「社会学講座」アーカイブ

 ※検索エンジンから来られた方は、トップページへどうぞ。


講義一覧

3/31 社会調査「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(6)
3/30 
社会調査「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(5)
3/29 
競馬学特論「G1予想・高松宮記念編」
3/28 
社会調査「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(4)
3/27 
演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(3月第4週分)
3/26 ギャンブル社会学特論「麻雀・競技プロの世界」(5)
3/23 
社会調査「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(3)
3/22 競馬学概論「“埋もれた(かも知れない)名馬”列伝」(10)
3/21 社会調査「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(2)
3/20 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(3月第3週分)
3/19 ギャンブル社会学特論「麻雀・競技プロの世界」(4)
3/17 社会調査「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(1)
3/16 
政治学概論「統一地方選直前アラカルト」

 

3月31日(月) 社会調査
「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(6)

過去のレジュメはこちらから→第1回第2回第3回第4回第5回

 この講義、そして現体制最後の講義となりました。昔からの受講生さんやビジターさん放ったらかしで、駒木は勝手に万感の思いなんですが、ウチの研究室のメンバーは講義の最後に花束渡すとか、そういう気の利いた事はしてくれないようです(苦笑)。

 ──あ、ところで行って来ましたよ、ヤフーBBスタジアム。モデム……じゃなかった、自由席入場無料の上に季節外れの花火まで打ち上げるって言うんで、家族と一緒に行って来ました。
 しかも、やっぱりやってました、モデム配りキャンペーン。以前から同僚のスタッフたちと、「ひょっとしたら、やるかも?」とか「でもまさか、本当にやるの?」とか言ってたんですが、グッズ売り場の隣やら入場門の中やら、あちこちで大キャンペーンやってました
 更に恐ろしい事には、駒木が登録している派遣会社のパラソルが! 駒木、研修会で見た事のあるSVがブースで“声かけ”しているのを見た時は、その場で思わず卒倒しそうになりました。何しろ、駒木の自宅から球場までは徒歩20分強。「お前のために用意したパラソルだ。よろしく頼む」と言われているような気がしてなりません。
 あと、駒木の会社の他にも、ネクサスと思しき頭の悪そうなキャンギャルやスタッフが大勢いたりしたので、今年のヤフーBBスタジアムは、人材派遣各社による新規契約争奪バトルロワイヤルが行われる事になりそうです。もっとも、わざわざ野球観戦したついでにADSLに入会する人なんぞそういるはずもなく、しかも普段のオリックスの試合なんて閑古鳥が鳴いていますから、そんなバトルロワイヤルの結果、全員オーバー・ザー・トップロープで失格…なんて可能性も十分あり得そうですが。

 そして5回裏終了後の花火大会(グリーンスタジアム時代から、オリックスの試合では時々花火をやります)では、点火スイッチを押す役として、日本で一番金持ってるハゲこと、孫正義ソフトバンク社長が登場。神戸空港建設を強行して神戸を破産に導こうとしている矢田神戸市長と、伝統ある球団を僅か数年で日本一のダメチームに貶めた岡添オリックス球団社長を両脇に従えた姿はまさにズッコケ3人組非常に趣深い花火大会でありました。
 ちなみに試合の方は0−4でオリックスが惨敗ピッチャーを全くサポート出来ないザル守備や、徹底して無料(0点)にこだわるその姿勢は、まさにヤフーBBを象徴しているように思えました。ひょっとしたらその内、球団ごと買い取るかも知れません。というか本当にやりそうです、あのハゲは。

 
 ……おっと、閑話休題。話が盛り上がった所で水を差すようで恐縮ですが、今日の本題は球場見聞記ではありません。正直言って、今日が最終日でなければそうしたいのですが、事情が事情だけに仕方ないですね。
 今日の講義テーマは、「ヤフーBBって、本当のところはどうなの?」…ということで、モデム配りキャンペーンの詳しい内容について突っ込んだ話をしてゆきたいと思います。最後まで、どうか何卒。


 ──さて、これまで講義中に「モデム配りキャンペーン」と称して来た、現在展開されているヤフーBBのADSL新規契約獲得キャンペーンは、正式名称を「3つの0円キャンペーン」と言います。
 で、この「3つの0円」とは、

 1.ADSL通信料最大2ヶ月0円
 2.BBフォン通話料最大2ヶ月0円
 3.無料設置サポート0円

 ……以上3つの事を言います。意外と知らなかった方もいらっしゃるでしょう。何しろ、「何をやってるのか?」…とパラソルに近付いて足を止めようものなら、たちまちスタッフが目を輝かせて突撃して来るのですから、現場でおちおち様子なんか眺めてられませんものね。

 まぁそういうわけで内容の解説をしてゆきます。

 まず1点目はお分かりになりますよね。要はADSL繋ぎ放題の費用が最大2ヶ月、つまり利用開始月とその翌月無料になるという事です。これにはモデムレンタル料やNTT回線使用料も含まれていますので、但し書き無しの0円です。

 次に2点目のBBフォン通話料ですが、これはつまり、ヤフーBBのインターネット電話サービス・BBフォンの通話料が同じように最大2ヶ月無料になるという事です。
 例外として184・186や0570などのNTT独自のサービス番号を使うと無料にはなりません(NTTから通話料が請求されます)が、普通に電話をかけるならば一切通話料はかからないと考えてもらえれば結構です。これは比較的電話代の高い国際通話や携帯・PHSにかけた場合でも同じで、ヤフーとソフトバンクがヒィヒィ言いながら貴方の電話代を負担してくれます。海外在住の恋人がいらっしゃる方などは、どうぞ徹夜でのテレホンセックスに励んで頂きたいと思います。「1万人集団テレホンセックスでソフトバンク大損害!」…などといった愉快なニュースがCNNのこぼれ話から配信される事を今から期待しております。
 ……あ、馬鹿な事ばかり言ってて忘れるところでしたが、無料キャンペーン中もNTTのアナログ基本使用料(通常1750円)はちゃんと請求されますので、どうかご注意を。

 そして3点目無料設置サポートとは、モデムと電話機・パソコンの接続やパソコンの設定変更といった、基本的な設定をする出張サポートの代金をソフトバンクが負担するというものです。ヤフーと契約するユーザーは圧倒的に初心者・初級者が多いので、こういうサービスでそういう客層の不安を解消する必要があるわけですね。
 しかし、この無料サポートは、無料になる範囲がかなり厳しく制限されていまして、「ついでにこれもやっといて」…などと言ってしまうと数千円の費用を請求される事もしばしばです。「3000円ポッキリは大概ポッキリで済まない」みたいなものですね。ですので、実際に無料サポートに来てもらう際には、「タダで終わる範囲までで結構」と言っておく必要があるかもしれません。

 あと、「3つの0円」には入っていませんが、通常3850円かかる、電話回線をADSL用に変更する局内工事費用も、最大2ヶ月の無料期間中は立て替え払いとなります。この工事費用は無料期間終了後には、3ヶ月目の料金と一緒に請求される事になりますが、もし無料期間中に解約した場合は、その費用はヤフーBBが立て替えたまま負担する事になります。
 それから、解約の際には配られていたモデムを送り返すわけですが、この送り返す返送費用も着払いでヤフーBBが負担する事になっています。つまり、無料期間中で解約した場合、お客さんが負担する費用は原則的に全くのゼロという事になります。

◎モデム配りアルバイト 豆知識・8◎

 無料キャンペーンが受けられない場合

 しかしながら以下の場合、無料キャンペーンが一部、もしくは全く受けられません。

 1つ目はISDNの場合。この時は先にISDNからアナログ・ADSLへの局内回線工事をする必要があり、その費用は有償(5800円)です。そうやって工事を済ませてしまえば「3つの0円」が適用されますが、もし何らかの障害があってADSLが利用不可となった時の補償は全くありません。
 2つ目は光収容(電話線が光ケーブルに変更されている状態)の時で、この場合は工事費をヤフーBBが一部負担(8100円引き)して通常の局内工事と同額にしてくれますが、その代わりに「3つの0円」は適用されません。

 この2つのパターンは、キャンペーンスタッフにとっても大きな“壁”になっています。ISDNの場合は8割方諦め、光収容の場合は原則NGというのが現状です。

 
 ──とまぁこのように、ハッキリ言って、かなり力の入ったキャンペーンと申し上げても構わないでしょう。契約1件ごとに数万円のバックマージンが発生していると前にお話しましたが、その上に2ヶ月間無料で通信料と電話通話料を負担しているわけですから大変なものです。
 恐らく新規契約客1人にかけた費用を回収するためには、少なくともその人に1〜2年は継続して使ってもらわないといけないでしょう。よく「赤字覚悟、出血大サービス」なんて言葉が使われますが、本当に全盛期のブッチャー並に大出血している会社も珍しいものだと思います。大抵は全盛期のキラー・トーア・カマタみたいに血糊の入ったコンドーム使ってたりするんですが。

 んで、どうしてそんな無茶なキャンペーンを展開しているのかと言いますと、このブロードバンド事業は経営に行き詰まり気味のソフトバンクが、これまで虚業で稼ぎ倒して来た全ての財産を投げ打って起死回生を目指すという、捨て身・イチかバチか・ヤケのヤンパチの大勝負だからなんですね。全財産を注ぎ込んで、ブロードバンド業界でヤフーが天下を取れば勝ち。取れなければソフトバンクもろともアウトになるわけです。
 この前、ソフトバンク並びにヤフーBBが虎の子のヤフー株を時価総額800億円分売り払ったというニュースがありましたが、それもその一環です。バクチで言えば、種銭に詰まったのでとりあえずクルマを1台売った…みたいなもんですね。何しろ、敵に回したのが天下のNTTですから、そんなに悠長な事はやってられません。世界大戦期のドイツにおけるシュリーフェン・プランや電撃戦みたいに短期決戦を仕掛けないとどうしようもないわけです。
 史実によると、大抵短期決戦を仕掛けた方が負けになるんですが、果たしてこの勝負はどうなるでしょうか。駒木はヤフーがADSLで天下を取る頃には光ファイバーの時代になっていると思っていますが(笑)

 まぁそれはさておき、とりあえず無料キャンペーンそのものの内容に関しては、納得のゆくモノだと考えて差し支えないと思います。
 しかし、こういうキャンペーンは良い所だけ強調して悪い部分を隠すのが常套手段。さらに「タダほど怖いものは無い」という言葉が示す通り、無料期間が終了してからの話も気になるところです。実際のところ、ヤフーBBの料金設定はどのようになっているのでしょうか? 次はその部分について検証してみましょう。

 まずはヤフーBB発足当時に大問題となった申し込みから開通までの期間ですが、これは今では10日〜2週間程度が目安という事になっています。駒木はこれまで随分な数のクレーマーと接客して来ましたが、「いつまで経っても開通しない」という苦情は無かったので、どうやら本当に頑張っているみたいです。なお、この「10日〜2週間」は他のプロバイダーと比較しても同等かやや速いくらいです。
 ただしヤフーは事務処理が恐ろしくお粗末です。料金を数ヶ月請求し忘れるなどといった、新聞4コママンガの主人公みたいなそそっかしい事を平気でやります。ですので、万が一、いや千が一くらいの割合でそれが悪い方向へ出た際には、とんでもないトラブルに巻き込まれる可能性がある事も否定出来ないと付け加えておきます。

 ……次に料金。無料期間終了後、ヤフーBBを利用するにあたって必要な費用は以下の通りです。(12Mの場合。費用はいずれも税抜

初期費用(利用3ヶ月目の料金と同時に徴収)

 NTT契約料&局内工事料 3850円

月額固定費用(=ADSLの接続費用)

 通信料金(ADSL&ISPサービス料)

