「社会学講座」アーカイブ

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講義一覧

4/30(第9回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(4月第5週〜5月第1週分・後半)
4/29(第8回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(4月第5週〜5月第1週分・前半)
4/24(第7回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(4月第4週分・合同)
4/17(第6回) 競馬学特論「駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜04年春シリーズ・暫定第4戦・皐月賞」
4/16(第5回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(4月第3週分・合同)
4/10(第4回) 競馬学特論「駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜04年春シリーズ・暫定第3戦・桜花賞」
4/9(第3回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(4月第2週分・合同)
4/6(番外) 
第1回駒木研究室競馬予想No.1決定戦・駒木ハヤト罰ゲーム特別企画体育(一般教養)「スリムな体で夏を! 今日から始められる踏み台昇降ダイエット講座」
4/2(第2回) 競馬学特殊講義「駒木博士の高知競馬観戦旅行記」(2)
4/1(第1回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(3月第5週〜4月第1週分・合同)

 

2004年度第9回講義
4月30日(金) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評・分割版」(4月第5週〜5月第1週分・後半)

 2日連続のゼミ実施となります。
 ……色々前口上を考えたりしたのですが、どうにもまとまらんので、とりあえずレビュー行きます(笑)。

 本日分は「週刊少年サンデー」22・23合併号の内容についてのゼミです。「ジャンプ」については前日分講義レジュメをご覧下さい。


 「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報

 今週は新人賞の結果発表、新作掲載の公式アナウンスはありませんでした。

 ※今週のレビュー&チェックポイント
 ●今週のレビュー対象作…2本
  「サンデー」:新連載1本/読み切り1本 

 ※7段階評価の一覧表はこちらから。

☆「週刊少年サンデー」2004年22・23合併号☆

 ◎新連載『道士郎でござる』作画:西森博之

 作者略歴
 
1963年11月23日生まれの現在40歳

 「週刊少年サンデー」ウェブサイトの公式プロフィールによると、デビューは87年の「増刊サンデー」で発表した『プー太郎』
 その後3年間の詳細な経歴は不明ながら、90年に『甘く危険なナンパ刑事』で初の週刊連載を獲得(90年12号〜37号)。そして同年40号より開始の『今日から俺は!』がヒットし、97年47号まで7年にも及ぶ長期連載となって「サンデー」内での地位を確固たるモノとする。
 その後も短い間隔で次々に週刊連載を務め、98年から99年にかけて『スピンアウト』(作:春風邪三太)、99年から03年にかけて『天使な小生意気』を発表する。『天使な──』では、01年度に小学館漫画賞・少年部門を受賞(同賞同部門の同時受賞作に『名探偵コナン』)。
 今作は5回目の長期週刊連載獲得となる。これは現役「サンデー」作家の中では第2位の記録。(1位はあだち充さん

 についての所見
 相変わらずの良い意味でも悪い意味でも独特な絵柄ですね。ひょっとすると目の肥えた読み手には、やや粗いと思われる部分が多いかも知れません。
 ……とはいえ、ここまでキャリアを重ねて来た作家さんだけあって、マンガの表現手段としての力は問題ありませんね。やや動的表現がぎこちないような印象も見受けられますが、これを目ざとく減点材料にしてしまうのには躊躇を覚えます。
 キャラクターデザインに関しての印象としては、キャラによって美醜のコントラストが物凄くハッキリしているなぁ…といったところでしょうか。前作『天使な小生意気』では、この辺がストーリー・設定と上手く噛みあって、作品の成功の一因になった(外見と中身のギャップを大きくして読み手に感銘を与えた)のですが、今回は果たしてどうなるでしょうか。
 
 ストーリー・設定についての所見
 今回の時点ではシナリオがまだプロローグ段階にあるので、ストーリーに関しては述べるべきポイントが見当たりません(笑)。成功した後の次回作で短期打ち切り査定が免除されているのか(推測)、かなり“まったりムード”の展開になりそうですね。
 基本的な設定──“サムライ・ニッポン”かぶれの外国人(又は帰国子女)キャラと現代日本とのギャップを描いたコメディ──は、過去にも色々な作品で使われて来たアイディアですね。ただ、長期連載作品の主人公でその設定というのは珍しいと思います。
 使い古されたアイディアを使う事自体は悪くないと思いますが、使い古された設定は読み手にも先の展開が丸分かりになるわけで、その中でいかに新味を出していくかは大きな課題になると思います。ベタなパターンの中で、どんなテーマを表現するのかがカギになるでしょう。

 今回の評価
 シナリオに関する評価が未だ出来ない状況ですので、とりあえずは保留としておきます。

 ◎読み切り『グッドラックノストラダムス』作画:武村勇治

 作者略歴(武村さんの公式サイト等による)
 1970年生まれとのことで、今年34歳
 山田貴敏さんのスタジオでアシスタント修行後、94年に増刊でデビュー。その後、95年に読み切りを一度発表した後、96年から98年まで『あらかると』を増刊に連載
 週刊本誌初進出は99年、企画モノの『川上憲伸物語』で、同年末より『マーベラス』を週刊連載する(00年1号〜47号)。
 その後、「ヤングサンデー」誌に進出(01年4月〜9月)するも、「少年サンデー」に復帰し、02年には短期集中連載で『ダイキチの天下一商店』(作:若桑一人)を発表。これが『売ったれ ダイキチ!』に改題・リニューアルの上、03年に長期連載化される(03年22・23合併号〜04年8号)
 今回は連載終了以来の復帰作となる。

 についての所見
 キャラクターデザインのバリエーション、シリアスとディフォルメのコントラスト、その他もろもろの表現技法など、「サンデー」作家さんの中でも高いレヴェルにあると思います。ディフォルメを極端にし過ぎて、過剰なドタバタ感を与える嫌いもありますが、今回の作品では悪い方向には出ていないでしょう。 

 ストーリー・設定についての所見
 まず、設定はユニークでしたね。「占い」、「予言」を題材にしながら、そこから全く逆方向へ話を展開させてゆくというのは、意外性も相まってかなり新鮮に感じました
 ただ残念ながら、その設定とストーリーやキャラクターが全く噛みあっていないのは大きな減点材料になります。特にノストラダムス堂の兄ちゃんが、主人公の父親から未来の大事さを教わって、どうして詐欺師紛いのエセ予言師にならないといけないのか…という辺りに無理があり、スムーズに感情移入してゆけないのは痛いですね。
 また、キャラクターの設定も、よくよく考えると無茶苦茶な人物ばっかりで、正統派のヒーロー話は勿論、アンチヒーロー系の話にもなり切れていないような印象が窺えました。惜しい所まで行ってると思うんですけどね。

