ予防のためにコンドームは欠かせません。女性向同人誌で言うところの“攻め”役にあたるルイジは、そそくさとコンドームを装着しようとするのですが、まさにその時、ゴムが牙を生やして(ナニに)襲い掛かって来たのでした!
 辛うじて直撃は避けたものの、左のタマをもぎ取られて爆笑問題の田中状態になったルイジは病院送りに。しかし、それにも屈する事無く、退院後も周囲の冷たい視線を無視して孤独な捜査を続けてゆきます。その間も哀れな被害者の数はとどまる事を知りません。
 やがて、ルイジは一匹のキラーコンドームを仕留め、それを鑑識に分析させます。怪物の実態は、有機物の合成体。人為的に作られた凶悪モンスターでした。
 一体、誰がこんな怪物を……? ますます深まる謎。しかしここで事態は急展開。大統領候補がキラーコンドームに襲われて、いよいよ事件は大事に。そして、ルイジの前に現れる、狂信的女性上位主義の尼さんの集団と超巨大キラーコンドーム。愛する人・ビリーを守るため、ルイジ人生最大の闘いが始まろうとしていました──。

 ……とまぁ、ストーリーはこんな感じです。確かに硬派な映画と言えなくもありません。何せ映画全体のテーマは「愛は地球を救う」です。来年辺りにはキラーコンドームが24時間テレビの公式マスコットに指名されてもおかしくありませんモー娘。が笑顔でキラーコンドーム人形を持つ風景が、今から目に浮かびます。

 とにかくこの映画は単館上映としては記録的な大ヒットを記録。しかも薬局で売られてるようなコンドーム箱の形をした変形パンフレット(中にキラーコンドームのグッズ入り。1000円)までバカ売れし、アルバトロスは一気にこれまでの損害を取り戻します。

 やはり時代はバカ映画なのか。そう考えたアルバトロスは続々とバカ映画を日本に送り出します。

 しかし、アルバトロスの道のりはそんなに容易なものではありませんでした……。 (次回へ続く) 

 


 

8月27日(火) ギャンブル社会学特論
「フリー雀荘麻雀、ギャンブルとしての期待値の考察」

駒木:「3週間連続でお送りして来たフリー雀荘関連のギャンブル社会学特論だけど、とりあえず今回で“第一部完”という事にさせてもらうよ」
順子:「人気低迷して打ち切りですか(苦笑)。Live Like Rocket! ですね」
駒木:「いや、そういうわけじゃなくて、とりあえず用意していた題材が尽きただけ。また講義の題材が見つかったらまた、この火曜日に順子ちゃんと講義をする予定だよ」
順子:「そうだったんですね〜。でも、今度はフリー雀荘に関係無い話題でお願いします。内容が内容だけに何だか居心地が悪くて(苦笑)今日の講義内容だって、フリー雀荘にとって一番触れられたくない部分なんですもん」
駒木:「考えとくよ(苦笑)。まぁとりあえず、今回は一蓮托生って事でよろしく頼むね」
順子:「は〜い(苦笑)」
駒木:「さて、今日の講義は、常連さんでも普段はなかなか意識していない、フリー雀荘で打つ麻雀の期待値についての考察をやろうと思うんだ。期待値っていうのは、確率統計的に賭け金の何%が戻ってくるはずなのか…という数値の事だね。まぁこの辺は、競馬学講義を受講している人だったらもう理解してもらってると思うけれども……」
順子:「競馬なら期待値約75%だから、賭け金100円に対して平均75円戻ってくるってお話ですよね?」
駒木:「そうそう。ちなみに麻雀以外のギャンブルの期待値を挙げていくと、宝くじは46.8%(例外あり)、toto(サッカーくじ)が47%(キャリーオーバー時は変動)、公営競技が75%前後。事実上合法のパチンコは97〜98%…といったところらしい。イメージの良いギャンブルほど期待値が悲惨なほど低いっていうのは、いかにもギャンブル後進国・日本らしい話だね(笑)」
順子:「特に50%切ってるギャンブルなんて、詐欺ですね(笑)」
駒木:「まったく(笑)。まぁ、宝くじなんかでも、まだ少額で高額賞金狙いが可能なロト6くらいなら良いんだけど、ナンバーズとかインスタントくじなんかは帝国金融並にエグい商売だろうね。totoも当てようと頑張り出すと、もう勝ち目の無いギャンブルだろうし。
 …今日採り上げるフリー雀荘にしても、さすがにここまでは酷くない……と思う
順子:「『思う』って何ですか、『思う』って(笑)」
駒木:「フリー雀荘の場合、レートとゲーム代によって期待値が変動するからね。特に、最近増えて来た1000点20円とか30円とかの場合、悲惨な事になりそうな気がするし」
順子:「でも、わたしは思うんですけど、1000点20円とか30円のレートで打たれるお客様って、ギャンブルをしているというよりも、ギャンブル気分を味わえるゲームをしている感覚だと思うんですけど……」
駒木:「僕もそう思う。だから、今日は1000点50円以上のレートについて考察してみるつもりだよ」
順子:「分かりました〜」

考察1.点5(1000点50円)フリーの期待値

駒木:「さて、まずは大都市圏のフリー雀荘では最も一般的なレートである、点5においての期待値の考察からだね。
 地方や店によって細かいレートは違うけれども、ここでは首都圏で一般的な“0.5-500−1000”、つまり1000点50円&順位ウマがトップ+1000円、2着+500円、3着−500円、ラス(4着)−1000円……というレートで考えてみる事にしよう。ゲーム代は一応300円で考えるけど、350円とか400円の場合の計算も付け加えるね。
 また、各順位を取る確率だけれど、これも一応は1〜4着をそれぞれ均等に25%ずつ取るという事で考えてみよう。だから、各順位での収入額と支払額の合計を出して、『収入額÷支払額×100=期待値(%)』という公式に当てはめればO.K.
順子:「あと、各順位の点数もバラバラなんですけど……」
駒木:「一番困るのがそれだよね(苦笑)。誰か各順位の平均点数とかのデータを出してくれてたら助かったんだけどねぇ。競馬の平均払戻金とかなら、いくらでもデータがあるんだけど、こればっかりは難しかった。何せ、元々が一応は非合法なギャンブルだから、麻雀は(笑)。
 まぁ、仕方ないから、これは単純に『トップ40000点、2着30000点、3着20000点、4着10000点』って感じでやってみて、これにゲーム代と同じように色々なパターンを組み合わせてみよう
 ……それじゃ、いくよ。点5のフリー雀荘の期待値っていうのはこんな感じになる

点5(0.5-500-1000)、ゲーム代300円の場合

順位 点数 支払額(ゲーム代&負け分) 収入額
(勝ち分)
40000 300円 2500円
30000 300円 500円
20000 1300円 0円
10000 2300円 0円
合計 4200円 3000円
※1着の時は、オカ(トップ賞みたいなもの)20000点分(1000円)を加算して計算。

 期待値=3000÷4200×100
      =約71.43%

※1.ゲーム代350円の場合(支払い総額200円増)
 期待値=3000÷4400×100=約68.18%
※2.ゲーム代400円の場合(支払い総額400円増)
 期待値=3000÷4600×100=約65.22%

※3.1着の点数が50000点、4着0点の場合
 (支払総額、収入総額共に500円増)
 期待値=3500÷4700×100=約74.47%
 (ゲーム代350円なら約71.43%、400円なら約68.63%
※4.1着の点数が30100点、4着19900点の場合
 (支払総額、収入総額共に500円減)
 期待値=2600÷3700×100=約70.27%
 (ゲーム代350円なら約66.67%、400円なら約63.41%