2480円

 モデムレンタル料金

890円

 NTT回線使用料※4月からの改訂料金 東 168円
西 176円
 無線LANパック使用料(任意選択)
  
(LANカードレンタル費用)

990円

固定費用合計

通常契約 3538円
(関東)
3546円
(関西)
無線LANパック契約 4528円
(関東)
4536円
(関西)

BBフォン通話料(=IP電話通話料)

 BBフォン加入者同士

無料

 国内通話(固定電話・全国一律・3分間) 7.5円
 国際電話(アメリカ本土・3分間) 7.5円
 注:アメリカ本土以外への国際通話は地域により規定の(それほど安くない)料金が請求されます。
 携帯電話への発信(1分間) 25円
(昼間・夜間)
20円
(深夜・早朝)
 PHSへの発信

最初の1分20円→その後1分毎10円

 通常契約の場合に限って言えば、モデムレンタル料込みの月額固定料金は業界内でも最安値レヴェルです。
 ただし、最近になってプロバイダー他社も一斉に料金を値下げにかかっており、ヤフーより10円安いパナソニックhi-hoや、KDDIとマイラインプラス契約をすればヤフーと同額になるDIONなど、ヤフーに並びかけるプロバイダーも出て来ました。他の大手業者も月額3000円台に設定しているところが大半で、料金面のアドバンテージはほぼ無くなって来たというのが現状です。
 特にDIONは3ヶ月無料モデムレンタル料、NTT回線使用料は除く)サービスや、無料期間中に解約した場合に工事費など費用の大半を返金するサービスを実施しており、“打倒・ヤフー”の急先鋒的存在になっています。現時点ではPR戦略が拙劣で恵まれた条件を活かし切れていませんが、いつ大ブレイクしてもおかしくない状況にはなっています。

 料金表の中で気になるのは、同業他社に比べてべらぼうに高いモデムレンタル料ですね。一般的にレンタル料は500円が相場なのですが、ヤフーの場合は8割以上も割高になっています。しかもレンタルではなく買い取ってしまおうとすると4万円以上という信じられない費用が必要で、事実上割高なレンタル料を強制的に払わされ続ける事が前提条件になっています。
 これはどうやら、純粋な通信料金を安く設定するために、モデムレンタル料を“第2の通信料金”と位置付けているからではないかと思われます。事実、最大8Mサービスと最大12Mサービスの料金を比較すると、同じモデムを使用するにも関わらず、何故かレンタル料が200円も値上がりしており、その不可解な料金設定を裏付けるものとなっています。
 つまり、広告などで大々的にアピールできる部分を実態以上にダンピングし、その分目立たないところでキッチリ穴埋めしているというわけです。現実には、そういう細かい所に全く無頓着なビギナー層にしか相手にされていないので今のところ大きな問題にはなっていませんが、どう考えても反則スレスレのラフ・プレーなんじゃないかと思います。まぁ、「そんなの、写真屋の“プリント0円、現像料据え置き”みたいなもんでしょ?」…と言われればそれまでですけれども。

 あと、無線LANを使用する場合には完全に割高になります。どう考えても1000円弱のレンタル料は暴利としか言いようがありません。ここも目立たないところでキッチリ稼ごうとするヤフーBBの体質が見え隠れしますね。
 元々ヤフーのモデムは、ルータ機能がついておらず、原則としてモデム1台につきパソコン1台しか接続出来ないというユーザーを舐めた設計になっています。この無線LANパックは、「ヤフーのモデムでも2台以上同時接続出来ます!」…という触れ込みで出来たものですが、ハッキリ言ってユーザーの足下を見た料金設定としか言いようがありません。
 ところで、ヤフーは「ルータはサポート外」とか「無線LAN契約をしないとLANカードはは使用できません」…などとしていますが、実はヤフーのモデムにも接続できるルータや、互換性のあるLANカードが既に量販店で出回っています。つまり金儲けのタネを無くしたくないがためにユーザーを騙しているわけです、ヤフーは。特にLANカードはレンタル料を考えるとかなり割安な価格で購入できるそうなので、お悩みの方は一度量販店の販売員さんに相談される事をお薦めしておきます

 また、他のプロバイダーに先駆けて開始したIP電話ですが、こちらは今のところ先行した分のアドバンテージを生かして業界トップのサービスを維持しています。以前は恐ろしいほど悪かった音質も、現在ではかなり問題が解消されているそうです。さすがは品質テストを有料で展開するヤフーBB文句言われた所だけはキッチリ修正してきます。
 ただしIP電話に関しては、NTTが本気でヤフーを倒すために立ち上がりましたヤフー以外の大手プロバイダー8社と業務提携し、“ヤフー包囲網”を完成させてしまいましたので、現在あるヤフーのアドバンテージがいつまで保つかは全く分からない情勢です。

 料金面の話をまとめますと、ヤフーBBの料金設定は現時点ではまだ業界内で優位に立っていますが、差は相当詰められてしまっている…という事になります。また、割高な部分は結構割高なので、変に妥協すると泣きを見る結果になってしまうので注意して下さい。

 ……では最後に、データ通信の品質やサポート体制などのサービスの質全般についてもお話しておきましょう。

 まず独自に開発したADSLの通信網ですが、“品質はそれほど悪くない”というのが実情ではないかと思われます。業界内では“中の上”くらいと聞いています。普通に使っている分には大丈夫だと申し上げておきます。
 ただし、新規契約を取りたいがために、フレッツADSLなどでは電話局から遠くて断られるような家庭でも平気で契約を結んでしまうため、そういう家庭ではIP電話がすぐ切断されるなどのトラブルが絶えないようです。(IP電話は約300kbbsの速度が常時維持できないと回線が切断されます)

 そして通信の品質と対照的にボロボロなのが、ご存知・カスタマーサポートの劣悪さです。
 サービス開始時に「フリーダイヤルも用意しないくせに客を待たせる」、「折り返し電話すると言っておいて、全く掛かって来ない」、「専門的な話が出来るスタッフが常駐してない」…などといった世紀末的にお粗末なサポート体制で大顰蹙を買ったヤフーBBですが、現時点においても若干の改善が図られただけで、間違いなく業界ダントツ最低レヴェルの悲惨な状況が続いています。
 まず、カスタマーサポートは原則的に繋がりません。順番待ちですのでお待ち下さいという旨のコールがあるのですが、平気で30分は待たせてくれます。ヤフーBBの顧客層である中高年の方たちにとって電話で30分待ちというのは全くの常識外ですから、当然待ち切れません。で、その苦情をパラソルに持ち込んで来てしまうので、駒木たちが迷惑するわけですね。なお、サポートダイヤルが比較的繋がり易いのは平日の朝9時頃と深夜23時頃だそうですが、そんな事を言い出している時点で無茶苦茶です。
 もっとも、首尾良く電話が繋がった後の対応は以前より若干マシになったようで、「行き届いたサポートでした」という感想を述べられる方もいるくらいです。が、それでも全般的には「当たりハズレが激しく、もっぱらハズレ」…というのが現状のようです。電子メールのサポートを利用しても定型文のコピペと思しき内容のメールが送られてくるだけのケースも多く、個別の詳しい応対は全く期待出来ないと申し上げておきましょう。

 要は、ヤフーBBを利用される場合は「故障したら早急な復旧は絶望的」という認識を持たなければならないと思います。パソコンのハードディスクと一緒で壊れたらアウトです。
 「でも壊れる確率って微々たるものでしょ?」…とおっしゃる方もおられるでしょうが、ヤフーのモデムは値段だけでなく初期不良率も高いのが特徴と言われています。というのも、ヤフーは解約・返却されて来た中古モデムを動作チェックもせずにそのまま詰め替えて出荷しており、本来ならバルク品扱いになるような物まで新品として店頭に並んでいるのです。明らかに「こりゃマズい」というモデムはハネられますが、その基準もかなり甘いと聞いています。そりゃあ、返却された何十万台ものモデムを廃棄処分にするのはアレですが、それを杜撰な管理で再利用するのはもっとアレのような気がしますが……。


 さて、いよいよ総括です。
 結局のところ、ヤフーBBのADSLを利用する事は、ソーテックの格安パソコンを買うみたいなものだと考えれば良いのではないかと考えています。もし無事に利用できるならば、なかなかの質で格安のサービスを受ける事が出来ますが、“ハズレ”を引いたが最後、強烈な“安物買いの銭失い”感を体験する羽目になる……といったところでしょうか。
 駒木の個人的な雑感を述べさせて頂きますと、「こんな経営方針が軽薄で虚飾にまみれた会社に業界No.1を取らせるのはいかがなものか?」…といったところでしょうか。勿論、現在の盟主・NTTの殿様商売振りも大概ですが、有り体に言ってブッシュの方がフセインよりマシ…みたいな印象を抱いています。まぁ理想はNTTやソフトバンクよりマシな第三勢力が現れて来る事でしょうが……。

 
 というわけで、この講義もこれにて一応の幕とさせて頂きたいと思います。駒木は今後もしばらくこのアルバイトを続けるつもりですので、もし何か新展開があれば当講座で続編をお送りします。ちょっとだけ期待してお待ち頂けると幸いです。

 それでは、講義を終わります。御清聴有難うございました。 (この項終わり)

 


 

3月30日(日) 社会調査
「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(5)

過去のレジュメはこちらから→第1回第2回第3回第4回

 3ヶ月ぶりの“インパクト”を巻き起こし、更に開講以来1、2を争う大好評を頂いているこのシリーズも、いよいよあと2回となりました。
 本当なら2ヶ月・15回くらい引っ張りたい題材なのですが、カリキュラム大幅改編前の年度末という事で、致し方ありません……というか、自分で決めたカリキュラム変更に足引っ張られるなんてマッチポンプもいいところなんですが(苦笑)。
 しかも今回と次回は講義の間隔が詰まっているため、正直言って前4回ほどの内容を維持出来るかどうか、我ながら心配です。精一杯頑張りますが、至らない部分はどうか温かい目で宜しくお願いしたいと思います。

 ──さて、今回の内容は、SVことスーパーバイザーの生態と実態について。このキャンペーンにおけるキーパーソンたちにスポットを当ててみたいと思います。


  ……ではまず、SVたちの1日の勤務内容から紹介してゆきましょう。一部推測が混じりますが、これはスタッフとSVは基本的に仲が悪いので、SVの裏事情はなかなかスタッフに漏れて来ないためです。

 まずSVの勤務シフトは原則として休み週1回、つまりは週6日フルタイム勤務です。パチンコで言えばボロ負け必至の厳しい設定ですが、まぁ見た目以上にヤクザなこの業界、こういうのも当たり前なんでしょう。
 で、SVの仕事は一般スタッフの管理・監督ですから、自然と始業時刻・終業時刻は駒木たちより早く始まって遅く終わる事になります。
 まず朝、自分が担当しているスタッフからの始業報告を受ける所からSVの仕事は始まります。時には携帯メールによる業務連絡が10時過ぎに届く事もありますので、実際はもう少し早い始業時刻なのかも知れません。
 その後は、オフィスでデスクワークをしたり、例の研修会に出席する事もあるようですが、普段は自分の担当パラソルを巡回するのが主な仕事になります。1つのパラソルには大体30分〜1時間くらい滞在し、スタッフの指導や連絡事項の伝達などを行います。
 で、これが夜まで続き、20時になるとスタッフからの終了と成績の報告を受けます。気になるスタッフには直接電話をかけて明日以降に繋げておきます。
 そして最後に、派遣会社の本部へ担当エリアの成績を報告します。実はSVたちは派遣会社から「各パラソルで月に○○件契約を取ること」…みたいな感じでノルマが課せられており、もしも件数が伸び悩んでいる場合などは本部の社員やチーフ格のSVから恫喝されることもあるようです。