 あと、どうでもいい話ですが、素手であんな強烈なパンチを繰り出していると必ず拳をぶっ壊してしまうので、せめてオープンフィンガーグローブくらいは着けさせましょう(笑)。
 
 今回の評価
 設定に大きな矛盾点があり、作品の完成度としては低くなってしまいました。ただ、絵の好感度は高いですし、深い事を考えずに楽しむ事は難しくない作品でもありますので、B+寄りB評価としておきましょう。ただ、これを連載化して成功させるには、かなりのマイナーチェンジが必要になって来ると思いますが。

◆「サンデー」今週のチェックポイント◆

 巻末コメントのテーマは、「もし祝日が作れるなら、何の記念日にしますか」。
 ……という事だったのですが、暦の上での休みとは無縁、それどころか年末年始、お盆、GWには無体な強行スケジュールまで押し付けられるマンガ家さんたち。出て来るのは提案よりも愚痴の方が多いようで……。
 駒木は……何の記念日かはさておき、6月に1日くらい祝日欲しいですね(笑)。

 さて、それでは連載作品についての雑感を。

 久々にコメディ色を強くした『結界師』、良い感じです。やっぱりこういうのは、シリアス系エピソードの間に挟む“箸休め”だからこそ効果的なんですよね。全体的に絵柄をディフォルメにしたのも気が利いてます。
 ただこの作品、1つ1つのエピソードの完成度は申し分無いのですが、物語全体の“軸”が無いのが気になります。主人公サイドの大目標みたいなものが有れば、グッとストーリーも締まって来ると思うんですけどね。

 物語の“軸”と言えば、序盤の迷走を乗り越えて立ち直り気配をみせているのが『こわしや我聞』ですね。ベタな路線ではありますが、我聞と国生さんの関係をクローズアップするようになってから徐々に良くなって来たように思えます。まだ全体的に洗練する余地は残っていますが、この調子で頑張ってもらいたいものです。

 『焼きたて!! ジャぱん』、もはや文句をつける気力も失うくらいの惨状ですが、「コミックビーム」5月号よりも回収すべき雑誌がここにあると申し上げたいと。
 
 惨状と言えば『思春期刑事 ミノル小林』も、復調への糸口が掴めない現状でしょうか。こちらの作品は水口尚樹さんの実力は確かだと分かっているだけに、忸怩たる思いで一杯です。

 ……というわけで、今週の感想は以上なんですが、最後にペンディングしていた『怪奇千万! 十五郎』の作者情報と連載総括を。

 まず昨日の講義冒頭で少し述べた川久保栄二さんの過去についてですが、どうやら駒木が以前から聞いていた噂──約10年前に週刊本誌で短期集中連載経験アリ──は本当の話だったようです。(情報元は2ch掲示板の『十五郎』追悼スレ「恐怖の追跡 〜あの人たちは今?〜」漫画編特別部門04年4月分。もっとも、実際に掲載誌を確かめようが無いので、確定情報にはならないのですが……)
 その短期連載作品とは、94年10号から7回に渡って連載された『無限・ゼロ <∞ ←→ 0>』というプロ野球マンガ。ピッチャーの主人公は年俸1円、ただし打者1人を抑えるごとに倍々プッシュ…という設定の作品とのこと。実際に読んだわけでもない作品にあれこれ言うのは反則ではありますが、いかにも川久保さんらしく、「俺の考えた設定は面白いはずだ!」…という根拠の無い自信に満ち溢れてるなと(笑)。
 結局、この作品では長期連載獲得に至らず、川久保さんは10年近くにも及ぶ雌伏期間を強いられるわけですが……しかし、本当に言葉が出ないですね(苦笑)。人生色々考えさせられますよ、ええ。

 で、それはさておき『十五郎』の連載総括へ。……とは言っても、この作品の総括とは即ち、「この作品のどこが一番マズかったのかを探す作業」になるわけですが(笑)。あ、そういうの嫌な人はスルー推奨です。
 まぁ結局のところ、この作品の敗因は、エンターテインメントを成立させる上で非常に重要である、「主人公サイドが抱える(物理的または精神的な)欠損を、課題・試練を克服する事で解消する」…というポイントを余りにも軽視し過ぎた所にあるんじゃないかと思います。
 ……いや、軽視というか、完全スルーですね。何しろこの作品では、「怪奇現象の理由が判らない」という“欠損”を、何ら課題・試練を克服する事無く、主人公の「だって怪奇現象だから」という一言で“解消した事にしてしまう”のですから始末に負えません(苦笑)。まさに読者置いてけぼり、作者自己満足の極みです。

 ──というわけで、最終評価はやっぱりCと言う事で。しかし、この作品に関しては怒りを通り越してむしろ哀れみすら覚えてしまいますね(苦笑)。準備期間1年置いてこれだもんなぁ……。

 
 ……というわけで、今週のゼミはここまで。来週は合併号休みですので、「赤マル」レビューを中心にお届けする事になると思います。では。

 


 

2004年度第8回講義
4月29日(木・祝) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評・分割版」(4月第5週〜5月第1週分・前半)

 駒木も噂を小耳に挟んだだけだった川久保栄二氏の過去が、ここに来てどうやら遂に判明! ……というニュースが2ch掲示板の片隅をコッソリと駆け抜ける中、いかがお過ごしでしょうか。「現代マンガ時評」のお時間がやって参りました。今週は前・後半に分けてお送りします。
 詳しくはまた後半の日に「チェックポイント」でお話しますが、本当に川久保さんは10年前に週刊本誌で「短期集中連載→長期連載ならず」になっていたそうで。……何と言いますか、普通なら「不屈」という言葉が似合う話でも、こういう結末を迎えてしまうと「不憫」としか言いようがないですよね。
 「コミックビーム」誌の名物編集長・奥村勝彦氏は、見込みの無いマンガ家志望者には容赦なく「向いてねえから辞めな」と引導を渡し、真っ当な道を歩ませる事にしているそうですが、「サンデー」にそういう人が……いや、もう何も言わないでおきましょう(苦笑)。

 ──それではゼミを始めます。今日は前半分ですので、「週刊少年ジャンプ」22・23合併号に関する内容に限定してお送りします。


 「週刊少年ジャンプ」関連の公式アナウンス情報

 ★新連載&読み切りに関する情報
 ◎「週刊少年ジャンプ」次号(24号)には、読み切りPMG−0』作:遠藤達哉)が掲載されます。そう、あの知る人ぞ知る“「ジャンプ」の秘密兵器”が満を持し(過ぎ)ての登場です。
 遠藤さんは第5回(99年度)「ストーリーキング」マンガ部門準キング受賞者「赤マル」00年春号の受賞作掲載デビューの後、週刊本誌でも00年51号と01年21・22号の2度、読み切りを発表していましたが、それから今まで忽然と我々の前から姿を消していたのです。
 今回は実に3年ぶりの復帰という事になりますが、過去作のクオリティを考えると大いに期待が持てそうです。あとはブランクの影響がない事を祈るだけですね。
 ……いやはや、憂鬱なはずのゴールデンウィーク明けに楽しみが1つ出来ました。勿論、レビューは公平な視点でやりますが、個人的には、もう再起は無いと諦めてた作家さんだけに、新作を読めるというだけで素直に嬉しいです。