駒木:「……と、こんな具合かな。ゲーム代や点数によって随分と変わってくるけど、大体63.5%弱〜75%強の範囲に落ち着くんじゃないかな」
順子:「競馬とかより少し分が悪いんですか?」
駒木:「そうだね。しかも、麻雀は競馬とかと違って一気に大勝する手段がごく限られてるから、実際には相当に分が悪い。トップ率を30%にまで上げても期待値は90%ソコソコだから、点5麻雀で長期的な利益を計上するのは不可能に近そうだね(苦笑)」
順子:「うわ〜、こんな講義に出てる事をバイト先に知られたら絶対怒られちゃいますよ〜(苦笑)。
 ……あ、でも博士、この計算だと、裏ドラとか赤牌のチップがある場合の計算が入ってませんよ」

駒木:「あ〜、そうだったね。チップを採用している店の標準的なルール(赤3枚で面前時のみ赤牌1つにつきチップ1枚、一発&裏ドラ1枚ごとにチップ1枚/チップ1枚100円)の場合、大体1回の半荘で遣り取りされるチップは、平均1000円には満たないだろうと思う
 これを支払いと収入の総額にそれぞれ1000円を加算して計算してみると、ゲーム代300円の標準パターンで76%台だね。んで、71%〜80%くらいの範囲に落ち着く。ちょっとは上がるけど、まぁそれでも厳しい事には変わりないね。平均程度の技量では、100半荘も打てば間違いなく赤字になってるはず。
 だからまぁ点5の店で打つならば、少なくともゲーム代分はサービス料だと思わないと仕方ないね。フリードリンクとか、可愛い女の子と麻雀打てるとか(笑)」
順子:「えっ? その『可愛い女の子』ってわたしの事ですか?(笑)」
駒木:「(半ばなげやりに)そういう事でいいんじゃないの?」
順子:「うわ、博士、そんな言い方するなんて酷いですよ〜(苦笑)」

考察2.点ピン(1000点100円)の期待値

駒木:「さて、次はちょっと大人向け、点ピンと呼ばれる1000点100円のレートの場合だ。順子ちゃんの働いてる雀荘では、点5と点ピン両方やってるんだよね?」
順子:「そうです。点ピンの方は、腕自慢の学生さんと、40歳過ぎのおじさんたちが中心ですね〜。わたしは負けた時のことが怖くて、点ピン卓に入るのは控えてます(苦笑)」
駒木:「点ピンの場合、点5と違って順位ウマが大きいんだよね。いわゆる“ワン・スリー”と呼ばれる、トップ+3000円、2着+1000円、3着−1000円、ラス−3000円というレートが一般的だね。
 あと、ゲーム代も割と高め。500円くらいが相場で、店によって前後100円くらいの差があるかなって感じだね。
 それと、点ピンの店ではほとんどチップが採用されていて、それも1枚500円っていうのが普通。点5の時に比べて5倍になるから大きいんだ。つまりチップ採用の店だと、通常の計算以外に5000円くらいが動く。トップよりもチップ狙いの方が大事って言われるくらい。だからこれも最初から計算に入れてしまおう
珠美:「そうですねー、点ピン卓で1000円チップが大移動するのを見ていると、何だか頭がクラクラします。『あー、わたしの2時間分の時給が一瞬で〜』みたいな(笑)」
駒木:「現実感出てるなあ(苦笑)。
 ……まぁ、そんな感じでこれも表にして計算してみよう。

点ピン(1.0-1000-3000)、ゲーム代500円の場合

順位 点数 支払額(ゲーム代&負け分) 収入額
(勝ち分)
40000 500円 6000円
30000 500円 1000円
20000 2500円 0円
10000 5500円 0円
チップ総額 5000円 5000円
合計 14000円 12000円
※1着の時は、オカ(トップ賞みたいなもの)20000点分(1000円)を加算して計算。

 期待値=12000÷14000×100
      =約85.71%

  
(チップ無しの場合:77.78%)

※1.ゲーム代400円の場合(支払い総額400円減)
 期待値=12000÷13600×100=約88.24%
※2.ゲーム代600円の場合(支払い総額400円増)
 期待値=12000÷14400×100=約83.33%

※3.1着の点数が50000点、4着0点の場合
 (支払総額、収入総額共に1000円増)
 期待値=13000÷15000×100=約86.67%
 (ゲーム代400円なら約89.04%、600円なら約84.42%
※4.1着の点数が30100点、4着19900点の場合
 (支払総額、収入総額共に1000円減)
 期待値=11000÷13000×100=約84.62%
 (ゲーム代400円なら約87.30%、600円なら約82.09%

順子:「やっぱりレートが上がると、期待値も上がってきますね」
駒木:「そうだね。チップの額が大きいから、ゲーム代や点数による変動も少ないし。まぁ85%前後だと考えたら良いんじゃないのかな?
 で、この場合だと、トップ率が30%を超したらどうにか期待値は100%を上回る。だから店の“エース級”と呼ばれる常連客なんかは、なんとか黒字を計上してるはず。
 ん〜、それでも分が悪いギャンブルには変わりが無いかな。これよりレートが上がると、強い人なら麻雀で食べていけるくらい稼げるはずなんだけど、最近はそういう店は手が後ろに回っちゃうからね(笑)」
順子:「(苦笑)」
駒木:「バブル景気の頃は凄かったらしいけどね。1000点1万円とか、凄いレートで麻雀が打てるマンションとかがあったらしいし」
順子:「『近代麻雀』『むこうぶち』の世界ですね」
駒木:「あの時期に、本当に1億円以上稼いだ人もいたらしいよ。…という事は、逆に億単位で負けた人もいるって事になるけれども……
順子:「あ、背中が煤けそうな話ですね(苦笑)」
駒木:「もう、今の景気じゃあ、そんな話も無いけどね。
 ……と、話が脱線した。まぁフリー雀荘の麻雀って言うのは、期待値的には勝てるギャンブルじゃないんで、あまりのめり込まないようにしてもらいたいね」
順子:「わたしたちは、ほどほどにはのめり込んでもらいたいんですけど(笑)、でも、頻繁にアウト(借金)をするお客様は、ちょっと困ってしまいますね」
駒木:「そうだね。小遣いの範囲で、止め時をちゃんと決めて。それさえ守れば、ちょっとしたお金で、快適な場所で好きな麻雀が打てるんだから楽しいよね」
順子:「最後はフォローしてもらって、ありがとうございます(笑)」
駒木:「まぁね(笑)。でもまぁ、麻雀好きは期待値がいくら悪いと知ったところで関係無いからなぁ(苦笑)。体に悪いの承知でタバコ吸うみたいなものかも知れない」
順子:「そう言えば、麻雀好きの人って、ほとんどタバコ吸いますね(笑)」
駒木:「僕は吸わないけどね。あ、でもだから雀荘通いを止められたのかもね(笑)」
順子:「なんだか誤解を招く表現だと思いますけど、それは……(苦笑)」
駒木:「おっと、失言だったかな。……まぁ、とりあえず今回はこんなところで。皆さんも、フリー雀荘での麻雀は、くれぐれも大ヤケドしないように楽しんでください。では、今日の講義を終わります。順子ちゃんもご苦労様」
順子:「お疲れさまでした〜♪」(この項終わり)

 


 

8月26日(月) 犯罪社会学
「拝啓、駒木ハヤト様〜夏の困った贈り物」(1)