 ……と、こうしてSVの1日は終わるわけですが、振り返って見ますと、SVはかなりストレスが溜まる仕事を強いられているように思えます。休みの少ない長時間労働、しかも会社とスタッフの板挟みになるという苦しいポジションで、見るからに中間管理職の悲哀を感じさせる存在と言えます。
 しかし、これで「顔で笑って心で泣いて」を地で行く仕事振りをされるならば、駒木も拍手喝采で労をねぎらいたい気持ちで一杯になるでしょう。が、悲しいかな、まず大前提として、そんな人間のよく出来た人はこんな御無体な仕事に辿り着く前に、別のちゃんとした仕事に就いている…というのが実際のところだったりします(まぁ、ごく稀によく出来た人がいて、そういう方には本当に頭が上がりませんが)。要は、その溜まったストレスのはけ口を一般スタッフに求めてくる訳です。一言で言えば弱い者イジメですね。

 まず、SVの常套手段として、自分が課せられたノルマを一般スタッフに“努力目標”とかもっともらしい名前を付けて押し付けて来ます
 駒木は普段、前々回の“閑散編”でお送りしたような、平日では1日2件契約が取れるかどうかの量販店で働いています。他の量販店ではエースクラスのベテランスタッフでさえ、あまりの人通りの少なさに絶句するような過疎の店です。
 ところが担当SVは、そんな実態を知らないのかそのフリをしているのか、「1日目標4件ね」などと平然と言い放ちます。ビックリしたこちらが「いや、それはちょっと……」と意見しても、「ホラ、目標は高く設定しないと働き甲斐が無いでしょう」などと言って相手にしてくれません。「目標は高く」と言っても、ヴァンフォーレ甲府がJ1制覇を目指すような目標立ててどうするのか、白目を剥いたボブ=サップ同伴で尋問してみたい衝動に駆られます。
 で、そんな勝手に立てられた目標など、当然の事ながら達成できないわけですが、そうなったらそうなったで「どうして目標に向けて努力しないんだ」と理不尽な言い方でこっちを追及するのですから堪りません。

 まだそれだけなら可愛いモノですが、あまり成績の良くない新人スタッフ──全国的に不振の今は、成績の良い新人などそうはいませんが──がいる時などは、直接パラソルを訪れてネチネチと陰湿な“指導”を展開してくるのですからタチが悪いとしか言いようがありません。
 かく言う駒木も、仕事を始めて1週間ばかり経った頃にこの“洗礼”を受けました。それまで「似合っててカッコいいね」などとお世辞を言い垂れていた服装を突然「だらしないから不快だ」などと言われたり、挙句の果てには「口が臭いからお客が寄って来ない」とかあんまりな事を言われたりして(まぁその日に限ってクリームチーズツナサンドなど食って、歯を磨くのを忘れていた駒木も少し悪いかなとは思いますが)久しぶりに明確な殺意を抱かされました。
 ひとしきり“ダメ出し”された後は、勧誘方法のレクチャーなのですが、これも人前でSV演じるところの“一番タチの悪い意地悪な客”相手にロールプレイ(模擬接客)させられるなど、新人の技術向上よりもSVのストレス解消を念頭に置いた“指導”が延々と続くのです。この時に味わう精神的屈辱は並大抵のモノではありません。
 しかもそうやって散々偉そうな事を言ったくせに、そのSVが実際に本物のお客さんを勧誘しようとすると、1時間かけても1件の契約も獲れないのですから笑わせてくれます。「今から契約取るから、ちゃんと見とけよ」としきりにアイコンタクトしておいて、それでいてお客さんにアッサリと逃げられた瞬間を目の当たりにした時は、思わず「Ya───ha───!」と雄叫びを上げながら、火炎放射器片手に閑散とした店内を走り回りたくなったものでした。

 その一方で、前回“混乱編”のように好成績を挙げたりすると、一瞬で掌を返して「いや〜、素晴らしい! もう駒木さんは安心して見ていられますよ」…などと、心にも無いような美辞麗句を次から次へと発してくるのですから、本当に始末が悪いです。
 そういう研修を受けているのか、SVの一般スタッフに対する態度は文字通りの“アメとムチ”が基本スタイルです。それはそれで別に構わないのですが、明らかに“ムチ”を使う時にしか感情がこもっていないのがすぐに判ってしまうのが、スタッフたちをより一層ムカつかせるのです。
 また、スタッフたちはSVの預かり知らないところで独自の情報網を確保しており、SVがどの店でどのスタッフ相手にどういう事を言ったかという情報は、その日の内に同じSVが担当しているパラソルのスタッフたちに知れ渡ります。なので、SVがウソやデマカセを言っているとすぐにバレるのですが、伝わって来る情報の大半がその類であるのが大変に愚かしいです。

 しかし、駒木が所属している派遣会社はまだマトモな所なので、SVのスタッフに対する嫌がらせもこれでまだ大人しい方だったりします。これが、この講義にもたびたび登場しているタチの悪い派遣会社になったりしますと、SVの質もハンパな悪さではありません
 例えばスタッフが“ボウズ”を出した時などは大変です。SVはそのスタッフの胸倉を掴んで壁に押し付けるなり、「お前、ふざけんなよ。1日やって0件ってどういう事だよ」…などと言って罵倒します。えぇ、立派な暴行罪ですね。
 またそれ以外にも、3回“ボウズ”を出したスタッフが参加させられる“0件研修”と呼ばれる、ただスタッフを辞めさせるように仕向けるだけのイベントが設定されていたりします。さすがは社員イジメでは定評のある光通信の子会社でありますね。

 こういう事をやっていますと、スタッフの方も暴行や“0件研修”怖さにとんでも無い事をやらかし始めます。
 「0件になるよりは……」と思考停止した頭で公衆電話から備え付けの電話帳を持ち出し全く関わり合いの無い他人の氏名、住所、電話番号を申込書に記入して契約を1件獲得した事にしてしまうのです。一時期、エムティーアイという販売代理店がテレアポ先に無理矢理モデムを送りつけて問題になった事がありましたが、その中にはこの“ハローページ作戦”で送付されたモデムもあったはずです。勝手にモデムが郵送されて来て、しかも勝手に局内工事が実施された…という体験をした方がいらっしゃるなら、多分それは“ハローページ作戦”です。 

◎モデム配りアルバイト 豆知識・7◎

 無断モデム送りつけ代理店・エムティーアイ

 去年の秋から今年の初頭にかけて、ヤフーBBの加入を勧誘する電話があった直後に、頼んだはずの無いモデムが送りつけられて来る…という出来事が全国で頻発しました。受講生さんの中にも“被害”に遭われた方がいらっしゃるでしょうが、これはソフトバンクBBが業務委託をした販売代理店・エムティーアイによるキャンペーン活動です。
 実は駒木もこのエムティーアイに困らされたクチでして、その際は大変に往生しました。何しろ、「では、まず資料だけでも送付しましょうか?」…と言っていたにも関わらず、資料ではなくてモデムだけが送られて来たのですから……。

 ただ、エムティーアイのキャンペーンは、そうして送付したモデムの大半が返品されて来ただけでなく、“ネクサス佐藤方式”と同様、消費者センターへの苦情の対象となり、今では下火になっているはずです。
 しかし、もしも皆さんの御宅にエムティーアイを名乗る会社から電話があった際には、「全く興味有りません」と言って電話を叩き切ってしまって下さい。話が長引くほどヤヤコシイ事になります。

 余談ですが、このエムティーアイ、我々パラソルキャンペーンにとっても鬱陶しい事この上ない存在なのです。と言うのも、恐ろしい額になったモデム返送料に値を上げたエムティーアイは、最近になって「モデム返却は最寄のパラソルキャンペーン会場にて」…などと言い始めたのです。勝手に糞をしておいて、他人にケツを拭かせるこの傍若無人ぶり、まさにソフトバンクの商売を象徴しているような気がしないでもありませんが、いかがなもんでしょうか。

 
 ──と、いうわけで、今回はスタッフの不倶戴天の敵、スーパーバイザーについてお話をしてみました。本当はまだまだ言い足りない位なのですが、こういう場で私怨を撒き散らすのはどうか…と思うので、この場ではこれ位にしておきます。まぁまた業務縮小後にコッソリお話する事にしましょう。個人的感情を喋るには、今はちょっと人が多すぎます(苦笑)。
 まぁ今日は気の重い話で恐縮ですが、このキャンペーンの暗黒面を垣間見て頂けたのではないか…と思っています。

 それでは次回はいよいよ最終回。「で、ヤフーBBって、実際はどうなの?」…という皆さんにも興味深い部分に突っ込んでみたいと思います。どうぞお楽しみに。では、また明日。 (次回へ続く

 


 

3月29日(土) 競馬学特論
「G1予想・高松宮記念編」

駒木:「いよいよ春のG1シーズン開幕だね」
珠美:「『ついこの前有馬記念だったのに』っておっしゃる方も多いんでしょうね(笑)」
駒木:「僕なんか、『ついこの前までテイエムオペラオーとか走ってたのに』って感覚だよ(笑)。
 今年はどのカテゴリもイマイチ盛り上がりに欠ける印象があるのは残念だけど、このG1シリーズからニュー・ヒーローが出てくれれば良いね。もっとも、極端な人気薄の馬に突っ込んで来られるのは勘弁願いたいけれど(苦笑)」
珠美:「そうですね、穴馬として狙っている時だけ、来てもらいたいですよね(苦笑)。
 ……さて、それでは皆さんには、まず出馬表と私たちの予想印をご覧いただきましょう」
 

高松宮記念 中京・1200・芝

馬  名 騎 手
ビリーヴ 安藤勝
ショウナンカンプ 藤田
    マンデームスメ 中館
  テイエムサンデー 秋山
    エアトゥーレ 四位
    テイエムサウスポー 安藤光
    ゴールデンロドリゴ 佐藤哲
    ジェミードレス 菊沢徳
× ディスターピングザピース 武豊
    10 キーゴールド 内田浩
  11 エコーエディ ヴァルディビアJr.
    12 カフェボストニアン 松永
    13 ネイティブハート 石崎隆
    14 ナムラマイカ 村本
  × 15 リキアイタイカン 武幸
    16 シベリアンメドウ 川島
×   17 アグネスソニック デムーロ
× 18 サニングデール 福永

駒木:「開幕早々18頭立てかぁ。これもちょっと勘弁して欲しいね(苦笑)。1頭、1頭コメントをつける身にもなって欲しいよ」
珠美:「大変ですが、頑張って下さいね(笑)。……ではまず、ざっとメンバーを見ての感想と言うか概況を一言お願いします」
駒木:「はいはい。そうだねぇ……、正直言ってちょっと寂しいメンバーかな。日本勢で素直にG1級と呼べるのは1枠の2頭くらいなものだし、その内1頭はスランプ中だ。他の14頭の中に2着候補、3着候補はたくさんいるけど、かなり小粒なのは否めないね。
 じゃあ外国勢はどうかと言うと、日本のスプリントレースにおける外国勢の実績から考えると、こっちも不安要素の方が大きい感じがするよね。まぁ、外国馬を一蹴したサクラバクシンオーやタイキシャトルたちに比べると、さすがに今年のメンバーはいくらか落ちるはずだから、今回に限っては外国馬もいくらか通用する余地は残されているはずだと思ってるんだけど」 
珠美:「余り景気の良いお声は出て来ませんね(苦笑)。……では、レース展開はどうなるでしょう? やっぱりハイペースですか?」
駒木:「少なくとも想定の範囲ではペースが落ち着く要素は全く無いね。逃げ馬が3頭、出来るだけ前に行きたいタイプが5頭もいる。ショウナンカンプが単騎でマイペースになった場合でも、前半3ハロン33秒台半ばの速い平均ペースだろう。
 で、今回は差し馬も多いし、馬によってスピード能力の差も大きそうだから隊列は縦長になるんじゃないのかな。中京の1200は言うほど内・外の有利・不利が大きくないから、意外と紛れが少ないレースになると思う。問題はそういう展開になって、差し馬が届くかどうか──というか、前の馬が止まるかどうかだろうね。止まらなきゃ、差し馬はお手上げ。でももし止まったらゴール前の馬群大移動もアリ。この辺りは個人の判断だろうね。僕は『8頭もいりゃあ、どれか2頭くらい止まるだろう』とエエ加減に考えてるけど(笑)」
珠美:「私は『1頭くらい伸びて来る差し馬がいるわよね』って考えました(笑)。どうなるか不安です(苦笑)。
 ──それでは博士には、今日も枠順に従って1頭ずつコメントをつけていただきます。ではまずは1枠の2頭から。いきなりG1馬2頭が登場しますが、いかがでしょうか?」