 ※今週のレビュー&チェックポイント
 ●今週前半のレビュー対象作…2本
 「ジャンプ」:読み切り2本

 ※7段階評価の一覧表はこちらから。

☆「週刊少年ジャンプ」2004年22・23合併号☆

 ◎読み切り雨女、晴れ男』作:長谷川尚代/画:藤野耕平

 作者略歴
 ※長谷川尚代さん
 00年度「ストーリーキング」ネーム部門準キングを『サラブレッドと呼ばないで』で受賞、この作品が「赤マル」01年冬(新年)号に掲載(画:藤野耕平)され、原作者としてデビュー。なお、この作品は03年に週刊連載化(03年42号〜04年2号、1クール13回打ち切り)
 今回は連載終了後以来の復帰作。

 ※藤野耕平さん
 マンガ家としてのキャリアは、先述した長谷川尚代さんとのコンビでの漫画担当のみのため割愛。
 アシスタントとしての活動は豊富で、うすた京介さん、村田雄介さんのスタジオで活動。なお、実写版『ピューと吹く! ジャガー』でピヨ彦役を務めた事は一部で非常に有名。  

 についての所見
 
基本的には、適度で堅実な描き込みが施された見栄えのする絵で良い感じですね。前作に比べると、リアルタッチの精度に磨きがかかったような気もしますし、原作付作品の漫画担当としての風格が備わって来たように思えます。ネット界隈の一部では「小畑健の影響受けすぎ」という意見もあったようですが、そういう注文をつけられる事自体が実力の表れと言っても良いのではないでしょうか。
 ただし一点だけ指摘を。人物作画の顔、特に輪郭の造型がキャラ数の割にはバリエーションが少なく、やや単調に思えてしまいました。また、リアルタッチを多用したせいでしょうか、表情の変化がやや硬くなってしまったような気もします。

 あと、どうでもいい話ですが、主人公のクラスの応援旗に描かれていたキャラクターはHTB(北海道テレビ)“onちゃん”ですね。これは、HTBの看板番組「水曜どうでしょう」のファンだと公言していた長谷川さんのアイディアなんでしょう。
 まぁ、公私混同してまで応援したい気持ちにさせる番組ですし、駒木は何も言いませんけどね(笑)

 ストーリー&設定についての所見
 まず高く評価したいのは長谷川さんの脚本力。台詞回しが本当に上手いんですよね。内容があるのに、スムーズに読み飛ばせるという、セリフのお手本のような見事さでした。冷静に見るとかなりクサいセリフも混じっているのですが、ノリの軽さも手伝って鬱陶しさは皆無でした。
 シナリオも上手くまとめてますね。本来なら盛り上げようと思っても難しい内容のプロットなんですが、ともすれば突飛とも言える設定を交える事によって、キッチリとエンターテインメントに仕上がっています。まぁ、その設定の突飛さが感情移入を妨げるデメリットもあるでしょうが……。
 あと、主人公のキャラ立ちも成功していましたね。「クラスにすぐ馴染める転校生」という役どころがストーリー展開のスムーズさに繋がったのも良かったです。
 惜しむらくはラストシーン。ここでもう一発セリフが決まれば、なお良かったんですけどね。

 今回の評価
 少々の欠点は指摘できるものの、シナリオ・設定・脚本の完成度はかなりの高水準。ここはA−を進呈しておきたいと思います。
 これからも今回並みの設定やシナリオが描けるのであるならば、いずれ訪れるであろう2度目の連載では、前作とは違った結果になるのではないかと思います。


 ◎読み切り『STARTING OVER』(作画:鈴木新

 作者略歴
 デビューは「赤マル」00年春号。新人賞の受賞者ではないようなので、最終候補→“新人予備軍”経由か、もしくは持ち込みからの抜擢かと思われるが詳細は資料不足のために不明。
 その後は学業と平行しての断続的な作家活動がしばらく継続。「赤マル」01年冬号、そして週刊本誌02年40号に読み切りを発表。今回は1年半ぶり2回目の本誌登場となる。

 についての所見
 前回のゼミで「画力が大幅に変わっていて期待が持てそう」と申し上げましたが、謹んで訂正させて頂きます(笑)。どうやら、プリクラ慣れしたコギャル並の“奇跡の一枚”だったみたいですね(苦笑)。
 まぁ確かに前作より改善された部分もあるのですが、根本的な画力には余り進歩が見られないのが残念でした。ちょっとディフォルメを施そうとすると、たちまち顔の造りが人間じゃなくなってしまいますし、全身像を描いた時のバランスもおかしいです。
 既に各方面から指摘をされているように、有名「ジャンプ」系作家さんの影響が大いに感じられる作風ですが、残念ながら“劣化コピー”にすら届いておらず、敢えて言うなら“粗悪品”としか申し上げる事が出来ない実力に留まっています。

 ストーリー・設定についての所見
 えーと、前回のゼミで「大化けの期待が持てそう」と申し上げましたが、謹んで(以下略)。
 ……確かに、前作の“箸にも棒にも引っ掛からなさ”に比べると、若干の進歩は窺えます。特にクライマックスの“擬似スーパーサイヤ人化”のあたり(今更それをやるのはどうか? という疑問はさておき)ただ単に「主人公激怒→お約束でパワーアップ」というパターンでお茶を濁さなかったのは悪くなかったと思います。
 しかし、問題なのはそこに至る前〜中盤の持って行き方で、目立つのは自己満足極まりない中途半端に凝った設定(というか固有名詞)の紹介と間の悪いギャグばかり。登場人物のキャラクターを掘り下げたり、本当の意味で設定を練ってストーリーの精度を上げたりする作業を怠ってしまっていては、せっかくクライマックスで見せ場を持って来てもダメですよね。
 また、シナリオや設定の一部も既製の「ジャンプ」作品の影響を強く受けているようですが、こちらも基本的な実力が備わっていないために付け焼刃以前で終わってしまっています。厳しく言うなら、「真似するんなら、もっとちゃんと真似てみろ」といったところでしょうか。