 さて、8月もいよいよラストウィークです。駒木は勤務先の高校から40日以上の無休休暇を貰っていたのですが、様々な事情でロクに遠出も出来ず終い。気が付いたら社会学講座だけに専念していた2002年の夏でありました。
 これを充実していたと解釈すれば良いのか、それとも単なるひきこもりスカタン野郎と解釈すれば良いのかは、未だに髪型をソフトモヒカンにしている男がイケてるかどうか…という位に極めて微妙なところではあります。が、もしもこの夏の講座が受講生の皆さんに喜んで頂けたのであれば、この駒木ハヤト、勿論悔いはありません。

 本来ならば今日辺りから、お約束していた「授業で教えたい世界史」を開講するはずだったのですが、手持ちの資料一式を職場に置きっぱなしでありまして、今月一杯はどうにもなりません。
 ですので、今月一杯は、当社会学講座の原点に立ち戻って、短期や単発の講座をお送りしてお茶を濁そう良い形で秋シーズンに繋げようと思います。どうぞよろしく。

 それでは本題に移ります。

 …え〜、珠美ちゃんの「観察日誌」でもお伝えしたんですが、この夏、駒木の自宅にいきなりYahoo! BB(ブロードバンド)のモデムが宅配されて来るという出来事が起こりました。これはどうやら、Yahoo側から営業活動を委託された代理店が、電話帳から無差別に電話をかけて営業てきたものだと思われます。
 が、それにしても「資料送りますが、よろしいでしょうか?」と訊いておいてモデム一式を送りつけてくるというのは、いささか乱暴としか言いようがありません。巷では「新手の送りつけ商法か?」…などとYahooサイドに非難の声があがったりしましたが、まぁそれも致し方なしでありましょう。
 しかし、これからはおちおち宅急便だからといって、ホイホイと物を受け取れない世の中になって来たと言えます。今回はモデムだったから良かったですが、これがダッチワイフ製造会社の営業活動だったりしたら、全国で多くの家族が崩壊の憂き目に遭ったに違いありません。

 ただ、今回のケースは、とりあえず現物を送りつけた後に確認の電話が入り、そこで「不要だ」と言えば無料で回収しに来てくれるそうなので、こちらとしてはひとまず安心であります。
 まぁこの後、大量の不良在庫を抱えるハメになるであろう代理店が、いつ2回目の不渡りを出すか?…といったあたりが最大の興味のポイントになって来るんですが、これについては帝国データバンクさんにお任せして、当講座ではとりあえずノータッチとさせてもらいます。

 ……それにしても、何故か夏になると駒木宛には様々なモノが届き始めます
 例えば一昨年の夏。この時期を境にして、どこで間違った名簿を買ったのか、当時24歳の駒木相手に大学3回生向けの就職用資料が届くようになりました
 まぁ当時は収入が極めて心細く、仕方無しに中古ゲーム屋で週60時間労働に励んでみたりしていた頃でありましたので、ちょっと本気で就職を考えたりもしたのですが…。
 ちなみにそのゲーム屋、小金持ちのオバハンがオーナー社員が2名という構成だったのですが、その社員が2人ともオーナーの息子でした。
 まず店長が、ゲーセンやパチンコ店のバイトを転々としていた30歳前の長男、そして専門学校出たものの就職先が見つからずに引き篭もっていたエロゲーオタクの三男がチーフという構成でした。ここに勤めた後ならば、日本ハムだろうがダイエーだろうが、どんな会社でも任天堂並の優良企業に思えてしまいます
 さらに店の場所も、マンションの1階という好条件ながらも潰れたコンビニの跡地、しかも隣が流行らないエロビデオ屋…という、何だか香ばしい匂いが漂う所にありました。恐らく、不動産情報誌でババを掴まされたのでありましょう。(雑誌の店舗情報はカスが多いのです)
 結局、開店当初からこの店は、同規模ゲーム店の平均的な売上の1/5以下という記録的な営業不振に見舞われ、その果てに駒木は、「いつか近い内に高校の先生に雇ってもらえるから」という物凄い理由をもって僅か2ヶ月でリストラされたのでありますが、この2ヶ月は駒木の人生の中でも特に印象深いものとして心に刻み付けられております。この件についてはまた、何かの講義で詳しいお話が出来れば…と思います。その店も1年前に数千万の負債を抱えたまま潰れましたから、今更何を言っても平気でしょう。

 そして去年の夏に届いたのは、一通の奇妙な封筒でありました。水色のシンプルな封筒、そして裏面の差出人欄には見知らぬ名前だけ
 異物が入っていないのを確認した後に中を開けると、中からはこんな手紙が……(文面中の伏せ字には、実際には法人・個人等の実名が書いてありました)


突然のお便りお許しください

 私は五十余年にわたる実業界(○○○○/△△△)と教育界(□□学園・◇◇大学他)における経験から、日本の再生再建は、地方の興隆と教育の刷新以外にないと痛感しております。この思いから

新しい兵庫県知事は●●●●君

をおいて他にないと信じます。何卒よろしくお願いします。


 2001年7月

 

 

 

 

 〒×××-×××× 神戸市××区×××-×-×
         ○○ ○○ 
             電話(×××) ×××-××××

 …どうしてこんな手紙が…と言いますと、実は当時、駒木の自宅のある兵庫県では兵庫県知事選挙の真っ最中だったのです。察しの良い受講生の方なら、もうお気づきですね?
 そうです。文中伏せ字の“●●●●”の部分には、とある候補者の実名が記されておりました。

 この手紙を受け取った時に駒木が思った事は、
 「この手紙って、公職選挙法違反じゃないのか?」
 ……でした。腐っても現役教員、思想は若干傾いていても選挙・国政マニアであります。駒木、この手の法律にはちょっとだけ詳しいのです。実際、この手紙は公職選挙法第142条(文書図画の頒布)に抵触していました禁固2年以下、または罰金50万円以下の罰則もあります。
 「とりあえず、手元に置いとくか。後で選挙管理委員会に送りつけたら面白い事になるし
 この手のDMは即ゴミ箱に叩き込む駒木ですが、この手紙は眼の届くところにしばらく放置。とりあえず事態を静観する事に決めたのです。

 そしてそれから5日後の夜──

 駒木の自宅に、突然電話のベルが鳴り響きました。駒木の携帯にならともかく、自宅の電話にこんな夜半の電話は珍しいのですが、その時は何も考えず受話器を取ったものと記憶しています。

 「ハイ、駒木ですが」
 「えーと、こちら兵庫県警なんですけれども……」

 キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !

 いきなり一足飛びの展開に興奮を隠せない駒木は、
 「……あ、ひょっとしたら選挙の事ですか?」
 …と、向こうから訊かれる前から、勝手に供述を始める始末。刑事ドラマの情報屋でももう少し口が堅いだろうと、今から考えると少し恥ずかしい事でありますが、後に刑事さんから「いやー、今回の件で色々な人にあたってみたんだけど、あなたが一番話が早かった」と、変な感謝をされたりしましたので、まぁヨシとしましょう。

 …まぁそういうわけで、要件はまさにその手紙の事でありました。簡単に事情を訊かれた後、翌日に事情聴取も兼ねて、その手紙と封筒を証拠として任意提出してくれないか、という依頼が。もちろん了承。
 もっとも、“任意提出”とはいえ、「提出する事で、あなたはこの選挙違反から無関係であったという証明ができますので」と言われてしまいましたので、任意の挟める余地は全く無かったのですが。

 電話を切った後も駒木のテンションは上がる一方で、勢い余って翌日提出する手紙を全文起こして、パソコンに保存させたりしました(だから今になって手紙が再現できるのです)。まるで遠足前夜の小学1年生のようなハイテンション。自分がいかに野次馬根性にまみれているのか、嫌と言うほど自覚させられたものです。

 

 そして翌日の昼、自宅のインターホンからピンポーンという音が。

 刑事キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !

 刑事VS駒木の激しいトークバトルの幕が切って落とされたのでした── (次回へ続く

 


 

8月25日(日) 社会経済学概論
「映画業界の異端児・アルバトロス風雲録(7)」

 ※前回までのレジュメはこちら↓
  第1回第2回(ここまでは競馬の話)第3回第4回第5回第6回(第3回以降は外国映画買い付けの話で、段々変な方向へ流れていきます)

 先週辺りまで、6本の講義を同時進行させていた当講座ですが、気が付けば毎週やってるゼミと、この社会経済学概論だけになってしまいました。
 まぁ、別に困るというわけでもなくて、むしろ先週までがある意味異常だったわけなんですが、それにしてもこうアッサリとレギュラーが減ってしまうと、何だか一時期の花田勝(元3代目若乃花)か山田邦子になったような気分が味わえて、無意味に侘しかったりしますね、しかし。

 …さて、今日の講義では、もうお馴染み・人畜“有害”映画配給会社・アルバトロスの1998年からの歴史を追いかけていく事になります。相変わらずのスローペースですが、どうか何卒。

 前回までの講義でお送りしたアルバトロスの歴史は、一部の例外を除いて、血みどろスプラッター映画に彩られた、スクリーンの中で流された血と鑑賞者が思わず催したゲロの上に成り立つ歴史でありました。
 何と言いますか、ヒストリーというよりカストリーとか下衆トリーとか言いたくなるようなお話を長々と続けてしまいまして、受講生の方もさぞかし苦痛だったと思われます。

 しかし、今回扱う1998年からのアルバトロス映画は、同じ血を見るホラーでもこれまでのような、死体が腐っていく様子を映して行くような作品とは違います。
 この時期のアルバトロス配給作品は、「怖い」と言うより先に「アホか」と口走りたくなるような、またはシロガネーゼの淑女もM字開脚でゲラゲラ笑ったりするような、いわゆる“バカ映画”と呼ばれるモノにシフトしていくのです。

 …この1998年の春には、今なお記憶に新しい“酒鬼薔薇”少年の連続児童殺傷事件が起こりました。
 以前から当講座を受講している方ならご存知の通り、駒木の自宅並びに駒木研究室は、この事件現場から数キロの地点にありまして、色々と大変な思いを致しました。その事件の爪痕は、“近隣住民は犯人の少年の本名を漏れなく覚えている”というイヤな形でハッキリと残されております。
 そしてこの“酒鬼薔薇事件”は、アルバトロスにも打撃を与えました。なんとこの少年が、アルバトロス初期のスプラッタ映画・『人肉饅頭』『ネクロマンティック』を観ていた事が分かり、その影響でこの時期発売予定だった『ドイツチェーンソー大量虐殺』のビデオ発売が延期されたのでした。まぁこのビデオ、ほとんどの人にとっては、うっかり見つけてしまった親戚の伯父さん夫妻のハメ撮りビデオ級に嫌悪感を抱くようなモノですので、「んなモン、永久にお蔵入りしとけ」みたいなもんでありますが。

 そんな出来事があったせいか、この1998年前半のアルバトロスから、目を引くようなスプラッタやホラーの映画はリリースされませんでした。
 では、開店休業状態だったかというと、そうでもなかったようです。この時期、アルバトロスのもう1つの顔である“洋物ポルノ部門”から『背徳小説 第二章』というイタリアポルノを劇場公開しています。
 この映画、『巨匠』、『巨匠』と言われながら、無名の映画評論家には『尻フェチ』と一刀両断されてしまう映画監督・ティント=ブラス氏の作品でしたが、ソコソコの動員は得られたらしく、この後もアルバトロスは時々イタリアン・エロス映画を公開し、特に冥土の土産を求める爺さんたちの熱烈な支持を受けるようになってゆきます。

 アルバトロスが本格的に活動を再開させたのは6月。ここでついに“バカ映画路線”の幕が上がります。
 この時劇場公開されたドイツ映画(またドイツかよ)『ユナイテッドトラッシュ』は、まさにバカと不条理を映画にしてしまったような作品でありました。しかも監督は『ドイツチェーンソー大量虐殺』と『テロ2000年集中治療室』でお馴染みのクリストフ=シュリンゲンズィーフ氏というから穏やかではありません。

 映画が始まってまず登場するのは、アフリカ某国に国連治安部隊総司令官として派遣された男。彼には妻がいますが、ゲイの上に重度のマゾという、牛フィレ肉のソテーをフォアグラで挟んだような脂っこい性癖の持ち主であるために、自宅で留守を守る妻は処女のままです。
 ところがこの妻が子供を産みます。しかも夫婦は2人とも白人なのに、産まれて来たのは黒人の赤ん坊。しかし、この赤ん坊の出生の秘密について、何にも説明はありません
 しかしこれも序の口…というか前相撲みたいなモンです。それから妻は、日々、ボーイフレンドに鞭打たれては喜んでいる夫の不貞に心悩み、布教活動中であった異教の宣教師と不倫に至ります。異教の神父は絶頂の瞬間叫びます。「アーメン!」……ツッコミを入れるのもはばかられるような不謹慎さ炸裂であります。
 この後、赤ん坊がひょんな事から母親に編み棒を頭に突き刺されて医者にかかるのですが、この医者が何故かマッドサイエンティスト頭部を両性具有の性器に改造されてしまい、興奮するたびに『怪物くん』のテーマソングよろしく、たちまちオツムが(白濁液で)大噴火してしまうようになります

 ……この映画やアルバトロスの事をよく知らないままで、偶然この映画の試写会に紛れ込んでしまった一般の映画評論家の皆さんは、大体ここでギブアップされたようです
 「面白いとかつまらないとか以前に不愉快だ」と、巷の女性が出川哲郎や江頭2:50に抱くような感想を述べておられた方も多かったとか。

 この映画はその後、舞台となっているアフリカ某国の独裁者が、大陸弾道ミサイルを作ってアメリカのホワイトハウスに向けて攻撃するのですが(しかもそのミサイルに何故か自分が乗り込んで特攻)これを阻止すべく人間ミサイルとなって飛んでゆくのが、○ン○型(呼び方は2パターンです)頭の5歳の坊やです。
 ところが映画最大の見せ場となるはずのこのミサイル発射シーン、なんとCG合成やミニチュア映像どころか、なんとパラパラマンガ以下の止め絵で展開されたというから物凄い話です。予算と時間が行き詰まった時のガイナックスのアニメ作品や、「ジャンプ」掲載時の冨樫義博作品も真っ青であります。

 ……というわけでこの映画、全編「ナンジャソラ」精神に支配された、得も言われぬテイストの超バカ映画でした。
 しかも、こういう映画を配給していると、アルバトロスの関係者の頭も毒されてくるのでしょうか、来日予定の主演女優が乳癌発覚でキャンセルとなった時に招いた代役は、何故かヤギとニワトリだったとか。これぞ説明のつかない不条理さ。「俺は不死身だ!」の一言で生き返ってしまう青銅聖闘士・フェニックス一輝の生き様の分かりやすさとは全くの好対照であります。

 ……以上、まさにテツandトモに12時間くらいぶっ通しで「♪なんでだろう〜」と唄わせたいような映画・『ユナイテッドトラッシュ』の説明だったわけですが、さすがにこれでヒットを飛ばすのには無理があったようでした。
 そこで次にアルバトロスは、誰にでも分かりやすい単純明快なバカ・スプラッター映画(あくまで“バカ”が主)を上陸させます。その名も『ラットマン』文字通りのネズミ人間が人を食い殺すだけの映画でありました。