駒木:「いきなり真打ち登場だね。ちょっと心の準備が欲しいところなんだけど……(苦笑)。
 まずは最内枠のビリーヴ。この馬ねぇ、ピーク時の実力なら間違いなく一番上だと思うんだよ。ところが香港遠征から調子を崩してしまって、この中間で必死の立て直しをする羽目になってしまった。結局はギリギリ間に合ったような間に合わなかったような、メチャクチャ微妙な感じ(苦笑)。少なくとも阪急杯の前とは全然違うみたいだけど、果たしてどうなるか。まぁ軸馬にするのは危険だけど、馬券の対象にはしなければならない馬だと思うよ。
 で、隣の枠にショウナンカンプ。単勝1倍台は行き過ぎにしても、まぁ1番人気は妥当なところだろうね。ただ、ハイペースでガンガン飛ばしてどこまで粘れるかって馬だから、馬連の連軸にはあまり向かない馬かもしれない。それほど実力が図抜けているってわけじゃないしね」
珠美:「博士はショウナンカンプに本命を打ってらっしゃいますが、意外と厳しめのコメントですね」
駒木:「調子が万全ならビリーヴに本命打ったんだけどねぇ。だけど、現時点で各ファクターを総合するとショウナンカンプ以外に本命は有り得ないんだよ。まぁ結局は『他に適役がいない』っていう、日本の総理大臣を支持する時と同じ理由だね(苦笑)」
珠美:「なるほど、分かりました(笑)。では、次に2枠の2頭をお願いします。私は個人的にテイエムサンデーの評価が気にかかるところなんですが……(苦笑)」
駒木:「まずはマンデームスメからね。去年の秋にオープン入りした時は相当期待されたみたいだけど、今となっては……だね。調子そのものは文句が無いんだけど、地力で通用する事を証明する強調材料がまるで見つからない。苦戦だね。
 珠美ちゃん期待のテイエムサンデー、確かに良い末脚持ってるし、調子も抜群に良い。一発穴を開けるのはこういう馬なんじゃないかな。ただし、競馬新聞の馬柱を見るからに、これまで随分とヌルいレースしかしていないのが大いに気になる。前半33秒台のペースに乗っかって、果たしてなし崩しに脚を浪費されやしないか非常に心配だね」
珠美:「なるほど……。トップクラスの超ハイペースは未体験なんですね。何だか嫌なことを聴いてしまった感じです(苦笑)。
 でも、気を取り直して3枠の2頭。こちらは人気薄の枠になりましたが……」

駒木:「フランスでG1を2着したエアトゥーレ。このモーリスドギース賞は、昔シーキングザパールが勝ったレースでもあるんだけど、シーキングザパールとこの馬の違う所は日本での実績が乏しい事だろうね。どうも日本でやるスプリントではスピード不足が否めないみたい。これが引退レースだし、悔いの無いレースだけはやってもらいたいね。
 テイエムサウスポーはこのメンバーに入ったらやっぱり力不足だろうねぇ。買える要素が全く無いんだよ」
珠美:「……次は折り返し地点の4枠です。こちらも人気薄の2頭が同居していますが……」
駒木:「ゴールデンロドリゴ典型的な入着級の馬だね。でも
ある程度メンバーが揃うと掲示板から外れてしまうところを考えると、微妙に力が足りないのかな。
 ジェミードレス距離が短すぎる印象だね。ベストのマイルでも牝馬G3級なのに、スプリントG1はちょっと難しいね」
珠美
:「……さて、次は5枠ですね。いよいよ外国馬が登場します。舌を噛みそうな名前ですけど(笑)、博士、よろしくお願いします」
駒木:「えーと、ディスタービングザピース…か(笑)。まぁ外国馬に関しては正直よく分からないんだけど、2頭いる外国馬のうち、芝実績の乏しいこっちの方が人気してるのはちょっと驚いた。まぁ確かにG2を3連勝というインパクトの高い事をやってのけてるんだけどね。
 これは6枠のエコーエディもそうだけど、この馬が日本勢の3番手・サニングデールより強いかどうかが最大のポイントだと思う。サニングデールを将来のG1馬だと思っているような人なら外国勢は思い切って無視していいと思うし、逆ならば外国勢はショウナンカンプに次ぐ存在にならなきゃおかしいと思う。僕がどう思ってるかは、印を見れば一目瞭然だね(笑)」
珠美:「私はユタカマジックを期待して×印をつけましたけど、他は印の通りですね(笑)」
駒木:「……で、もう1頭のキーゴールドは、どう考えてもオープン特別級だね。ちょっとどころか大いに力が足りなさそうだ」
珠美:「6枠新聞の印やオッズを見る限り、何だか微妙な感じがしますけれども、いかがでしょうか?」
駒木:「確かにね(笑)。エコーエディはさっき言った通りだね。ただ、去年のドバイでG1を2着してるのはプラス材料だろうね。ここ最近は成績が今一つなんだけど、ハイペースに耐えられるならば十分にチャンスはあると思うよ。
 カフェボストニアンは秋に復帰してから結構着順をまとめてるんだけど、これはどうなんだろう? どうも戦って来たメンバーが軽いような気がするんだけどね。あと、この中間がかなり急仕上げ気味なのが気になる。前走で負った外傷が響いてしまった形だね」
珠美:「7枠からは3頭になります。大変でしょうけど、頑張ってください。でもこの枠は人気薄ばかりになっちゃいましたね」
駒木:「地方代表……とは言っても、単に地方在厩なだけだけど、ネイティブハート。ステップ競走のオーシャンSを勝っての権利獲得だね。まぁこの馬、オープン特別なら上位だし、重賞でもいつもソコソコには来るんだ。だから一世一代の大駆けをするくらいの可能性は残ってると思うよ。ただし、その確率は相当低い事は間違いない。
 ナムラマイカはコメント不要だね。力が足りない。
 リキアイタイカンについては、ちょっと予測不可能だからなぁ。来る時はどうやっても来るし、来ない時はまるで来ない(苦笑)。ただし、G1だと頑張っても3着が精一杯みたいな感じがするけどね。今回のメンツならギリギリ2着までかな」
珠美:「さぁ、やっと最後の8枠に辿り着きました(笑)。大外には2番人気のサニングデールがいますが、どうでしょうか?」
駒木:「まずはシベリアンメドウ。しばらく見ない内に随分と落ちぶれちゃったなぁ、この馬。芝にダートに、スプリントにマイルに節操無く使われちゃって……。陣営も『土砂降りになってくれたら有り難い』って、物凄い注文つけちゃってるしねぇ(笑)。まぁ大苦戦だね、今回は。
 困ったのがアグネスソニックの取捨。3歳春までの実績も、今年に入ってからのレース振りも、とにかく微妙なんだよなぁ。何やかんや考えて、一応日本勢の4番手って扱いにしてみたんだけど、う〜ん、どうだろうね。大物感が全く無いものなぁ……。
 で、大外のサニングデール。秋のスプリンターズSはチグハグなレースだったから度外視するとしても、しょうもない取りこぼしが多かったり、ショウナンカンプにまるで歯が立たないのが気になって仕方が無い。典型的な穴人気タイプだね。ただ、以前に比べると着順もまとまって来たし、成長しているのは間違いないと思う。まぁどっちにしろこの馬にとっては最大の正念場だろうね」
珠美:「お疲れ様でした。では最後に、まとめとフォーカス(馬券の買い目)をお願いします」
駒木:「とりあえずショウナンカンプの逃げに期待。ただし今回は逃げに厳しい展開だし、期待半分不安半分。
 ショウナンに続くのが外国勢2頭。ハイペースに戸惑って後方ズルズルの大惨敗が怖いんだけど、今回の日本勢も結構弱点があるからチャンスも十分有ると思う。
 で、もしも外国勢がダメなら、やっぱりビリーヴとサニングデールの2頭が台頭して来るだろうね。地力ならビリーヴ、調子と上がり目ならサニングデール。
 フォーカスは、馬連2-11、2-9、9-11、1-2の4点。他に枠連の1-8も気になるんだけど、ちょっと倍率が低すぎるね。馬連4点で妥協させてもらおうかな。2-18で決まっちゃったら、もう諦めるしかないね(苦笑)」
珠美:「私もショウナンカンプの逃げに期待したんですが、2着争いは展開的に差し馬が来るんじゃないかと期待しています。一応、対抗にサニングデールですが、テイエムサンデーとかリキアイタイカンの追い込みが楽しみです。逆に先行馬のレースならビリーヴとかディスターピングザピースが面白いと思います。馬券は
馬連2-18、2-4、4-18、1-2、2-9、2-15の6点で勝負です」
駒木:「……よし、これで終了だね。長い講義、ご苦労さん」
珠美:「博士こそ、お疲れ様でした。それでは皆さんも頑張ってくださいね♪」


高松宮記念 結果(5着まで)
1着 1  ビリーヴ
2着 18 サニングデール
3着 15 リキアイタイカン
4着 テイエムサンデー
5着 ゴールデンロドリゴ

 ※駒木博士の“敗戦の弁”
 実は、講義の最中から「外国馬、やっぱりコケるんじゃないの?」…という疑念が頭を離れていませんでした。結果、嫌な予感大的中。素直に日本馬だけ買ってたら3点でゲット出来てたんだよなぁ。外国馬の取捨選択以外はほとんど間違えてないのに、それが致命傷だったとは、いやぁ参った。
 で、レースそのものは、なかなかの中身だったんではないかと。ただ、G1で1分8秒を切れなかったのはちょっと不満かなぁ。まぁ、タイムなんて新潟競馬場でレースすればいくらでも詰められるんだけど。 

 ※栗藤珠美の“反省文”
 馬券の軸にしていた馬がバテてしまうのと同時に、2着候補にしていた馬が殺到してしまうって、なんて皮肉なんでしょうね(苦笑)。
 結果的にはショウナンカンプの本命が安易過ぎたと思います。気合を入れなおして、桜花賞頑張ります。

 


 

3月28日(金) 社会調査
「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(4)

 過去のレジュメはこちらから→第1回第2回第3回

 お待たせしました。モデム配り潜入レポの4回目をお送りします。
 ネット界隈で話題にして頂いたおかげでしょう、あり難い事に各方面から駒木も知らなかった情報を色々と教えてもらいまして、大変に感謝しております。提供して頂いた情報は随時講義の中で活用させてもらいますし、メールを頂いた方には4月に入ってからまたご返事を差し上げるつもりです有難うございました。
 なお、前回の講義レジュメの「モデム配りアルバイト豆知識・5」に追記をしていますので、未見の方はそちらもどうぞご一読下さい。

 ……さて、今日は前回の“閑散編”に引き続いて“混乱編”繁盛店の日曜日という、モデム配りキャンペーンにとって最も忙しいシチュエーションを舞台に、アルバイトたちの1日の流れを再現してみたいと思います。