 今回の評価
 レビューの内容からもお分かりになるように、ハッキリ言って落第点です。ただ、C寄りB−をつけた前作よりは少しだけでも改善の跡が見られますので、少し甘くしてB−評価としておきます。ただ、このままでは前途多難ですね。

◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 

 時間短縮を考え、今回からしばらく雑記形式でダラダラやってみるテスト。見辛いようなら、また以前の形式に戻します。

 はじめに巻末コメントから。
 まず「神戸土産の『神戸プリン』が超ウマかったので神戸に住みたい」という久保帯人さん、神戸は確かに住みよい街ですのでお薦めしますが、『神戸プリン』はあくまで土産物なので、神戸市民がそれを食べてるわけじゃありません。つーか、駒木も20年以上神戸に住んでますが、食った事なし。
 あと、「ネーム詰め込みすぎだ、と初代担当に怒られた夢を見た」という和月伸宏さん、ぶっちゃけ言うと駒木も同感です(笑)。いや、詰め込み過ぎというか削り過ぎというか。シナリオの中身は備わっているんだから、もっとクドくなるくらい演出に力を入れてもバチ当たらないと思うんですけどね。あとはしつこいようですが、日常編をもっと重要視して下さい。連載続けばですが(涙)
 ちなみに『武装錬金』、2chで毎週正確な掲載順情報を教えてくれる人によると、次号の掲載順は一気に中位へ上昇だそうです。ただ、過去そういう不自然な順位上昇があった直後に打ち切られた作品が複数あるということで、またも2ch界隈で大揉めに(苦笑)。
 連載の開始と終了の情報は(連載開始直前になって他誌に似た内容の新連載を持って来られたり、連載終了と同時に作家を引き抜かれたりするのを防止するため)編集部にとっても最重要機密だそうなんですが、ホントにこういう長期の宙ぶらりん状態は勘弁して欲しいですよね(苦笑)。

 しかし今週、各方面で話題沸騰だったのが『DEATH NOTE』の、異様に気合入りまくったテニスシーン。また次の掲載順が『テニスの王子様』だったので、余計に趣を増幅させていたという(笑)。しかし、本職のテニスマンガが、リアリティではサスペンス作品のたかが1シーンのテニスシーンに明らかに負けているというのは……。
 まぁ、『キャプテン翼』『アストロ球団』を錬成したようなマンガにリアリティ求める方が間違ってるのは先刻承知なんですがね(笑)。

 そして最後はすっかり中堅の風格が出て来た『銀魂』今週は内容よりも欄外の作者紹介(by大西編集)の方が巷の話題に。いや、内容も良かったんですけどね。
 しかし笑ったのが、この作者紹介・「綾ちゃんよりつかさちゃんが好き」というコメントを扱った感想サイトが、そろいも揃って「だったらフローラよりもビアンカ派ですねきっと」と言及していた事。つかさ=金髪(&勝ち気系ヒロイン?)=ビアンカという理屈なんでしょうか。駒木はさすがにそこまでの発想は出来ませんでしたです。
 ちなみに駒木は「フローラを躊躇無く選べる奴とは友達になりたくない」というくらいのビアンカ原理主義者ですが、『いちご100%』では南戸唯派です(笑)。まぁ、綾かつかさかと訊かれたら、やっぱり後者ですけどね。

 ……というわけで、とりあえず前半分をお送りしました。金曜までには後半をお送りしますので、今しばらくお待ちを。

 


 

2004年度第7回講義
4月24日(土) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評・分割版」(4月第4週分・合同)

 ギリギリの日程、ギリギリのコンディションの中、ようやく実施に漕ぎ付けました、今週の「現代マンガ時評」です。
 ちょっと今週は精神的に追い詰められていた時間が長いので、マンガを吟味する余裕があまり無かったりしたのですが(こういう時に限ってレビュー対象作4本ですし)、精一杯やりますので、至らない点も含めてどうか宜しく。


 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報

 ★新人賞の結果に関する情報

少年サンデーまんがカレッジ
(04年2月期)

 入選=該当作なし  
 佳作=該当作なし
 努力賞=3編
  ・『リソウル』
   北原勇希(24歳・東京) 
  ・『3タコ』
   坂本大(23歳・東京)
  ・『サイコダイバー』
   田中宏子(22歳・東京)
 あと一歩で賞(選外)=3編
  ・『カイの仮面』
   畠谷洋二(22歳・千葉)
  ・『サムライ ソージ』
   弩(25歳・東京)
  ・『その名は超人 デビルサタン』
   足立真一(25歳・東京)

 受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい)

 ◎努力賞の坂本大さん…03年06月期「まんがカレッジ」であと一歩で賞。
 ◎あと一歩で賞の畠谷洋二さん…03年06月期「まんがカレッジ」でもあと一歩で賞

 ……あと、“足立真一”という名前で検索すると、4〜5年前に活躍していた美少女系プロ作家さんがヒットしたんですが、まぁこれは明らかに別人でしょうね。
 今回は、総評を見る限り「全体的にネーム力、演出力不足」といったところでしょうか。確かにこの2つの要素は読者にインパクトを与える上で非常に重要な点でもありますし、特に週刊連載で読者を飽きさせないためには不可欠の要素ですからね。
 ただ、「ジャンプ」にも「サンデー」にも、この2つの要素だけを武器にその場凌ぎを繰り返している作家さんも多いんですよね。また、それが商業的にはビックリするくらい当たった作家さんもいたりするから困ったものなんですが(笑)。
 

 ★新連載&読み切りに関する情報
 ◎「週刊少年ジャンプ」次号(22・23合併号)には、読み切りSTRATING OVER』作:鈴木新)が掲載されます。
 鈴木さんは週刊本誌02年40号に『DAI-TEN-GU』を発表して以来、1年8ヶ月振りの新作になります。前作に比べて絵柄が大幅に変わっているところを見ると、大化けの期待も持てそうです。期待しておきましょう。

 ◎また、同じく「週刊少年ジャンプ」次号(22・23合併号)には、読み切り『雨女、晴れ男』作:長谷川尚代/画:藤野耕平)が掲載されます。
 昨年、連載するも1クール打ち切りとなった『サラブレッドと呼ばないで』の長谷川&藤野コンビがここに来て復活。今回はスポーツ物では無さそうですが、果たしてどのような新味を見せてくれるのでしょうか。

 ◎「週刊少年サンデー」の次号(22・23号)からは新連載『道士郎でござる』作画:西森博之)がスタートします。
 西森さんは皆さんもご存知の通り、『今日から俺は!』『天使な小生意気』でスマッシュヒットを叩き出している作家さん。どうやら「サンデー」では、直近で長期連載を達成すると新連載の立ち上げもスムーズみたいですね。過去の実績なら互角以上ながら、近年ヒット作に恵まれていない椎名高志さんの復帰がなかなか実現しないのとは好対照です。