 この映画の“主役”であるラットマンは、ネズミと猿の遺伝子を合成されて作られた…という、確かにどこかで聞いた事があるような設定の怪物です。
 ネズミの本能と猿の知能、さらに爪に人を一撃で殺せる猛毒を持ち、しかも(人を含めた)動物の生肉しか食わない危険な生物・ラットマン。ネズミの本能に従って1年間に2000匹の子を作る事が出来るそうですが、交配相手がいませんから、『ユナイテッドトラッシュ』の世界にでも行かない限りはジュニア誕生は不可能だと思われます。
 で、このラットマン、身長50cm弱の小さい生き物なんですが、なんとこれを生身の人間が──ギネスブックに“世界最小の人間”として名を残しているネルソン=デ=ラ=ロッサ──が演じています。……というか、これがこの映画で一番のウリなのです。それを証拠に、この映画の日本での宣伝キャプションはこんな感じでした。

「CGというニセモノの"恐怖"が幅をきかす今、禁じ手とも呼べる最終兵器が遂にベールをぬぐ!」

「全世界が驚愕!想像を絶する実在の奇形人間が恐怖のドン底にたたき落とす!」

最も残忍でケダモノ以下!この世界に実在する狂暴な生命体が人間を呪い人類に復讐を開始する!」

これは人間なのか?もうこれ以上ない変態指数500%!狂気ホラーの最高峰!」

「世紀末奇形人間誕生!」

 

 ……いくら何でも失礼だろ、と思ってしまうのですが、しかしストーリーを俯瞰してみると、それも致し方なしかと思わせてしまうのが、この映画の凄いところです。
 何しろ、ラットマン誕生のシーンすら無し。さらに、この危険生物は、鎖にも繋がずにボロボロの籠に入れておくだけという、日本の原発並に杜撰な管理状態から当然のように逃亡し、後は1時間以上にわたって、登場人物を不意打ちしては食い殺すだけなのです。とにかくラットマン以外に見るべき物無しこの映画のラットマンは、カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)の石川梨華みたいなものだったのです。

 …というわけで、この映画は諸事情あってか劇場公開も出来ず、レンタルの方でも“トンデモ映画”としてカルトな話題は呼ぶもののヒットには至らずに終わってしまいます
 こうして、意気込みが空回りしたままでアルバトロスの1998年は終わってゆきました。

 『ネクロマンティック』の大ヒット以来、なかなかブレイクに至らないアルバトロス映画。このままアルバトロスはフェードアウトしてしまうのでしょうか?

 いや、そうではありませんでした。
 よりにもよって地球滅亡が囁かれていた1999年、アルバトロスは、久々に局地的な大ブレイクを巻き起こします。

 その様子についてはまた、次回のお楽しみ(?)としたいと思います。それでは、今日の講義を終わります。(次回へ続く

 


 

8月24日(土) 競馬学特別講義
「目指せ回収率アップ! 馬券学基本講座(4・最終回)」

駒木:「2回の予定で始めたこのシリーズも、やっと今日で最終回だね」
珠美:「なんだか、夏休みの夏期講習みたいな感じになっちゃいましたね(笑)」
駒木:「まぁ、秋以降の本格的な競馬シーズンで、少しでも役に立ててもらえば……だね」
珠美:「そうですね。……あ、この2週間、この講義の冒頭でお伝えして来たサンデーサイレンスなんですが…。結局、残念なことになってしまいました…
駒木:「最後は安楽死じゃなくて、衰弱死って形だったみたいだね。でも眠るような最期だったとも聞くし、関係者が最後の最後まで諦めずに頑張ってくれたという証拠だと思いたいね。今は、とにかく日本を競馬の一流国に押し上げてくれた名馬の冥福を祈る事にしよう
珠美:「はい。関係者の皆さん、お疲れさまでした。私からもサンデーサイレンス号のご冥福をお祈り申し上げます──
駒木:「……さて、ここから馬券の話に持っていくのは、ちょっとギャップがある気がするけど、とにかく本題に移ろう。今日も話さなくちゃいけない事がたくさんあるしね」
珠美:「ハイ。それでは、今日は“穴党”──馬連で50倍以上の高配当をアグレッシブに狙いに行くような方のための馬券学基礎講座、そして最後に、馬券の買い方による賭け金の回収期待値についてのお話をしてみたいと思います」
駒木:「それじゃあ、“穴党”向け講座から始めようか。採り上げるテーマは、先週の最後に紹介した通りの3つだよ」

実戦編3:“穴党”向け実戦講座

 3−1:少数の勝ち組と多数の負け組──それが“穴党”の真実

珠美:「これなんですけど、ギャンブルにおいては当たり前のような話ではないんですか?」
駒木:「まぁ、そうなんだけどね。でも、それは仲間内の麻雀カジノのギャンブルみたいに、賭け金に対する胴元の取り分が、ゼロだったり極めて少ないギャンブルだけにあてはまるものでね。賭け金の25%以上がザックリと差し引かれる日本の競馬では、普通は勝ち組は出てこないんだよ。出て来るのは小負け組か、大負け組
珠美:「うー…、夢の無いお話ですねー(苦笑)」
駒木:「でも、条件付で例外なのが、この“穴党”と呼ばれる人たち。レースを絞って、明らかに間違った馬券の買い方をしなければ、確率は高くないんだけど、収支をプラスに持っていける可能性があるんだよ。だから、『回収率90%だろうと負けは負け。こちとら、金儲けるためにギャンブルしとんのじゃい!』って人は、“穴党”以外に生きる道は無いんだよね。
 ただし、これだけは忘れて欲しくないのは、“穴党”っていうのは、リスクがメチャクチャ高いという事。確かに勝ち組が存在する一方で、“本命党”や“中穴党”じゃ考えられないような低回収率の大負けをする可能性があるという事なんだ。これは、今日の講義の後半で、具体的な数字を挙げつつ述べていくので、どうか注目して欲しい。
 “穴党”の醍醐味は、あくまで“少ない投資で多くの利益”であって、負けてもシャレで収まる範囲でチャレンジするのが鉄則だからね。絶対に生活を脅かすような賭けをするのだけは止める事。日本の競馬みたいな、呆れるほど賭ける立場の分が悪いギャンブルで無茶して人生破綻なんて、本当に馬鹿馬鹿しいからね」
珠美:「……と、いう事ですので、どうぞよろしくお願いしますね」

 3−2:「○倍の馬券を当てた」事よりも、「賭け金を○倍に増やした」事に注目しよう!