 “混乱編”と言えども、出勤時刻は変わらず11時から。始業15分ほど前から三々五々(とは言っても2人ですが)、キャンペーンスタッフたちが店へとやって来ます。
 “閑散編”の時と違うのは、クルマを店の駐車場に止めた時に、朝の10時台からほどよくスペースが埋まっているという事でしょうか。繁盛店の場合は近隣にもホームセンターや飲食店があるので、その相乗効果もあってお客さんの出足が非常に早いのです。このあたり、朝は有閑マダムならぬ“有閑ジジ・ババ”の散歩コースに過ぎない、“閑散編”の舞台になるような店とは大違いです。
 あと、“閑散編”の時には「出勤が始業時刻ギリギリでも結構平気」…などと言いましたが、繁盛店の場合は概して店側の監視がキツく、毎朝店長やキャンペーン責任者への挨拶が義務付けられている店も多いようです。まぁ中学生の朝礼と同じく5分前くらいに滑り込めば大丈夫だと思いますが……。

 さて、そうしてこの日もモデムやパンフレットを陳列し、いつも通りに仕事を開始するわけですが、この“混乱編”では始業早々にして「さすがは繁盛店!」…という場面が訪れます。
 何と、キャンペーンの準備している側から「申し込みしたいんですが……」と申し出てくるお客さんが現れるのです。いわゆるパチンコ用語の“お座り一発”というヤツで、この日入っているアルバイトたちは労せずして“ボウズ(1日の契約件数ゼロの事。由来はフィッシング用語)を回避する事が出来るのです。
 ただし、だからと言って安心するわけには行きません。繁盛店の場合は店側のプレッシャーがキツく、求められる数字も流行っていない店とは全くレヴェルが違って来ます。その上、繁盛店の店長は体育会系バリバリの厳しい人が多いので、1日の件数が伸び悩むと激しく叱責される場合もしばしばです。もしも平日などに“ボウズ”を記録してしまえば最後、店長室に軟禁されて鈴木宗男ばりの恫喝が加えられる事も覚悟しなければなりません。
 こういう厳しい店長だから繁盛店になるのか、それとも繁盛店と呼ばれるほどの成績を維持するためには厳しい店長でないといけないのかはよく判りません。しかし、キャンペーンスタッフにとって繁盛店で勤務する事はかなりのプレッシャーを伴う事だけは確かだと言えます。(ただし、もしも優しい店長のいる繁盛店に勤務できた場合は天国ですが……)

 “お座り一発”分のお客さんの接客を終えると、いつも通りに“声かけ”を開始します。「いらっしゃいませ! ──どうぞ、いかがですか?」…というアレです。
 しかし、客と客のインターバルが数分開く“閑散編”と異なり、人の波が1日中途切れず、声を止めるヒマが無いのが繁盛店の休日の特徴です。お客さんの姿を認めるたびに腹式呼吸全開で“声かけ”をしていると、たちまち息切れと腹筋痛を起こします。
 これが“閑散編”の場合は、ヒマな時間を利用してモデムをダンベル代わりに(またこれがダンベル体操に程良い重さなんです)腕の筋肉を鍛える事が出来たりし、果てにはなかやまきんに君みたいな気分になって「ハッ! 筋肉モデム!」とか「お客さんの上腕二頭筋、キレてるキレてるッ!」とか叫び出したくなるのですが、“混乱編”の場合は腕の筋肉の代わりにノンストップの腹式呼吸によって効率的に腹筋が鍛えられます
 ただ、腹筋が鍛えられるのは良いのですが、困るのは“声かけ”の文言のバリエーションです。バカみたいに同じセリフばかり叫んでいられませんので、新しいパターンを開発しつつ“声かけ”をしていかなければなりません。この際に研修の時に貰ったマニュアルが役に立てば良いのですが、かのネクサス謹製のマニュアルには、

「ご家族の喜ぶ顔が目に浮かびます!」

 ……などといった、この世と思えぬ恥ずかしい言葉が散りばめられており、全く参考にならないのです。ご家族の困惑する顔ならいくらでもに目に浮かぶのですが、そんなキャバクラで「俺、結婚してんねん」と言うようなバカ正直な事など言ってられません。

 ──まぁそれでもなんとか3〜4パターンの短い“声かけ”を使い回しておりますと、さすがに人通りが多い繁盛店、数十分に1人くらいのペースで興味を示すお客さんが現れます。先程のパチンコの喩えで言えば“リーチ”がかかった状態です。
 “リーチ”がかかった際の接客手順としては、まず「インターネット、なさいますか?」または「パソコンお持ちですか?(どちらかと言えば高齢者向)…などと訊いてターゲットの絞込みを行います。インターネットが出来る環境でないと時間をかけて勧誘しても徒労に終わるだけなので、初めに一番肝心な事を訊いておくわけです。逆に言えば、強引なキャンペーンスタッフに絡まれた際には「パソコン持ってない」と冷たく言い放てば簡単に断る事が出来ますので、どうぞご活用下さい。

 お客さんがネットユーザーであると判れば、今度は現在の接続方法(ダイヤルアップ/ISDN/他社ADSL等ブロードバンド)を尋ねます。
 ここで「ダイヤルアップ」という回答が得られますと、“リーチ”は信頼率の高い“スーパーリーチ”に発展した事になります。この時はここぞとばかりに、
 「2ヶ月全くの無料でお試し出来ます!」
 どうせタダでキャンセル出来るんですから、どうぞ持って帰って下さい」
 アカンかったら着払いでモデム返せますし、お金要りませんから申し込んでみて下さい」
 ……などといった殺し文句がいくらでも使えるのです。「“タダで解約”以外にセールスポイントは無いのか!」…と言われるかも知れませんが、事実その通りなのですから仕方ありません

 逆にISDNやADSLとの回答を得た場合は苦戦必至となります。ISDNの場合はまず初めに有償工事(ISDN回線→アナログ回線への変換)が必要になり、「無料お試し」というわけにはいきません。また、ADSLの場合は現在契約中のプロバイダから半強制的に解約される上に2週間ほどダイヤルアップ接続を強いられます。
 こういう条件では、お客さんにその場での即申し込みを決断させるのは非常に難しく、大抵の場合は「家で検討するからパンフレットだけくれ」と言われてアウトになります。
 ここで「ヤフーのブロードバンドはどこにも負けない高品質ですよ!」…と言えれば状況も変わってくるでしょうが、そんな事、ソフトバンクが許しても最高裁判所が許してくれません。去っていくお客さんの背中を見送りながら、「おのれ孫正義、その頭の毛ェむしったろか」と怨念を脳内に溜め込む事になるのです。

 で、もしお客さんが申し込みの意志を示した場合は、即座に申込書とボールペンを取り出します。お客さんの気が変わらない内が勝負です。
 申込書はこの手の書類としてはかなり簡略化されたもので、住所・氏名・電話番号・NTT回線名義人を書くだけでよく、印鑑も要りません。当然の事ながら身分証明はしてもらいますが、レンタルビデオ屋の会員証を作る時より数段杜撰なものです。

◎モデム配りアルバイト 豆知識・6◎

 契約時のいい加減な身分証明

 “ネクサス佐藤方式”での「身分証明できるものありますか、無ければ構いませんけど」…という物凄いセリフが証明するように、このキャンペーンの身分証明はかなり危ないものが多いです。
 申込書を書いてもらう段階まで来て、「身分証明書忘れたからまた来るわ」…と言われてしまうのを避けるため、運転免許証や健康保険証だけでなく、クレジットカードなど住所が確認出来ないものでも名前が判れば“可”とされています。
 また、以前は信じ難い事に同じ名刺を2枚提示すれば身分証明された事になっていました。「普通、他人の名刺は2枚持ってないだろう」という理屈です。ただ、これは適当な名刺をデッチあげてモデムを受け取り、それをよりによってヤフーオークションに出品する猛者が続出したために、今ではNGになっています。
(注:モデムだけ入手しても、電話線の局内工事をやらないとADSLは使えないため、申し込み無しにタダで使用する事は不可能です。お気をつけて)

 あと、現在では申し込みは「18歳未満の学生は不可」という事になってしますが、これまた信じ難い事に、これに関しても以前は規定がありませんでした
 この規定が出来たきっかけは、駅パラのスタッフが“佐藤方式”を使って小・中学生へ手当たり次第にモデムをバラ撒いたら、訳も分からずモデムを押し付けられたその子供たちが速攻で駅のゴミ箱へモデムを捨ててしまい、その結果エラい事になったから…だそうです。
 研修でその話を聞いた時、駒木は「規定を作る前に、やる事いっぱい有るんとちゃうんか?」…と思ったりしたものです。 

 書類に記入してもらっている間に、お客さんの居住地区の電話局にポートが空いているか(=すぐにADSLが開通するか)を調べて、それがO.K.なら晴れて契約成立です。申込書を小切手を扱うように丁寧にしまい込み、スタッフ仲間と笑みを交わします。

 ……こうして、そんな一連の作業を1日中繰り返し、件数を稼いでゆくわけです。
 正直言って、お客さんに説明している途中は苦痛も感じます
 「値段は安いけど、カスタマーサポートに電話、繋がりませんよ」
 とか、
 「今やったらDIONが3ヶ月無料ですから、そっちの方がお得ですよ」
 ……とか言いたくなってたまりません。この講義のために全ての物事を客観視している反動がこういう時に回って来るのです。自業自得と言うべきか、魂だけは売っていないと誇るべきか、一体どうすれば良いんでしょうか。

 ──ところで、このキャンペーンには駒木たちスタッフの活動にブレーキをかける“障害”がいくつか存在します。これについても、ここで少し紹介してみましょう。

 まずは、コレは“障害”なんて言っていいのか判りませんが、既に契約したもののトラブルを抱えて思うようにサービスを楽しめていないお客さんたちのクレーム処理、かれが第一の“障害”です。
 本来、トラブル処理は電話のカスタマーサポートが担当しているのですが、ヤフーBBと言えばご存知の通り、なんと言っても至らないサポートが最大の特徴です。大抵の場合はサポートダイヤルが30分以上の順番待ちになるため、「いつまで待たすんや」と業を煮やした人たちがパラソルを営業所と勘違いしてやって来ます。で、これが結構な時間を食わされるのです。
 この場を借りて皆さんに申し上げておきますが、モデム配りキャンペーンのスタッフは、モデムを配る業務以外の研修はほとんど受けていません。いや、酷い派遣会社になるとモデム配りの研修すら満足に受けさせないまま現場に放り込んでいることすらあります。「光ファイバーよりヤフーのADSLの方が速いです」などと、「巨人はロッテより弱い」みたいな事まで平気な顔して言うドアホウもいます。
 ですので、パラソルに「ちゃんとやってるのに繋がらないのはどうしてだ?」…などといった抽象的な苦情を、しかもモデムと電話機を風呂敷に包んで「壊れてないか見てくれ」などと持参するのは止めて下さい。お願いします。そんなの手に負えません。

 2つ目の“障害”は、プロバイダー他社による同様の新規契約キャンペーンです。特に現在3ヶ月無料キャンペーンを展開しているDIONNTT(Bフレッツ、フレッツADSL)は、土・日になると多くの量販店に美人スタッフを派遣して勝負に出て来ます。
 その「どう考えても顔で選んでるやろ」と言いたくなるようなハイ・クオリティな顔の造りをした御姉様方を遠目から拝見していると、いい年した男2人で汗水垂らして頑張っているこちらがバカらしくて仕方なくなり、思わず「ヤフーBBはどうでもいいんで、僕を2ヶ月無料でお試しして下さい! いかがですか?」…と“声かけ”をしたい衝動に駆られます。
 また、これら同業他社のキャンペーンはヤフーのそれと違って、人件費は全額会社負担の上にバックマージンに加えて場所代(謝礼)も払っているケースが多いため、量販店は他社の方に肩入れする事もよくあります

 ──え、そんな事すぐに判るのかって?