 ◎また、この「週刊少年サンデー」の次号(22・23合併号)には、読み切り『グッドラックノストラダムス』作画:武村勇治)が掲載されます。
 武村さんは、かつて『マーベラス』『売ったれダイキチ!』作:若桑一人)で2度の週刊連載経験のある作家さん。今回は若桑さんとのコンビを解消しての復帰作となりますね。

 ※今週のレビュー&チェックポイント
 ●今週のレビュー対象作…4本
 「ジャンプ」:読み切り2本
 「サンデー」:読み切り2本 

 ※7段階評価の一覧表はこちらから。

☆「週刊少年ジャンプ」2004年21号☆

 ◎読み切りMosquito Panic』作画:中西まちこ

 作者略歴
 名前が初めて「ジャンプ」に掲載されたのは、当時まだ16歳だった01年。「手塚賞」01年下期で最終候補「天下一漫画賞」01年12月期で編集部特別賞を受賞して“新人予備軍”入りを果たす。
 その後、1年余りのブランクがあって、「手塚賞」03年上期で最終候補、そして03年下期の「手塚賞」で佳作を受賞し、その受賞作が今回のデビュー作となる。
 

 についての所見
 
まず、細い線がゴチャつくという、デビュー間もない新人さんにありがちな“症状”が目立ちますね。こういう画風でも卓抜した実力が伴えば個性になるのですが、そうでなければ見辛いだけになってしまいます。もう少し自信を持って線が引けるようになるまで練習してもらいたいですね。
 この点とやや関連しているのですが、タッチのシリアスさと等身のディフォルメが一致していない(簡単に言うと顔がデカ過ぎる)場面が多々見られ、それが見辛さに拍車をかけてしまったような気がします。
 そしてもう1点、細かい所ですが気になったのが顔のパーツのバランス。目と口が不自然に大き過ぎて違和感を感じてしまいました。


 ストーリー&設定についての所見
 主人公が突然ミクロの世界の住人になって……というプロットは、昔からよく見られるものですね。そういう意味では目新しさは余り感じませんでしたが、ヒロインの設定はそれなりに練られていたので、まぁここは一長一短、差し引きちょっと短めというところでしょうか。
 ただし、世界観の設定やストーリーの運び方は強引過ぎる所が多かったように思えます。「何が何でも描きたい」という気持ちが伝わって来る場面が数ヶ所あって、そこは確かに見所があるのですが、それらの場面を繋いでいる部分が上手く整理出来ていないように感じました。
 また、作品のメインテーマである「夢」も消化不良気味に終わってしまいましたね。肝心の主人公の「夢」が全然形になっていないので、感情移入しようと思っても出来なかったのが痛い所でした。

 今回の評価
 新人賞の受賞作掲載、しかも「手塚賞」佳作レヴェルでは仕方ありませんが、やはり実力不足は否めない所です。本来ならB評価くらい出せる“持ち点”がある作品なのですが、細かい減点材料が積み重なって最終的にはB−くらいでしょうか。


 ◎代原読み切り『ハロー地蔵堂!!』(作画:新妻克朗

 作者略歴
 「天下一漫画賞」01年7月期で最終候補に残り“新人予備軍”入り。同年秋には「赤塚賞」01年下期でも最終候補に。
 翌年、「赤塚賞」02年下期に『純情ハート♥乙女道』で佳作を受賞。今回は代原ながらデビュー作となる。02年11月末の「赤塚賞」受賞発表当時24歳なので、現在は25〜26歳か。

 についての所見
 人物作画、背景処理ともにギャグマンガとしても「まだまだ」という印象ですね。どことなく小栗かずまたさんを彷彿とさせる画風ではありますが、新妻さんの絵はアクションもこじんまりとしていますし、人物キャラ造型にしても、人ではなく“人とみなせるモノ”の域から抜け出せていないように思えます。この辺は要精進ですね。

 ギャグについての所見
 まず、15ページの作品の割にギャグの密度が薄過ぎるくらい薄いのが大いに気になりました。特に序盤などはギャグらしいギャグに辿り着くまでに3ページも消費しており、これではちょっと……。
 また、ページあたりのコマ数が少ない事もあって、話の流れ自体もえらく淡白に思えてしまいましたね。ラストの持って行き方は、多少強引ながら上手い構成になっていたと思いますので、そこまでにギャグで盛り上げておけば、全体的な印象も随分と違って来たように思えるのですが……。
 次回作では「中身の濃さ」という面に的を絞っての巻き返しに期待したいところです。

 今回の評価
 ラストは綺麗に決まっていたものの、ギャグマンガとしてのデキを見れば、やはりB−程度に落ち着いてしまうのではないでしょうか。今度は胸を張って正規枠で発表出来るような新作を期待したいところです。

◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 

 時間の都合で今回は「ジャンプ・イン・ジャンプ」の特別企画──『ボーボボ』と『デスノート』のコラボ企画についてのみ。

 ……いやー、しかし面白いながらシビアな企画でしたよね。大筋の内容やネーム・構図が既に決まっている中で、それでも僅かに裁量権が残された部分だけで自分の個性をアピールしなくちゃいけないわけで。何と言うか、プロ作家としての資質も問う試みですよね。しかも、2人の作家さんはそれを見事に成し遂げたんですから、心から賞賛を贈りたいところです。
 そう言えば落語の世界でも、同じ古典落語のネタなのに、違う落語家さんが演じると全く別物に感じてしまう事がよくあるんですが、それも同じような理屈なのかと改めて気付きました。基本的な筋は共通でも、ディティールにその人なりの個性が出て来るんですね。

☆「週刊少年サンデー」2004年21号☆

 ◎読み切り『地球防衛バッパパーマン』作画:森尾正博

 作者略歴
 本格的なキャリアの開始は01年11月期の「サンデーまんがカレッジ」で佳作受賞から。ちなみに受賞当時26歳で、現在は28〜29歳。
 その後、雌伏期間を経て月刊増刊03年9月号でデビュー(?)。また、増刊では03年12月号から04年2月号(月刊としての最終号)までの僅か3回ながら『伝説の帰宅部 Returner』を連載。今回が週刊本誌初登場。

 についての所見
 キャリアの短さを感じさせぬ非常に洗練された絵柄で、大変に好感が持てます。ディフォルメや変則的な構図も厭わずにチャレンジし、それを見事に描き切っているのも素晴らしいですね。この画力なら、現在の「サンデー」でも即連載級と言って問題無さそうです。
 ただ、絵柄のテイストはどちらかというとマンガマニア向け月刊誌のそれに近いような気もしますので、読み手によっては「オタク臭い」と思われてしまうかも知れませんね。まぁ逆に言えばツブシが利き易い絵という事になりますか(笑)。
 