駒木:「さぁ、ここからは具体的な話に移っていくんだけど、ただ、“穴馬の見つけ方はこうだ!”…みたいな話が出来ないのが辛いよね(苦笑)。…ていうか、それが分かってたら、僕はもっと楽な生活が出来てるはずだからねぇ……」
珠美:「そう言えばそうですよね(笑)。馬券の必勝法の本を書いたと言われる本がたくさんありますけど、よく考えたら本当の必勝法なんてどこにもありませんものね
駒木:「大体、大穴馬券に繋がるような穴馬っていうのは、普通、常識から考えたら実力が明らかに足りないような馬だからね。その実力差を覆す僅かな可能性があるような馬──例えば、ごく限られた条件に限って信じられないような好走をする馬──を見つけて、さらにその僅かな可能性が実現する事に賭ける。これが“穴党”のスタイルなわけだからね。
 そんなモノにマニュアルなんて作りようが無いし、もうこれは、自分なりのオリジナルな穴馬の見つけ方を追求してもらうしかない。僕が出来るのは、ほんの少しのお手伝いに過ぎないんだよねぇ」 
珠美
:「確かに、穴馬券の当て方なんて、説明できませんものね
駒木:「実力馬が凡走するケース…とかなら、いくらかは説明できるんだけどね。でも、その逆は難しいんだな。
 ……と、話が横道に逸れた。“『○倍の馬券を当てた』事よりも、『賭け金を○倍に増やした』事に注目しよう!”…というテーマに話を戻そう。
 これはね、よく“穴党”の人が陥りがちな事なんだけれども、万馬券、つまり100倍以上の配当のある馬券を的中させると、『とんでもない額を儲けた!』って感覚が先走っちゃって、本当はどれくらい儲けたのかって事が頭からすっ飛んじゃうんだよね(苦笑)。
 ほら、万馬券当てた人って、『150倍の馬券当てたぞー!』とは言うけど、『万馬券当てて、賭け金を30倍にしたぞー』とは普通言わないじゃない」
珠美:「あー、そういえば……」
駒木:「よほど腹の据わった“穴党”ギャンブラーじゃない限り、万馬券になる組み合わせを中心に馬券買ったりしないはずなんだよね。大体、30〜50倍くらいの馬券を多目の額で買って、万馬券は100円台の少額馬券で押えるって人が多いと思うんだよ。それか、ボックスや総流し馬券で“引っ掛かる”って感じ。
 …でね、“穴党”の人に多いと思われる買い方で説明すると、中心となる組み合わせを1000円で3点、それからちょっと当たる可能性の低いと思われる組み合わせを500円で2点、そして万馬券狙いで200円を3点。これで買った馬券の合計は…」
珠美:「4600円ですね」
駒木:「で、200円の馬券の内、150倍の馬券が当たったとする。払戻金の総額は?
珠美:「30000円…ですか」
駒木:「馬券自体は150倍だけど、儲けは賭け金総額の何倍になる?
珠美:「えーと、ちょっと待ってくださいね…(電卓を叩いて)、え? 約6.5倍ですか?」
駒木:「そう。大儲けしたようで、実はそれだけしか賭け金は増えてないんだよ。これじゃ、“中穴党”の人が3点均等買いで20倍の中穴馬券を当てるよりも分が悪くなっちゃうんだよね(苦笑)。
 これが例えば、150倍の馬券を500円買っていたとしよう。でも、それでも75000円にしかならない。確かに7万円以上儲けてるし、とんでもない大ホームランに見えるけど、4600円に大しての倍率は?」
珠美:「75000、割る、4600…と。…約16.3倍ですね」
駒木:「つまりは16レース分強の賭け金というわけだね。……こんなの、2〜3日馬券が全く当たらない日があったら、あっという間に溶けちゃうよ。中央競馬のスケジュールで言うと1週間か2週間だ」
珠美:「あらら…それじゃ、せっかく万馬券当てたのに、意味が無くなっちゃいますね」
駒木:「そうなんだ。“得した気分”は味わえるけど、得はしてないんだよね(苦笑)。で、気分だけが先行してて、気が付かないうちに負けが込んでいる。怖いんだ、こういうのが。
 さっき、『8点買いの押さえで150倍の万馬券的中』『3点均等買いで20倍的中』なら後者の方が上だって話したよね。で、この2つのケース、どっちが実現するのが簡単だと思う?
珠美:「えーと、3点で20倍の方がまだ簡単だと……」
駒木:「僕もそう思う。そんなに簡単に万馬券が当たるなら苦労しないよ。
 …つまり、万馬券当てても賭け金が10倍前後になるような買い方をしている人は、“気分だけの穴党”であって、本当の“穴党”じゃないって事なんだ。勝ち組に回れるような“穴党”になりたいのなら、賭け金がせめて30〜40倍になるような買い方をしなくちゃね。」
珠美:「でもそれって、大変そうですね…」
駒木:「大変だね(苦笑)。まぁ、そう簡単にギャンブルでは勝たせてもらえないって事だよね。
 これでもし、『そんなの出来ないよ。俺はチョイ負けで良いや』…って言うんなら、悪い事は言わない。今すぐ“中穴党”に鞍替えするべきだね」


 3−3: 『穴馬券は当てに行くな。儲けにいけ』

駒木:「……と、いうわけで、さっきのテーマからこう繋がって来るわけ。賭け金を何十倍にも増やそうと思ったら、何点も馬券を買ってちゃ間に合わない
珠美:「“穴党”の人も点数を絞っていかなくちゃいけないってことですか…」
駒木:「そういう事。だって、元々当たる方が珍しいから穴馬券になるんだよ。それを毎レース当てようとして、買い目を5点も10点も増やしていくのは、よく考えたら矛盾してるよね。
 だから、60倍位の馬券を2点買いとか、万馬券必至の軸馬から3点買いとか、そういう買い方が必要になって来るよね。1回当たったら、1ヶ月くらい的中が無くても大丈夫…みたいな買い方
珠美:「うわー、大変ですー(苦笑)」
駒木:「こういう時に馬単が役に立つ。『これだ!』っていう穴馬を頭(1着)に指定してしまえば、ヒモ(2着)はある程度上位人気の馬でもノルマは十分達成できるよ。その代わり、“ウラ”(1、2着が逆の馬券)なんか買っちゃいけないよ。そういう当てようってスケベ心が天敵なんだからね(苦笑)。勝ち組を目指す“穴党”の人は、とにかく人気薄を軸にして馬単勝負!
珠美:「それを考えると、馬単の導入というのは有り難いんですね」
駒木:「そうだね。“何週間かに1回、たまたま当たった時に儲かる”って事を前提に考えると、これほど効果的な馬券は無い。的中を第一に考えた時は、これほど厄介な馬券も無いんだけどね(笑)。
 まぁ本当なら、三連複とか、南関東公営で導入されてる三連単が一番お得ではあるんだけどさ。でもそれだと『半年に1度当たれば大儲け』になっちゃうからね(苦笑)。そんなに人間って気長な生き物じゃないと思うから」
珠美:「(苦笑)」
駒木:「まぁ、そういうわけで、“穴党”を選ぼうって人は、そういう覚悟を持って競馬に挑んで欲しい。“気分だけ穴党”っていうのは、儲からない割に賭け金がかさんで行くっていう、ギャンブルでは一番危ないパターンだからね。
 恐らく、『お馬で人生アウト』になる人は、馬券の基礎も知らないのに大金を突っ込む“本命党”か、この“気分だけ穴党”のどちらかだと思うんだ。これらのタイプの人が、お金に行き詰まって、これまで負けた分を取り戻そうとして、間違った賭け方のままで更に大金をぶち込むようになったら、もうオシマイ。後は自殺か犯罪者か……。
 そういう事にならないように、釘をさしておくね」
珠美:「ま、この講座で他人の意見を聴いてみようって思われた受講生の方たちなら安心だと思いますけど♪」
駒木:「ん、そうだね」

 