 ええすぐに判ります。店員さんが、
 「ADSLのプロバイダーご紹介しましょうか。どうです、サポートの行き届いたところなんか?」
 ……って言うのですから、少なくともヤフーが薦められていない事だけはよ〜く判ります、ハイ。

 
 ──というわけで、朝から晩までただひたすら勧誘をし、時にはクレーマーや同業他社と戦って、忙しい1日が過ぎ去って行きます。
 首尾良く、良い成績が出たりなんかしますと、いつもは厳しい店長もご満悦で冗談の1つでもカマしてくれます。「冗談顔だけにして、祝儀くれ」という言葉を飲み込み、うやうやしく礼をした後はとっとと退勤します。
 店から出た頃には、例によってSVから電話がかかって来ますが、成績の良い日はありったけのボキャブラリーを駆使してお世辞を連発して来ます。“ボウズ”の時には無愛想な声で、こちらが何を言っても「あ、そうスか」としか返さない不遜な態度とは大違いです。なもんですから、聞いてもムカつくだけな歯の浮くようなお世辞を遮って「お前、スタッフを“歩く数字”にしか見てないやろ。ホンマ最低やな」と吐き捨てたくなります。
 結局、この日も適当な応対で電話を叩き切り、これで晴れて自由の身となります。「まぁ今日成績良かったから、明日くらい“ボウス”でもエエか。気楽に行こ」…などと思いながら、家路に着くのでありました……。

 
 ──というわけで、前回と今回でキャンペーンスタッフの日常をご覧頂きました。次回はスタッフ共通の不倶戴天の敵、SVことスーパーバイザーについて色々なお話をさせて頂きます。どうぞお楽しみに。  (次回へ続く

 


 

3月27日(木) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評」(3月第4週分)

 いよいよ現カリキュラムでは最後の「現代マンガ時評」となりました。
 先週お知らせした通り、来週からも週2回に分けて同様の講義を実施する予定ですが、これまでのような「レビュー長いよ!……しかも多いよ!」という、胸焼けがするような大ボリュームのゼミはあまり見られなくなるんではないかと思います。どうぞ最後までじっくりとお楽しみ下さい。

 ──では、今日も情報系の話題から。

 まず初めに、今週は「週刊少年サンデー」系月例新人賞「サンデーまんがカレッジ」の審査結果発表がありましたので、例によって受賞者・受賞作をお知らせしておきます。

少年サンデーまんがカレッジ
(02年12月・03年1月期)

 入選=該当作なし
 佳作=2編
  
・『AVENGER』
   川柳呼人(19歳・福岡)
    ・『TRANCE』
   長蔵啓丸(18歳・静岡)
 努力賞=4編
  ・『D・D・D』
   高野裕也(20歳・東京)
  ・『はなちゃん』
   吉田時計店(22歳・京都)
  ・『髪師バツ』
   平吹雅浩(26歳・宮城)
  ・『ZEN』
   梶川卓郎(27歳・東京)
 あと一歩で賞(選外)=4編
  
・『DAIVE!』
   佐伯玄太(21歳・愛媛)
  ・『オロチ』
   宇佐美道子(22歳・東京)
  ・『ジェットボ−イ』
   片岡堅(23歳・埼玉)
  ・『あぁ、塾通い』
   福井祐介(26歳・東京)

 2ヶ月合併の募集だった事もあり、今回の「まんカレ」は豊作だったようです。佳作の2人はまだ10代ですし、将来が楽しみですね。新人が連載デビューするまでは長い時間がかかる「サンデー」ですので、若いという事は大きな武器になると思います。
 今月は受賞歴無し&地方在住の受賞者さんが多いんですが、これは12・1月期ということで、首都圏在住の人たちはコミケに専念していたか、アシスタント先の年末進行で力尽きて自分の作品どころじゃなかったんでしょうかね(笑)。

 では次の話題に。
 先週のゼミでも「未確認情報」という扱いながら既に紹介した情報ですが、「週刊少年ジャンプ」の新連載シリーズのラインナップが決定しましたので、正式にお知らせしておきましょう。

 ◎18号(4月1日発売号)より新連載
  ……『闇神コウ 〜暗闇にドッキリ〜』作画:加地君也
 ◎19号(4月8日発売号)より新連載
  ……『SANTA!』作画:蔵人健吾

 加地君也さんは今から6年前の97年3月期「天下一漫画賞」で佳作を受賞し、同年「赤マルジャンプ」でデビュー。
 しかしその後はチャンスに恵まれず、増刊で1回、本誌で2回読み切りを発表しただけだったのですが、ようやくの連載獲得となりました。
 今回の連載作は昨秋に本誌で発表した『暗闇にドッキリ』のリテイク版ですが、読み切り発表当時にネット界隈で囁かれた「既成の作品の影響が強すぎる」「パターンにハマリ過ぎてて新鮮味が無い」…といった課題をどう克服するかが“突き抜け”回避へのポイントとなるでしょう。

 一方の蔵人健吾さんも、キャリア8年にしての初連載獲得という“苦労人型”の若手作家さんです。95年に「月刊ジャンプ」の新人賞で入賞した後、98年の「赤塚賞」で佳作を受賞して「週刊少年ジャンプ」に“移籍”。その後は増刊、本誌で断続的に読み切りを発表していました。
 今回の連載作は「赤マル」02年春号に掲載された同名の読み切りのリテイク版。当ゼミの読み切り版に対するレビューは「絵もストーリーも及第点以上。しかしセリフの言葉遣いが致命的に下手」…というものでした。こちらも課題を克服できているか、注目したいと思います。


 ……さて、情報はそれくらいにして、そろそろレビューへと移りましょう。今週は「週刊少年ジャンプ」から読み切りレビュー2本、「世界漫画愛読者大賞」のレビュー1本の計3本をお送りします。勿論、“チェックポイント”もお送りしますので、そちらもどうぞ。

☆「週刊少年ジャンプ」2003年17号☆

 ◎読み切り『しろくろ』作画:空知英秋

 今週の「ジャンプ」では新人作家さんの読み切りが2本掲載されました。
 まずは、昨年秋に「天下一漫画賞」佳作受賞作・『だんでらいおん』で鮮烈なデビューを果たした、現在の「ジャンプ」系新人作家さんの中で一番の注目株・空知英秋さんの新作からレビューをお送りしましょう。

 まずからですが、正直言ってちょっと粗いかな…という印象があります。もっとも、これは「3週間で51ページ」というハードスケジュールがモロに響いてしまったものでしょう。収入源の乏しい新人作家さんにアシスタントを豊富に使える余裕など無いでしょうし、物理的な事情には勝てなかったというところでしょうか。
 しかしながら意識的に手抜きをした部分は無く、必要な箇所では比較的細かい描写や変わったアングルにも挑戦しようという意気込みが感じられるのはプラス材料です。前作の課題の1つであったデフォルメ表現にも若干の進歩が見受けられます。あとは同じデビュー作からの課題である“無駄な線の多さ”がもっと解決されて来れば、ずっとプロらしい絵柄になって来るでしょう

 次にストーリーの方ですが、やはり注目すべきはデビュー作でも存分に見せつけた、新人離れした脚本とコメディの才能でしょう。この『しろくろ』でも、下手な小説家を上回る言葉遣いの使い分けや、ギャグ作家真っ青の“間”の良さで読者を作品世界に引っ張り込んでくれます。
 また、今回のような“ノリの良い”話は、下手に笑いに走りすぎるとコメディを飛び出してギャグマンガになってしまい、逆に興醒めになってしまう事があります。しかしそれも適度にシリアスな空気を交えてギリギリのところでストーリー作品の枠内に収まらせており、その辺りのセンスも注目に値するところです。

 ただ、問題点もあります。51ページの終盤まで話の核心が見えて来ず、さらには話のノリが良すぎるために、読み疲れや若干の中だるみ感がどうしても出て来てしまったのです。
 まぁこの点に関しては、逆にコテコテでワンパターンの話を51ページで見せられても酷く苦痛なので、大変に難しい所ではあります。が、もう少し話のテンポに緩急をつけ、話の前半で伏線を張って後半でまとめる…など改善の余地はまだ残されていると思います。新人作家さんにしては厳しい注文になりますが、既に新人の域を越えている空知さんならば、近い内に克服してくれると期待しています。

 評価ですが、絵の粗さとストーリーの中だるみをやや減点し、それでも類稀な才能を評価してB+寄りA−の評価を進呈したいと思います。間違いなく一流の才能を持った逸材です。「ジャンプ」編集部には、この人を埋もれさせたり潰したりしないよう、格別の配慮をお願いしたいと思います。

 ◎読み切り『野球狂師の詩』作画:郷田こうや

 読み切り2本目はギャグマンガ。あの島袋光年氏に才能を見出されたという特異な経歴を持つ、郷田こうやさんの登場です。
 郷田さんは00年から代原作家として度々本誌に登場していたのですが、今冬の「赤マル」掲載を経て、遂に正規枠での本誌読み切り掲載となりました。以前、「週刊少年ジャンプこの1年」(第2回)の中でも採り上げましたが、98年に「ジャンプ」でいわゆる代原制度が確立されて以来、本誌で連載を獲得した代原作家は未だゼロ(注:南寛樹さんが「週刊少年サンデー」と「週刊コミックバンチ」で連載獲得の記録あり)。郷田さんがこの忌まわしきジンクスを破る事ができるかどうか、今後も注目ですね。

 さて、それではレビューの本題へ。

 もう郷田さんの作品はこのゼミで相当な回数レビューしていますが、回を追うたびに絵が着実に上達しているのに感心させられます。アシスタント修行をしているのか、背景の描写も相当手慣れているようですし、今回は馬の描写という難しいテーマに挑戦するなど、意欲的な姿勢に大変好感が持てるところです。

 ただ惜しむらくは、絵に比べて肝心のギャグ技術の上達が今一つなところでしょう
 郷田作品の以前からの欠点であった、ギャグのバリエーションが少なくて一本調子な点については、まだまだ不完全ながら徐々に良くなって来ています。しかし、今度はギャグに対するツッコミが単純すぎてそこで笑いが取れず、結局またワンパターンに感じてしまうようになってしまいました
 また、“間”がイマイチ良くないのも気になります。コマ割りなどの構成力が洗練されておらず、この辺りもギャグの勢いを削ぐ結果に繋がっているような気がします。

 というわけで、この作品については、絵は及第点をあげられる出来なのですが、ギャグマンガとして肝心な部分はまだまだ新人・若手の域を脱するところまでいっていません。
 ここで本来ならば奮起を促すべきところですが、郷田さんの場合はキャリアと発表した作品の数から考えると、そろそろ“頭打ち”と判断せざるを得ない時期に差し掛かっているのではないでしょうか。幸いにも画力はついているのですから、原作者をつけてストーリー作品にチャレンジするなど、色々な可能性を探ってみるのも面白いと思うのですが……。
 評価はB−としておきましょう。


◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆

 巻末コメントでは矢吹健太朗氏がCGを勉強するためパソコン購入と報告。「ネットはしません」宣言「そりゃあ自分の悪口パクリ糾弾記事読まされるだけだもんな」と納得する一方で、「もしもエロゲーやり始めた挙句、『同人ゲームだし、パクってもいいか』とか言って金髪・白セーターの女吸血鬼とかメガネの似合うカレー好きのエクソシストとか双子で赤髪の美少女メイドとか出しやがったら殺す!」……と決意を新たにした駒木でした。