 ギャグについての所見
 ギャグのパターンとしては、天然ボケ系のキャラが複数好き勝手に動き回り、それを“良識派”のツッコミキャラが捌いていく…というもの。舞台やTV番組のコントでよくあるパターンですね。
 ただ、この作品の場合は余りにもボケが暴走し過ぎていて、ツッコミが完全に負けてしまったような気がします。ボケのテンポは良いので、この作品と波長の合う読み手にはこれでも満足出来るでしょうが、幅広い支持を得るかどうかは微妙ではないかと。
 もうちょっとボケを際立たせるような指摘、ツッコミを繰り出せるようになれば一気に雰囲気が変わると思います。更なる研究を重ねて、連載獲得へ向けて頑張ってもらいたいものです。 

 今回の評価
 ギャグの構成だけで言えばB評価ですが、画力の分だけ上方修正を加えてB寄りB+とします。
 ただ、現在の作風を考えた場合、純粋なギャグ作品よりもコメディタッチの日常劇などの方が展望も開けるような気がしますが……。

 ◎読み切り『もみあげキャプテン』作画:大塚じんべい

 作者略歴
 今回がデビュー作。資料不足もあり、過去のキャリアは確認できず。
 なお、今号の2日後に発売されたゴールデンウィーク増刊にてデビュー2作目を発表。

 についての所見
 全体的に見て稚拙な部分が目立つものの、不思議と読み辛さは感じさせないように思えました。もう少し絵柄がこなれて来ると、いわゆるヘタウマ系の作風として認知される所までは行けるのではないでしょうか。

 ギャグについての所見
 ギャグマンガにおける基本的な技術は概ね出来ているように思えます。ギャグのバリエーション・密度も及第点以上でしょう。ちゃんと研究した上で描かれた作品で、その点では好感が持てます。

 しかし、この作品のギャグが優れていると思えるのかと言うと、正直、首を捻らざるを得ません。

 その理由を見つけるために何度も読み直してみたのですが(嫌な作業ですね^^;;)やはりツッコミが弱いのではないか…という結論に辿り着きました。この作品のツッコミの多くはボケの状況を説明しているだけで、本当の意味のツッコミにはなっていないんですよね。
 同じギャグの密度であっても、ただ単にボケを羅列するだけのモノと、「ボケのインパクトでウケる→すかさずツッコミでもう1度ウケる→そこから更にもう一度ボケで大きなウケを狙う」…というモノとでは内容が大きく違って来ます。かなりのセンスを要求される高等テクニックですが、是非とも身に付けて欲しいですね。
 
 今回の評価
 「笑える、笑えない」は別にして、基本的な技術は出来ていますので酷評は避けたいと思います。こちらは絵が稚拙な分だけ減点してB寄りB−とします。

 

 ……今週も「十五郎」を語る余裕が無くなってしまいました。まぁ、もはや敢えて語らなくても良いような気がしないでもないですが(苦笑)。
 来週はゴールデンウィーク突入と言う事で、出来れば前・後半に分けてお届けしたいと思ってます。では。

 


 

2004年第6回講義
4月17日(土) 
競馬学特論
「駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜04年春シリーズ・暫定第4戦・皐月賞」

 今週も何とか開催に漕ぎ付けられました、G1予想をお送りします。来週G1レースが1週休みなのが正直有り難いくらいのコンディションですが、出来る限りの事はしたいと思います。

暫定第4戦・皐月賞(中山・2000芝)
馬  名 騎 手

 下段には駒木ハヤトの短評が入ります。

        マイネルマクロス 後藤浩
逃げても先行しても差しても善戦マンという印象。今回はコスモバルクのペースメーカー役?
        メイショウムネノリ 武幸
ダート路線経由で果敢なる挑戦。大トビの走法は芝適性を感じさせるが、果たして根本的なスピードがここで通用するかは……?
× コスモサンビーム バルジュー

不利に泣いたトライアルの雪辱に燃える2歳王者。未知数の距離適性に一抹の不安が残るが、叩いて上向いたコンディションもあり、堂々たる優勝候補。

        カリプソパンチ 岩田

短距離戦線からの裏街道組も、父ダンスインザダークがいかにも不気味。問題は重賞未勝利、G2以上初挑戦というキャリア不足の方。

×     フォーカルポイント 横山典

不可解な凡走に終わった弥生賞が気掛かりも、最後方からでも上位に届く強烈な末脚はやはり魅力。主力級には一歩見劣る実績ながら、無欲の追い込みが届けば馬券の対象まで。

      × キョウワスプレンダ 佐藤哲
久々にこの馬らしいところを見せたスプリングS。それでも勝ち切れなかった辺りに脚の使い所の難しさが……。休養明け2走目の上積みあれば面白い存在だが……。
× ブラックタイド 武豊

人気を背負っては惜敗続きだったこの馬も、漸く前走で重賞初制覇。脚質に自在性が出て来たのも強みで、コスモ・マイネル勢打倒の一番手に踊り出た。

  ×   × メイショウボーラー 福永

デビュー以来、連対率100%を維持して来たスピードスターに大きな正念場到来。前走より厳しいペースに距離適性と、他の17頭よりも厳しい“敵”にどう相対するか?

×   ×   ミスティックエイジ 池添

前走はコスモサンビームと接触して暴走で度外視。コスモバルク相手に善戦した実績は侮れず、人気の盲点になれば大駆けも十分可能。

        10 アポインテッドデイ 江田照

条件戦でもG1でも相手なりのレースをしてしまう馬。今回、過去最強の相手関係の中ではジリ貧となる公算が大きくて……。テン乗りの穴ジョッキーに一縷の期待。

      11 グレイトジャーニー 小牧太

思うようなレースが出来ないと、馬自ら走る気を失ってしまうムラ駆けタイプ。好位からスムーズな競馬が出来れば面白いが、その辺りは展開がゴチャつきそうなだけに……。

      12 マイネルブルック 藤田

ブラックタイドを差し切った、きさらぎ賞の実績がキラリと光る。順調なら主力の一角だったが、2ヶ月のブランクに加えて追い不足では強調材料も帳消しに。

        13 メテオバースト 内田博

トライアルは完敗の3着だが、朝日杯以来の休み明けでは致し方ないか。しかし、キャリアや実績不足は否めず、逆転望める材料まで探すのは難しそう。

        14 ダイワメジャー デムーロ

格上挑戦の不利を跳ね返しての出走権獲得は見事。調教の動きは特筆に価するもので、鞍上も魅力。ただし、前に有力・強豪馬を置いてのレースで差し切るだけの力まであるかは疑問。