 実戦編4:確率論から見た多点数買いの危険と“本命党”の限界

駒木:「……というわけで、いよいよこのシリーズも最後の講義になるね。
 ここでは、これまでたびたび述べてきた、馬券の買い目を絞るの大切さや、“本命党”の回収率の限界、それから勝ちに行くためなら穴馬券がいかに大事か…という事について話してみようと思う。」
珠美:「えーと、まず『買い目を絞る』というのは、“本命党”にしろ“穴党”にしろ、2〜3点以内に留めておかないと、高い回収率は期待できないというお話でしたね」
駒木:「そう。馬連の4頭6点ボックスとか、5頭10点ボックスとかよく言われるけれども、回収率の観点から考えると、実はこんなのは問題外に近いんだよ。多くの人間から均等にお金をむしり取ろうとする、JRAの陰謀みたいなもんだよ(笑)」
珠美:「それから『“本命党”の限界』というのは、“本命党”の買い方だと、どうしても回収率は80%程度が限界になってしまうという事、そして『勝つためには穴馬券が大事』というのは、今の競馬のシステムでは極端な穴狙いが、黒字達成のための唯一の道筋、ということでしたね」
駒木:「そういうことだね。本命狙いに徹する限り、かなりレースを厳選して、正しい馬券の買い方を徹底しても、回収率は80%台がやっと。90%に乗るのはかなり難しい。穴馬券については今日の前半で述べた通りだね。
 ……で、これらの事は、ほとんどが確率統計の話で説明できる。数字が全てを物語ってくれるんだね」
珠美:「それでは早速、数字の話をお願いします。私も楽しみです」
駒木:「じゃあ、始めるよ。……まずね、日本の馬券のように、ほぼ一定の期待値──胴元(JRAなど)に収められる額を差し引いて、馬券を買う側に戻ってくる賭け金の割合──が決まっているギャンブルの場合、非常に長い目で見たら、収支は必ずこの期待値に収束されてゆく。日本の競馬で言えば75%弱だね。
 これを『大数の法則』と言って、1回ごと試行の結果を予想するのは困難だけど、充分な回数の試行がなされた場合、その総合的な結果は、完全に確率から予想できる…って事さ。ちょっと難しいかな?」
珠美:「えーと、ちょっと待ってください。それじゃあ、どんな買い方をしても、同じ事になっちゃいませんか? 何回も馬券を買えば、回収率は75%に近付いていくんでしょう?」
駒木:「まぁ、何十年、何百年とやってれば、あるいはそうなるかもしれない。でも、1年単位とか数年単位では、ちょっと話が違ってくるんだ
 難しい話は省略するけど、実はね、馬券の買い方によって、この『大数の法則』に支配されるまでのスピードが随分と違って来るんだよ。つまり誤魔化しが効くって事」
珠美:「誤魔化しですか(笑)」
駒木:「確率は本来、絶対的なものだからね。誤魔化すくらいしか為す術は無いんだよ。
 ……でね、『大数の法則』に一番支配されやすい馬券の買い方というのが、“的中確率を上げる替わりに、儲かる額を減らす買い方”なんだよ。要は、的中率の高い本命狙いに徹したり、的中率を上げるためにバンバン買い目を増やしていくという事
 ……ここで話が繋がったでしょ?」
珠美:「あー、なるほど。つまり、買い目を増やすな、本命ねらいは止めようっていうのは、『大数の法則』から逃れるための努力なんですね」
駒木:「そういうわけ。まぁ、それ以外にも理由はあるんだけど、とりあえずそれは置いておこう。
 ……例えば、珠美ちゃんとかだと、次に挙げるような馬券の買い方をよくしてるんじゃないかな? 本命馬券で賭け金を確保して、中穴馬券で儲けを狙う買い方

 本命〜中穴サイドの4頭の馬連ボックス買い
(100円×6点、計600円)

 6.0倍(100円)→当たれば600円(±0円)
 6.0倍(100円)→当たれば600円(±0円)
 7.4倍(100円)→当たれば740円(+140円)
14.8倍(100円)→当たれば1480円(+880円)
24.7倍(100円)→当たれば2470円(+1870円)
37.0倍(100円)→当たれば3700円(+3100円) 

珠美:「……あ、ありますねー」
駒木:「馬券の成績が酷く悪かった頃の僕の買い方と同じなんだけど(苦笑)。この買い方ってね、とても的中率が高そうに感じるんだよ。本命も中穴も押えているし、万全に思えちゃう。でもね、期待値をセオリー通り約75%と仮定した場合、的中率は45%にしかならない
珠美:「え?」
駒木:「しかも、詳しい計算式は省略するけど、馬券が当たった場合の平均配当は991円にしかならない。つまり、24倍とか37倍とかの馬券で儲けるつもりでいても、実のところは的中率45%で賭け金を約1.65倍にしようとしているに過ぎない。これじゃ、馬連じゃなくて複勝だ(苦笑)」
珠美:「えー! そんなに割に合わないんですか?」
駒木:「合わないねえ。もっとショッキングな数字を教えてあげようか? この“的中率45%で賭け金1.65倍”を目指す買い方を500レース続けたとして、黒字になる確率はどのくらいだと思う?」
珠美:「えーと、0.1%くらい、ですか?(汗)」
駒木:「そんなにあったら苦労しないよ(苦笑)。正解は、約0.00000000018%。ざっと考えて55億人に1人の割合だ」
珠美:「…………(絶句)」
駒木:「これでも手加減してるんだよ。本当なら500レース分なんて、確率統計の試行回数から考えると少な過ぎるくらいなんだ。
 その代わり、この買い方だと、極端な額を負けるという事も少ないんだけどね。ほぼ全ての人が回収率70%台に落ち着く計算になる
珠美:「えーと、博士、私の回収率はもっと低いんですけど……(苦笑)」
駒木:「それは、確率統計からちょっと外れた話になる。
 今は全ての組み合わせの期待値を75%で計算したけれど、実際の競馬はもっと複雑だからね。馬の強さに対してオッズが低すぎる状態になったり、その逆もある。だから、人気が先行している1番人気の馬から馬券を買ったりすると、期待値はもっと下がるんだよ。
 それに珠美ちゃんはレースを絞らないでしょ? そうすると、期待値が75%よりも随分低い、割に合わない馬券も買わされてるはずなんだ。ほら、あるだろ? 『いくら買っても当たる気がしない馬券』とか。レースを絞っていると、そういう馬券を買わないで済むから、実質期待値はもっと上がるんだけどね。
 …珠美ちゃんの場合、さっきの買い方をしても的中率は期待値通りの45%に達していないんじゃないかな、と思うんだよ。45%って言ったら、ほぼ2レースに1度当たる計算だ。1日12レース全部買ってるなら、いつも5〜6レースは当たってないといけない」
珠美:「そんなに当たってませーん(苦笑)」
駒木:「じゃあ例えば、的中率が45%じゃなくて、37.5%だと仮定すると、回収率は60%前後に収束される事になる。75%に届く確率なんて0.1%程度。珠美ちゃんの場合、今年はスランプ状態みたいだから、まぁ60%をちょっと切っててもおかしくはないね」
珠美:「じゃあ、レースを絞らないといけませんね」
駒木:「まずはね。でも、こんな6点買いだと、いくら的中率を上げても限界がありそうだ。この買い方で、例えば的中率を何とか50%に上げたとしても、回収率90%を達成できる確率は2%余り。大体80%台前半で限界がやってくるね。普通に馬券を買ってて、6点買いで的中率50%なんて夢の数字だよ。それでもこの始末だもの」
珠美:「なるほど…だからもっと効率の良い買い方をしなくちゃダメってことですね」
駒木:「そう。だから点数を絞って、的中率を少し下げる代わりに、儲ける額を増やす。まぁそれでも、本命中心の買い方をしている限り、回収率90%は至難の業だと思うけどね。オッズを見れば分かるけど、本命サイドの馬券って不利なオッズになり易いしさ」
珠美:「そこで“中穴党”へって話なんですね」
駒木:「うん。これは確率じゃなくて僕の経験に基づく話だから信頼度はイマイチなんだけども(苦笑)。
 実は、この講義で紹介した“中穴党”の買い方っていうのは、本来なら“的中率25%強で、当たった場合は賭け金の3倍弱の回収が期待できる”って買い方なんだけど、これにデータの読み方や展開予想なんかの馬券の基本をマスターして、さらに1日3〜5レース程度に絞って狙いを定めたら、的中率は30%以上にまで上げることが可能なんだ。この場合、回収率は90%以上が期待できるし、的中率を33%まで上げる事が出来たら、ほとんどプラマイゼロだろうけどトータル黒字まで期待できる
 この謎を解明するには、非常にややこしいデータ分析が必要になって来るだろうけど、とにかく“中穴党”の買い方は、馬券の基本さえマスターすれば一番健全なギャンブルになり得ると思ってくれて良いよ。まぁ、確率の話じゃないから信用されなくても仕方ないけどね(苦笑)」
珠美:「……では最後に“穴党”の方たちの期待値についてお話してください」
駒木:「これも数字を出せば一目瞭然だと思うから、そうするね。
 ここでは“的中率1.5%で、当たった場合は賭け金の49.4倍が望める”というパターンの賭け方を500回繰り返すとするね。これも期待値は約75%で固定されているよ。
 この場合、トータル黒字になる確率は、なんと13.61%にもなる。10人に1人強だね。さすがに期待値75%の状態で倍以上の収益を求めようとすると苦しいけれども、さっきの55億人に1人と比べると雲泥の差だよね」
珠美:「全然違いますねー」
駒木:「だから、これが『大数の法則』を誤魔化す方法なわけ。穴狙いは偉大なり、なんだよ。
 ただし、やっぱり危険も大きい。“本命党”や“中穴党”では考えられないような大負けだって考えられるからね。この買い方の場合、的中率が1.5%から1%に落っこちただけで、全体の4割以上の人が回収率50%を割ることになるちょっとしたスランプが命取りになるんだよね。その分、少しでも的中率が上がれば儲けもデカいんだけど、こちらの方はどうだろう? 僕は“穴党”の人間じゃないからよく分からないけど、賭け金を50倍にする馬券を当てる確率を1.5%から2.5%(大抵の人が楽々黒字計上できる数字)にするのは、かなり難しそうな気がするしなぁ…」
珠美:「私には真似できそうに無いですね(苦笑)」
駒木:「僕にも無理(笑)。特に僕は、セミプロの馬券師が絶好調から崩れていって、行方不明になった様子を見ているからね(苦笑)。
 ……最後に、戒めも兼ねて『気分だけ穴党』の人の馬券についても話をしておこう。
 このタイプの人たちはこんな馬券を買うんだったよね」