 ◎『いちご100%』作画:河下水希【現時点での評価:/雑感】
 
 高校生の男子にとって、自分の部屋に女の子が同居するシチュエーションにおけるメリットとデメリット……うはぁ、複雑すぎますって(笑)。
 よく考えたら、『りびんぐゲーム』作画:星里もちる)の中で同じ悩みを抱えた20代後半の不破雷蔵も大層苦しんでらっしゃいましたなぁ。
 駒木の部屋? そんなもん、10年分の「週刊プロレス」と「週刊競馬ブック」で埋もれてて、女の子が入れる状況にありませんがな。

 ◎『TATTOO HEARTS』作画:加治佐修【現時点での評価:B+/連載終了に当たっての総括】

 先週の『グラナダ』に続いて、こちらも“突き抜け”終了。
 この作品、悪くは無いんですが、それ以上に良くなかった…という感じでしょうか。連載が始まった時は『Ultra Red』より早く終わるとは思ってませんでしたが、余りにもインパクトが尻すぼみになってしまいましたね。
 全話通じて読んでみますと、キャラクターが“設定”の域を越えられなかったのが致命的だったような気がします。一言で言えば、キャラクターが粋じゃなかったんですね。
 最終評価はということで。
 

☆「週刊少年サンデー」2003年17号☆

◆「サンデー」今週のチェックポイント◆

 ◎『金色のガッシュ!!』作画:雷句誠【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】

 「怒りに任せて復活&パワーアップ」とか「都合の良すぎるタイミングで味方登場」とかいった、少年マンガのベタベタなパターンも、見せ方次第によって説得力が随分と違うもんだと思わせてくれますね。
 特に恵とティオの登場なんて、ナゾナゾ博士の性格がアレでなければ今回みたいに出来なかったわけで、連載作品というのは、やっぱり積み重ねてナンボなんですね。面白い作品は何をやっても面白いし、ダメな作品で何をやってもダメなわけですね。

 ◎『美鳥の日々』作画:井上和郎【現時点での評価:B+/雑感】 

 さ、さすがに指チュパは……(絶句)
 しかしまぁ“何をやっても可愛くなってしまう少年キャラ”が上手い少年誌作家っていうのも珍しいですね。明らかに何かが間違っとるような気がします。

 ◎『からくりサーカス』作画:藤田和日郎【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】

 見せ方次第で説得力が違うのパート2。
 力量のある人に全力で悪役を描かせるとこうなるんですなー。本当に底の知れない悪くて嫌な奴。それでいて「読みたくない」と思わせるような嫌悪感は湧かないのがまた凄い。
 藤田さんは今でも十分評価されていると思いますが、それでももっと評価されるべき作家さんだと考えてるのは駒木だけでしょうか?

 ☆第2回☆
☆「世界漫画愛読者大賞」最終エントリー作品☆

 ◎エントリーNo.8 『ちゃきちゃき江戸っ子花次郎の基本的考察』作画:赤川テツロー

 いよいよこの「世界漫画愛読者大賞」エントリー作完全レビューも最終回です。実は1週目の『軍神の惑星』を読んで、「これが平均レヴェルくらいならイケる!」と思ってゴーサインを出したんですが、実はこれが1、2を争う作品だったという……(溜息)。
 まぁ詳しい総括は来週辺りにやるとしまして、今週分のレビューをやってしまいましょう。

 今週のエントリー作の作者・赤川テツローさんは、東京都出身の44歳。今から20年以上前に赤塚賞の最終選考に残り、それが縁で「週刊少年ジャンプ」の増刊でデビュー。その後、幼年少女誌に移籍して連載を獲得するも、極度のスランプに陥ってしまい、ここ最近は読み切りを散発的に発表しながらアルバイトで食べている…との事。「世界漫画愛読者大賞」お馴染みの、“消えた若手マンガ家敗者復活戦”パターンですね。

 では作品の内容へ。形式としてはショートギャグなので、手短に行きましょう。

 絵柄は赤川さんのキャリアを象徴するように、マンガというよりも絵本的というか、キャラクターイラスト的なもの。かなり個性的な画風といって良いのではないかと思います。特に下手だとは思いませんが、現代のマンガに向いている絵ではないのかな……という気はしますね。
 で、内容ですが、これはタイトル通り江戸っ子である主人公の“江戸っ子らしさ”を羅列的に描写し、考察するというものです。狙いとしては読者に「あぁ、そういうのある、ある」と思わせて笑いを取りたかったのでしょう。テツandトモ風に言えば『江戸っ子が○○なのはなんでだろう〜』…という感じなのでしょうね。
 しかし、致命的なのは、この作品は「あぁ、あるある」ではなくて「で、それで?」になってしまう所です。既に手垢がつきまくったネタをこねくり回しただけで新鮮味が全く有りませんし、どこを面白く見せたいのか…という作者の主張が全然伝わって来ないのです。

 読者審査員の銀次さんにお聞きしたところ、この作品は編集部サイドも読者サイドも評判が芳しくなく、どうして最終審査に残ってしまったのか、今になっても不思議だとの事です。読者審査員の方は仕方無いにしても、プロの編集者が何となくで決めちゃうのはプロとしていかがなものかと思うのですが……。
 評価はC寄りB−とします。

 ・「個別人気投票」支持しないに投票。(この作品が1年以上の連載に耐えられるとは思えません)

 ・「総合人気投票」「グランプリ信任投票」でこの作品を支持することはありません。

 全作品総括と総合人気投票については、来週中に何らかの形でお届けする予定です。

 
 ……というわけで、このスタイルでの「現代マンガ時評」はこれにて終了です。長い間ご愛顧有難うございました。また4月からも別の形でお目にかかりますので、どうぞ宜しくお願いします。ではでは。

 


 

3月26日(水) ギャンブル社会学特論
「麻雀・競技プロの世界」(5)

※過去のレジュメはこちらから→第1回第2回第3回第4回 

駒木:「さて、日付上は3日ぶりの講義だね(笑)」
順子:「実際はダブルヘッダーなんですよね(笑)。博士、病気の方はもう大丈夫なんですか?」
駒木:「おかげ様で。まだシックリ来ない部分もあるんだけど、これはもう4月に入ってから治すしかないね。まぁ今日はTV生出演の椎名林檎さんが観れたり、仲間由紀恵さんに萌えたり出来たから元気充分だよ(笑)」
順子:「土曜日の講義レジュメ見ても思ったんですけど、博士って、単純な理由でバカみたいにテンション上がりますよね(笑)
駒木:「おい、バカってなんだよ、バカって(苦笑)」
順子:「あれ博士、今週の『サンデー』読まなかったんですか? 『バカ』は褒め言葉なんですよ(笑)」
駒木:「まったく、口だけは達者なんだからなぁ(苦笑)。……まぁいいや、本題へ移ろう。
 今日がとりあえずこのシリーズの最終回。先週までのプロ団体分裂史の続きをやって、その後でプロ団体の現況について簡単に喋っていこうと思ってる」
順子:「せっかく講義に馴染んで来れたと思ったら、またお別れなんですね(苦笑)」
駒木:「まぁ業務縮小後はどうするか全然決めてないからねぇ。でも、もしまた麻雀関連講義をやる時には講義に出てもらうから、その時は宜しく」
順子:「は〜い、頼まれました(笑)」
駒木:「それじゃ、話を進めるよ。1996年に最高位戦から麻雀(麻将)連合ミューが分離独立した後、最高位戦はまた例によって質より量の大量新規採用をやって、団体規模を持ち直した。
 プロ連盟設立騒動の時の飯田・金子両プロのような超逸材はともかくとして、現Aリーグの村上淳プロ最強位を獲った長村大プロ(現:プロ協会)みたいな若手実力派も発掘して、最高位戦は健在をアピールしていったわけ。
 ところが、それから6年経った2002年、つまり去年になって最高位戦はまたまた2つに分裂する
順子:「またですか(苦笑)。……というか、それは雀荘でバイト始めてからの話なんで、さすがに知ってますけど(笑)」
駒木:「出来た団体は日本プロ麻雀協会。これが事実上、最高位戦を乗っ取るような形で設立された。代表はマンガ原作者としても業界内では有名な土井泰昭プロだね」
順子:「乗っ取りですか。そこまではわたしも知りませんでしたけど……」
駒木:「何しろ最高位戦の正式名称『最高位戦日本プロ麻雀協会』なんだから、日本プロ麻雀協会の名前は、実はそのまんまなんだよ。この分裂劇が一筋縄じゃいかないのは、それだけ見ても一目瞭然だろ?(苦笑)
 最高位戦というのは、もともと竹書房が主催した長期リーグ戦だったわけで、それがプロ団体化した後も繋がりは深かったんだよね。「近代麻雀」に後援店の広告載せてもらって資金稼いだりとか。ところが、最高位戦の中では大ベテランの人たちを中心に、あまり竹書房を良く思っていない人たちもいたわけ。で、それが原因で団体が割れちゃった
順子:「あの〜、一言言わせてもらえるとですね、メチャクチャカッコ悪いんですけど、その分裂って(苦笑)」
駒木:「あーあ、言っちゃったよ(苦笑)。……でもまぁ気持ちは分かる(笑)。ファン無視も甚だしいし、第一、講談社や小学館とかじゃなくて、どう考えても大手じゃない竹書房が原因で仲違いだなんて、スケールが小さ過ぎるよね(苦笑)。しかしまぁ、狭い業界ほどよく揉めるって言うから、分裂するのも仕方ないと言えば仕方が無い。
 でね、この分離・独立が“乗っ取り”という理由は、新団体であるプロ協会が竹書房の全面協力を得て、しかもそのオフィスが、それまで最高位戦がオフィスとして使っていた所だったからなんだよ。これは土井代表が元・最高位戦専務理事で実務を取り仕切っていたかららしい。つまり、『元々俺が切り盛りしてたオフィスなんだから使わせろ。スポンサーの竹書房からも支持を取り付けてんだ』…って理屈なんだな」
順子:「もの凄い理屈ですね、それも(苦笑)」
駒木:「これが通っちゃうから凄い業界だね。一般常識的には、ソバテンのドラくらい通らない理屈なんだろうけど。
 可哀想なのが最高位戦だった。人材的にはAリーグプロの大半が残留したから被害は大きくなかったんだけど、長年使ってきたオフィスが無くなって“ホームレス団体”になってしまった。一時期は団体の連絡先が090から始まる携帯電話番号だったりしたんだよ(笑)」
順子:「そんな、今時の一人暮らししてる学生じゃないんですから……(笑)」
駒木:「そうだよなぁ(笑)。でも、そうやって今も生き延びてるんだから、最高位戦って凄い団体だよ、色々な意味で。
 ……とまぁ、こういうわけで日本に6つ目のプロ団体が出来上がって現在に至る。……ふぅ、これでやっと歴史を語り終えたね」
順子:「知ってても役に立たない歴史ばかりでしたけどね(苦笑)」
駒木:「お願いだから3週間分の講義を否定するようなセリフはよしてくれないか(苦笑)。
 ……じゃあ最後に、現在活動中のプロ6団体がどんな活動をしているかを話して、講義を締め括る事にしようか」
順子:「は〜い。じゃあ、まず活動開始順ってことで、最高位戦からお願いします──」
駒木:「何と言うか、“象が踏んでも壊れない団体”って感じだね(笑)。去年、シーズン途中にプロ協会への選手大量離脱があったと思ったら、シーズン終了時には80人近くの大所帯に戻ってるんだからビックリする。まぁ、例によって高いのは受験料だけのプロ試験で水増しされた下部リーグのレヴェルがどんなものかは想像に難くないけれども(苦笑)。
 ただ、離脱の影響が小さかったAリーグのレヴェルだけは、さすがに老舗団体の重みを感じさせるね。古久根現最高位、飯田プロ、金子プロの3人がいて、イキのいい若手が何人か残ってたら最低限の威厳は保てるだろうね。あとはやっぱり分裂しない努力をしてもらいたいもの。団体の目標である、『麻雀の楽しさを広く深く理解してもらう』を達成するためには喧嘩ばかりしてたら何にもならないしね。
 あともう1つ注文をつけさせてもらえるなら、老舗の割には普及活動と地方支部活動が昔から弱いのが気になるところだね。まぁ、ただのリーグ戦が発展した団体だから、公式戦以外の活動は二の次になっちゃうのは仕方ないけれども……」
順子:「だんだんマジメな話になって来ましたね。何だかわたしの講義じゃないみたいです(笑)。じゃあ次はプロ連盟についてお願いします〜」
駒木:「ある意味で一番プロ団体らしいのはここかも知れないね。何て言うか、将棋や囲碁の世界に少し近い感じ。不完全だけど段位制度も確立しているし、アマチュアの段位免状制度まで作られてるしね。
 また、順位戦参加プロ約150人に加えて、第一線から退きながらも他のプロ公式戦に出場したり、地方で支部活動をやっている“フリークラス”プロもベテランを中心に結構多い。プロの資格を得た後も地方で活動を続ける人も多いし、何と言うか縛りが緩い団体かな。他の団体だと、東京でやるリーグ戦に参加しないとプロでいられない事が多いから。まぁ何にせよ、安定した団体運営が出来てるのは良い事だ。
 ただ、難点を言わせてもらうと、所属プロの人数の割に華のある選手が少ないかな。有名なのは一部のベテラン選手か、清水香織プロとか二階堂姉妹みたいな美人女流プロ数人だけだものね。下部リーグのレヴェルについても課題が多いし、あとはどこまで質を高められるかってところじゃないのかな。ハードと看板(段位免状の署名は灘麻太郎会長、小島武夫最高顧問、畑正憲相談役という豪華メンバー)はしっかりしてるんだから、あとは若手が奮起するだけ
順子:「要約すると『割とがんばってる』ってことみたいです(笑)。じゃあ次は一〇一競技連盟をお願いします」
駒木:「ここは本当に“孤高の存在”だよね。普遍という概念から程遠い独特のルールの中で、少数精鋭の運営がなされてる。順位戦参加選手に何故か昔から最高位戦との掛け持ち選手が多かったのも特徴。
 あと、ここは普及活動やプロ候補育成活動もシッカリしている方。少なくとも可愛いオネエチャンをフリーパスでプロにしたりする志の低い事はやってないはずだよ。ただ、ルールとストイックさが敷居を高くしてしまっていて、意気込みほど普及が進んでいないのも事実だね。
 余談だけど、神戸は団体創立者・古川凱章さんの準地元だけあって、一〇一系のフリー雀荘がいくつかある。ただ、その店のルールは赤6枚入りで全然一〇一してないから面白い」
順子:「私がバイトしてるお店の商売敵ですね。どことは言いませんけど(笑)。
 ……じゃあ次は麻将連合ですね」