        15 マイネルデュプレ 柴田善

上がり3F最速33.3秒の瞬発力は出色。しかし持ち味生きるスローペースは望めない上にデキ途上での出走となった今回、さすがに1着争いまでは荷が重そう。

  16 ハーツクライ 安藤勝
デビュー以来わずか3戦ながら、濃密なキャリアを積んで来た。相手関係は決して楽ではないが、未知の魅力はメンバー中一番で。
        17 スズカマンボ 蛯名

若葉S2着は善戦健闘の部類。本格化と見るか精一杯の大駆けと見るかで評価は変わって来るが、一筋縄ではいかない相手関係であるのは確かで……。

18 コスモバルク 五十嵐冬

公営所属初のクラシック制覇の悲願目指して勇躍参上。ダービー出走には4着以内が最低条件だけに、目標は先でも仕上がりに抜かりは全くなし。中央勢の激烈なマークを捌けるかどうかがカギに。


●展開予想
(担当:駒木ハヤト)

 ハナを切るのはスピード優位のメイショウボーラーでほぼ間違いなさそう。問題はどれ程のペースになるか。
 まず最内枠のマイネルマクロスは、馬込みを避けるため、そして実質同一馬主のコスモバルクのペースを作るためにもメイショウへ競り掛けて行く。コスモバルクはそこから距離を置いた3番手が理想だが、先行〜好位を望む馬も多く、一筋縄で行くかどうか。前からのプレッシャーが強いので、ペースは速めの平均ペースからハイペースまで上がりそうだ。
 後続の有力馬では、コスモサンビームが好位勢の後ろ、そのすぐ後ろあたりにブラックタイドやハーツクライがマーク。フォーカルポイントは後方待機から4コーナー大外捲りの作戦に。コスモバルクは外々追走から正攻法を強いられそうで、まさに正念場と言えそう。
 過去の皐月賞における脚質別の実績は、ズバリ「先行脚質の実力馬、差し・追込の人気薄」。特に人気薄の追い込み馬が2着に飛び込んで馬券が荒れるケースが目立つので要注意。コース形態からして内・外枠の有利・不利は無いが、レースがし易くて距離損の小さい2〜4枠からの連対が目立つ。 
 

●駒木ハヤトの「負け犬エレジー」●
《本命:コスモサンビーム》
 

 それにしてもコスモ・マイネルで5頭出しとは凄いですね。何だか競馬シミュレーションゲームの末期状態のような様相で(笑)。シルク会員としては羨ましい限りだなぁ。駒木の3歳馬は未だに入厩できずに育成牧場止まりだというのに……。
 それはさておき、今回の皐月賞は「“コスモ・マイネル”革命帝国軍VS連合軍」みたいな感じ。いくら厩舎が違うとは言え、事実上の同一馬主5頭出しで意識するなって方が無理だよねえ。

 ……ただ、話題&人気のコスモバルクを過信するのは如何なものか。確かに実力、デキ共に上位ではあるものの、ライデンリーダーの桜花賞のようにJRA勢の徹底マークに遭ってかなり厳しい展開を強いられそうで……。これまでのJRA3戦は全て楽なレースだっただけに余計心配。
 むしろ勝機は、同じコスモでもサンビームの方へ。展開も向きそうだし、距離や早熟度を考えるとダービーよりもむしろ皐月賞目標の感もあるがどうか。
 相手候補はデータに則って差し・追込馬を中心に。しかし一番面白そうなのは、先行脚質ながら前走大敗で人気の盲点になっているミスティックエイジ。

駒木ハヤトの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 オッズ
(18日未明時点)
単勝 100円 11.6
馬連 3-18 100円 16.5
  3-7 100円 16.7
  7-18 100円 6.4
  3-16 100円 61.4
  3-5 100円 47.0
  3-9 100円 102.7
馬単 3→18 100円 43.4
  3→7 100円 42.9
三連複 3-7-18 100円 17.7


●栗藤珠美の「レディース・パーセプション」●
《本命:ブラックタイド》

 純粋な競馬ファン目線から見ると、コスモバルクを応援したいところなんですけど、やっぱり展開がかなり厳しくなりそうということで、ここはブラックタイドから。多少ペースがゆっくりになっても融通の利きそうな脚質ですし、どうにか格好はつけてくれるのではないかと期待しています。
 そう言えば、今年はJRA発足50周年だそうですけど、40周年の時にはナリタブライアン、30周年の時にシンボリルドルフ、10周年の時にはシンザンが出ているそうですね。ひょっとしたら今年の皐月賞馬は未来の三冠馬になるんでしょうか?(笑)

栗藤珠美の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 オッズ
(18日未明時点)
単勝 100円 3.9
馬連 7-18 100円 6.4
  7-16 100円 19.9
  16-18 100円 22.2
  7-12 100円 26.9
  3-7 100円 16.7
  7-8 100円 23.4
馬単 7→18 100円 14.4
  7→16 100円 33.3
三連複 7-16-18 100円 20.3


●一色順子の「ド高め狙います!」●
《本命:コスモサンビーム》

 アイタタタタ……博士と本命一緒かー。当たる気しませんねー(苦笑)。でも、ここまで実績があって展開も向きそうな馬が単勝10倍以上なんて、オイシイ馬券もいいとこなんですよねー。
 あと、このレースで穴を開ける馬って、「前々走で好走→トライアルで実力を出し切れずに凡走」…というパターンが多いんですよね。コスモサンビームもそうですし。なので、ここはそのパターンの馬を徹底的に狙って行きたいと思います。万馬券になる組合わせが少なくてアレですけど、今日はわたしなりに手堅い勝負をしてみます。

一色順子の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 オッズ
(18日未明時点)
単勝 100円 11.6
馬連 3-5 100円 47.0
  3-18 100円 16.5
  5-18 100円 22.8
  3-11 100円 449.2
  3-7 100円 16.7
  3-9 100円 102.7
馬単 3→5 100円 100.6
  3→18 100円 43.4
三連複 3-5-18 100円 68.5

 
●リサ=バンベリーの「ビギナーズ・ミラクル!」●
《本命:コスモバルク》

 オーストラリア人のワタシとしては、中山グランドジャンプの方が興味をそそられたんですけど……(笑)。
 でも、ローカル競馬から来たコスモバルクの話題も面白そうですね。予想もコレを本命にしてみます。
 あとは、いつもみたいにトライアルとか大レースで1着、2着に来た馬から狙ってみることにしました。でも、これって意外とカタい倍率ですか? ひょっとして偶然正解選んじゃいました?(笑)