穴狙いの変形8点買い(賭け金計4600円)

37.0倍(1000円)→37000円(+32400円)
37.0倍(1000円)→37000円(+32400円)
49.3倍(1000円)→49300円(+44700円)
73.9倍(500円)→36950円(+32350円)
73.9倍(500円)→36950円(+32350円)
147.7倍(200円)→29540円(+24940円)
147.7倍(200円)→29540円(+24940円)
295.3倍(200円)→59060円(+54460円)

駒木:「……この場合、期待値75%で固定すると、的中率7.75%、的中の時は賭け金を9.41倍させる事になる。これだけ穴狙いしてるのに、結局10倍に届かないんだよね(苦笑)。
 で、この買い方を500回繰り返すと、黒字になる確率は1%に満たないし、回収率90%に乗る確率も10%未満。逆に回収率60%を切る人だって出てくるから、“穴党”の悪いところだけを強調したパターンだね、これじゃ。同じ穴馬券を買う人でも、さっきの50倍狙いのパターンと大違いだ」
珠美:「なるほど……」
駒木:「その上、このタイプは賭け金もかさむしね。『少ない投資で多くの利益』っていうのが“穴党”の本道なのに、そこからどんどん外れていってしまう。
 でね、中央競馬だけでも、この額を賭け続けていくと、まず1年間で100万円は負ける計算になる
珠美:「100万円!」
駒木:「それにこれは的中率7.75%、つまり1日12レース中、平均して1回はこういう馬券を当てる事の出来る人の場合だ。さっきも言ったように、穴馬券買いというのは、ちょっとしたスランプで回収率がガクっと下がるからね。そうなると……」
珠美:「考えたくありませんね(苦笑)」
駒木:「まぁそういうわけで、勝ちたい人は覚悟を決めて“穴党”健全に遊びたい人は、テクニックと知識を身に付けて“中穴党”難しい事考えずに楽しみたいって人は、多少の負けを覚悟して“本命党”。どういうスタイルにしても、くれぐれも間違った賭け方をしないようにして下さい。これが当講座からのアドバイスです」
珠美:「……というわけで、博士お疲れさまでした」
駒木:「うん、珠美ちゃんもご苦労様。次回はまだ何も考えていないけど、やっぱり競馬について何か講義をしようと思ってます。では、また来週」

 

 


 

8月22日(木)・23日(金) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評」(8月第4週分)

 今週もゼミを始めます。
 今週のゼミは、通常の内容に加えて、どうやら2ch掲示板で当講座のゼミ内容を含めて話題になっているという『がきんちょ強』関連の“緊急特集”として、
 「どうして『がきんちょ強』は『じゃりん子チエ』になれなかったのか?」
 ……という内容の講義を予定しています。講義日程が詰まり気味のため、2日にまたがる可能性大ですが、最悪でも金曜夜のテレホタイムには間に合うようにしますので、どうぞご注目下さい。

 あと、最近よく当ゼミについて頂くご意見として、
 「レビュー内の作者紹介に的外れな内容が多い」
 ……と、いうものがあります。
 これについては、毎回ある程度時間をかけて調査をかけているのですが、やはり長年専門的にマンガ評論をなさっている方たちよりは作家さんに関する知識量とキャリアが不足しており、時々誤りや曖昧な内容を含んだ事を述べてしまうケースが、ままございます。
 言葉通り駒木の不徳の致す所であり、ご指摘を受けるたびに本当に申し訳なく思っているのですが、いかんせん、今の駒木ではどうしようもならない部分もあります。ですので、もしも作家さんの情報について、ゼミで発表した内容よりも更に詳しい情報・知識をお持ちの方がいらっしゃるなら、是非駒木研究室までメールでお知らせ下さいませ。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 ……それでは、気を取り直して講義へ。まずは情報系のお話ですが、今週は「週刊少年サンデー」系の月例新人賞・「サンデーまんがカレッジ」の6月期分の発表がありましたので、受賞者・受賞作を紹介しておきます。特に、今月は“入選”作が出て、受賞作の掲載が確定していますので、どうぞご注目を。

少年サンデーまんがカレッジ
(02年6月期)

 入選=1編
  ・『サブ・ヒューマンレース』
   小澤 淳(23歳・東京)
 
(「ここがポイント!!」〜本誌より引用)
 白昼夢のような異世界を描きつつも、リアルな若者の“渇き”を表現するのに成功しています。また、大ゴマや空間を大胆に使うことで感情を上手く演出している点も評価できます。エンターテインメントを意識しつつ、強いメッセージをさらりと流す作者の才気が見どころ。

 佳作=該当作なし
 努力賞=1編
  ・『higher higher』
   中馬孝博(23歳・福岡)
 あと一歩で賞(選外)=2編
  ・『Dragon Tattoo』
   寺本直子(22歳・島根)
  ・『パワー・パワー』
   町田哲也(26歳・東京)

 入選受賞作については、本誌か増刊に掲載決定、という事で、審査員サイドもべた褒めといった感じですね。当ゼミでも、本誌掲載の時は勿論、増刊で掲載になった場合でも、評価によっては「その他注目作」のカテゴリ内でレビューを掲載したいと思っています。

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