駒木:「ギャンブルとしての麻雀を事実上否定した、ウチの講座としては『なんだかな〜』な団体だね(苦笑)。でもまぁ、中国式麻将の国際普及とか、初心者向け麻雀教室の実施とか、全国的なアマチュア・プロ候補育成活動とか、やってる事には筋が通ってるね。まぁ代表(井出洋介プロ)に似て優等生的って事なのかな。もっとも、井出さんは意外と初心者に教えるのが下手だって評判らしいけどね(苦笑)。
 懸念材料としては、マイナー雑誌『月刊プロ麻雀』の枠内に閉じこもっちゃってて、あまり表舞台に出て来ないという事と、あとは目標とか理念のレヴェルが高過ぎるせいか業界内の賛同者があまり増えてくれない事が挙げられるかな。人間が仙人を目指して霞だけで生きようとしている…みたいなところがあるように思えるんだよね」
順子:「さぁ、博士の口が滑って来たところで(笑)、次は日本プロ麻雀棋士会ですね」
駒木:「ここは余り喋る事無いんだよなぁ(苦笑)。元々は女流ばかりの華やか〜な団体を目指していたのが全くの企画倒れに終わって、それで止む無くインディーズ団体として再出発したばかりの団体だからね。所属“棋士”も10人程度しかいないし、どうしたってまだまだこれからの団体だよ」
順子:「女流ばかりの団体ですか。正直、目の付け所は正しいと思いますけどね〜」
駒木:「ところが麻雀界の場合、女流はある程度若くて綺麗な人じゃないと意味が無いんだよ(苦笑)。大きな声じゃ言えないけど、オバサンプロは女流とは扱ってくれないみたい(苦笑)」
順子:「む〜、でも結局は男の世界ですもんね〜、麻雀界って
駒木:「恥ずかしながら……ね」
順子:「……それじゃ、最後に新しい方のプロ協会について、どうぞ」
駒木:「まだ出来たばかりの団体にあれこれ注文するのは筋違いだろうけど、何て言うかプロ連盟の逆って感じがあるね。知名度のある若手プロは揃っているんだけど、選手層や団体のバックボーンはまだまだってとこ。
 特にAリーグのメンツがねぇ。元々最高位戦でB〜Cリーグだった選手が平気な顔してトップ争いしてるのは、見ててあんまり気持ちの良いもんじゃないね。Bリーグなんか、最高位戦で一番下のC2リーグで万年下位争いしてた人までいるんだもんなぁ。
 まぁ、マスコミと太いパイプがあるのは大きな武器だけど、早いところ選手たちの実力の底上げをして業界内の評価を上げないと、いつか頭打ちになりそうな気がするなぁ。そうならないように願ってはいるけどね」
順子:「何だか、どの団体も一長一短ってところですか?」
駒木:「そうなっちゃうね。業界そのものの勢いがアレなんだから、団体1つ1つの勢いが伸び悩むのも仕方ないとは思うんだ。でもまぁ、若手の選手の間では団体の垣根はほとんど無いって言うし、近い内に大同団結があれば良いと思うよ。それかせめて囲碁の世界みたいに、いくつかの団体が1つの舞台で勝負するような形を整えないとね」
順子:「なるほど〜。その内、阿佐田哲也が小学生に憑依する話の少年マンガとか出て来たら面白いですね(笑)」
駒木:「『ヒカルの碁』じゃないんだから(苦笑)
 ……まぁそういうわけで、ちょっととりとめもないけど今回のシリーズはこれにて終了。皆さん、御清聴ありがとうございました」
順子:「ありがとうございました。それじゃ、またお会いしましょう〜♪」 (この項終わり)

 


 

3月23日(日) 社会調査
「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(3)

 過去のレジュメはこちらから→第1回第2回

 故有って、この講義の準備を始めたのが26日未明になってからなんですが(苦笑)、チャチな病に悩まされている内に、またしても“インパクト(受講者数急増)が起こってしまいました(笑)。あと1週間で業務縮小しようって時にこういう出来事があるあたり、いかにもウチらしい話ですね。
 『がんばれ!! ゲイツ君』さん「ラーメンマンさん」みたいな言い方でアレですが)からいらっしゃった方、はじめまして。もしよろしければ、正式なトップページから見て下さると嬉しいです。左フレームから過去の講義レジュメなどが読めますので、どうぞ宜しく。結構色々な事やってますんで(笑)。

 ……さて、今日の講義からは“実戦編”。普段モデム配りのスタッフたちはどのようにして働いているのか、つまり「モデム配りスタッフの1日」を紹介してゆこうと思います。
 ただしこの仕事、配置されたパラソル(ブース)付近の客数によってその内容が大きく異なってしまいますので、この度は今回の“閑散編”と次回の“混乱編”の2回にわけてお送りする事にします。
 というわけで、今日はまず“閑散編”から。では早速いってみましょう── 


 ──モデム配りアルバイトの始業時刻は11時(一部では10時から)で、決して早くはありません。時間とモデム入り紙袋をぶら下げる手が空いている買い物客を狙ったキャンペーンですので、どうしても昼前からサラリーマンの仕事帰りを狙った時間になるのです。夜のお仕事ならぬ真昼のお仕事といったところでしょうか。とは言ってもみのもんたみたいにスーパーの棚から商品が消えるまでココアを薦めたりもしませんし、それを信じてココアを飲みまくって危うく死にかけた大橋巨泉なんてどうでもいい話です。

 で、駒木の登録している派遣会社では、主に電器量販店の店内でキャンペーン活動を行う事になっています。
 つまり家電製品やパソコン、周辺機器を買い求めに来たお客さんに、商品のついでにヤフーBBを薦める…というわけですね。

◎モデム配りアルバイト 豆知識・4◎

 量販店と“駅パラ”

 恐らく受講生の皆さんが多く目にしているはずの、鉄道駅構内でのパラソル・キャンペーン(通称:『駅パラ』は、主にあの悪名高き“佐藤方式”(前回参照)で有名なネクサスなどのガラ悪い系・派遣会社が担当している事が多いのが特徴と言われています。逆に量販店内のブースを担当しているのは“まだマシ”な会社であるとのこと。
 何故そうなっているのか理由はよく分かりませんが、業界内の噂では「その手のガラの悪い会社は粗相をやらかすので、イメージを気にする量販店に嫌がられている」…などとまことしやかに囁かれています。まぁ、せっかくの顧客に無理矢理&問答無用でモデム渡されたら、イメージを気にする量販店としては溜まったもんじゃないでしょうし、これは当たらずとも遠からじといった所ではないかと思います。
 これは逆に言えば、もしこのキャンペーンでヤフーBBを試してみようと思っている方は、駅パラではなくて量販店で申し込みをする方が無難であると言えます。駅パラの全てがマズいとは言いませんが、キャンペーン内容についてキチンとした説明をしてくれない可能性が非常に高いです。(第一、駅構内で立ったまま長い説明なんて聞いてられませんし……)

 まぁそういうわけで、駒木も“職場”となる量販店に出勤します。量販店は既に営業中ですので、お客さんと同じ出入り口からの入店となります。出勤時刻の目安は始業10分前辺りで、メンツが揃い次第担当SVに出勤報告をする事になっているのですが、実際に見張られているわけでもありませんので、余程の常習でない限りはギリギリに出勤しても大目に見てくれると思います。
 店に入ると、まずは中にあるブースへ直行し、そこでユニフォームのブルゾンやベンチコートを着込みます。ユニフォームは複数で着回しする上に原則として洗濯をしないので、どの服も微妙に汚れているのが何とも貧相です。また、サイズが1種類(フリーサイズ)しか無いために、ガタイの大きな男性スタッフなどは1日中大リーグ養成ギプスをつけているような苦行を強いられます。
 普段LLサイズを着る駒木もこれは大変に苦痛で、体調不良の原因となった背中の凝りは、どうもここから来ているとしか思えないのです。これが訴訟国家アメリカなら裁判で38億円くらい請求できそうですが、日本の裁判制度だと、まず訴状に貼る印紙代で破産してしまいそうなので止めておきます。
 とはいえ、ソフトバンクもせっかく800億円分もヤフー株を売りさばいたのですから、3億円くらいかけて全スタッフにオーダーメイドのユニフォームを配布するくらいの気風の良さが欲しいところです。いやそれよりも、「日本のIT産業の事を考えるんやったら、その800億円で死ぬまで隠居して暮らせ、孫正義!」……と言う人も多いんじゃないかと思います。いや、駒木は言いませんよ、言いませんとも。

 ユニフォームに身を包んだら、店のバックヤードから在庫のモデムを運び出し、ブースの設営作業に移ります。展示用のモデムを引っ張り出して目立