リサ=バンベリーの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 オッズ
(18日未明時点)
単勝 18 100円 2.5
馬連 7-18 100円 6.4
  3-18 100円 16.5
  3-7 100円 16.7
  16-18 100円 22.2
  6-18 100円 42.0
  8-18 100円 19.1
馬単 18→7 100円 10.5
  18→3 100円 23.2
三連複 3-7-18 100円 17.7

 4人中、コスモバルクに◎を打ったのがリサちゃん1人だけというあたり、いかにも駒木研究室ですね(笑)。さて、結果はどうなるか、どうぞお楽しみに。


皐月賞 成績

        1着 14 ダイワメジャー
2着 18 コスモバルク
  ×   × 3着 メイショウボーラー
× 4着 コスモサンビーム
×   ×   5着 ミスティックエイジ

単勝14 3220円/馬連14-18 4660円/馬単14-18 15290円/三連複8-14-18 20610円

 ※駒木ハヤトの“負け犬の遠吠え”(不的中)
 いやー、だんだんと負け犬っぽくなって来ましたなー(笑)。予想外のスローペースになった上、本命馬が絶好の展開を差せず4着。もう言い訳する要素全部摘み取られちゃったじゃないか。
 でも今回の掲示板載った馬を見ると、何だかダービーでは(掲示板に載る馬が)総取ッ換えになりそうな気がしてならない。唯一頑張れそうなのはコスモバルクだけれども、ここまで目一杯の仕上げで来ておいて、JRAの馬が本当に目一杯で来るダービーでもう一度頑張れるのかは……。でもまぁ、負け犬の心配なんて、どうってことないよね(笑)。

 ※栗藤珠美の“反省文”(不的中)
 ……えー、今日は私じゃなくて、後藤騎手に反省文を書いて頂きたいと思ったりするんですけど(引攣笑)。
 もう何も言いたくない気分なのですが、一言だけ。関西テレビの競馬中継で映っていた、最後の直線で100%負けを悟りながらブラックタイドの手綱をしごいていた武豊騎手の寂しい背中。それを観ていると、何だか私、泣きそうになりました(苦笑)。

 ※一色順子の“終了しました……”(不的中)
 あー、そっちだったかー……というのが率直な感想ですねー。コスモバルク2着で馬単万馬券なら、むしろ素直にデムーロ騎手の腕に頼った方が潔かったですよね。
 再来週の天皇賞は、穴党のわたしにとっては一回休みみたいなもんですけど、ちょっと点数状況がヤバいんで、どういう作戦で行くか、2週間かけて考えてみることにします。

 ※リサ=バンベリーの“イッツ・ア・ハードラックデイ”(不的中)
 最後のコーナーを曲がったところで抜け出した馬が、一体どの馬なのかを競馬新聞を見ているうちにゴールが来ちゃってました(笑)。2着の馬と3着の馬で決まっていたら、私だけ的中だったのに、ちょっと残念ですね。
 あ、再来週は日本版・メルボルンカップみたいなレースだと聞いてるので、とっても楽しみにしています。ワタシも予想ガンバりますので、どうかヨロシクです。

暫定第4戦終了時点での成績

  前回までの獲得ポイント 今回獲得したポイント 今回までの獲得ポイント
(暫定順位)
駒木ハヤト 4080
(1位)
0 4080
(1位)
栗藤珠美 1440
(2位タイ)
0 1440
(2位タイ)
一色順子 570
(4位)
0 570
(4位)
リサ=バンベリー 1440
(2位タイ)
0 1440
(2位タイ)

 (ポイント・順位の変動について)
 今期初の的中者ゼロ。2着のコスモバルクには全員重い印を打っており、ダイワメジャーの扱い次第では大量加点のチャンスもあっただけに、痛恨の抜け目といったところか。特に穴狙い専門の一色順子は勝機を1つ潰した格好。
 4戦終わってトップの駒木ハヤトが回収率100%ギリギリという低調な展開だが、果たしてこの状況を打破するのは一体誰か?

 


 

2004年度第5回講義
4月16日(金) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評・分割版」(4月第3週分・合同)

 覚悟はしていましたが、今回の“二足のワラジ”は非常に履き難いワラジのようです(苦笑)。これまでの社会学講座が、真っ当な社会生活を犠牲にして成り立っていた事を改めて痛感したりしています。
 ただ、高校の非常勤講師は、暇な時はとことん暇だったりもしますので、その間隙を突けば、こちらの仕事も色々と出来るんではないかと思っとります。

 さて、それではお待たせしました、今週の「現代マンガ時評」をお送りします。


 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報

 ★新人賞の結果に関する情報

第11回ジャンプ十二傑新人漫画賞(04年2月期)

 入選=該当作無し
 準入選=該当作無し
 佳作=該当作なし
 十二傑賞=1編
 ・『WOODMANザッパー』
(=本誌か増刊に掲載決定)
  鬼団子(19歳・大阪)
 
《武井宏之氏講評:視野をより広げれば、より良いものが描ける。色々な体験をして、次は違うジャンルの作品を》
 
《編集部講評:発送の着眼点は良い。ただ、そのアイディアを読者にアピールする工夫がもっと必要。主人公・敵の双方にもっとキャラクターを作って、読者が感情移入出来る要素を作ろう)
 審査員
(武井宏之)特別賞=1編
  ・『プリンス・オブ・サナミヤコ』
   木村孝昭(23歳・東京)
 最終候補(選外佳作)=4編

  ・『ROBOT SUMO』
   菅原暁(21歳・岩手)
  ・『SAMURAI goes west』
   山添泰平(21歳・京都)
  ・『成分ミルク』
   魚森しなん(25歳・東京)
  ・『サービス戦隊アフター5』
   高橋英治(24歳・兵庫)

 受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい)
 ◎十二傑賞の鬼団子さん…03年9月期「十二傑新人漫画賞」で最終候補。

 ……しかし、武井さんや編集部からの講評を見るにつけ、今月はかなりの大不作だったのかな、という気がします。十二傑賞にしても、「次は別のジャンルの作品を」とか「もっとキャラクターを作って、感情移入出来る要素を」とか、本誌や増刊に掲載させる作品に出すコメントとは思えませんもんね(苦笑)。
 しかし、十二傑賞の“デビュー特典”というのも、受賞作掲載にこだわらず、単なるデビュー確約でも良いと思うんですけどね。「手塚賞」出身作家さんのデビュー作は、受賞作ではなくて受賞後第一作だったりする事も多いですし、どうせデビューするのなら満足の行くクオリティでデビューした方が、誰にとっても幸福のような気がするんですが。

 ★新連載&読み切りに関する情報
 ◎「週刊少年ジャンプ」次号(21号)の連載陣読み切り企画・「ジャンプ・イン・ジャンプ」は、『DEATH NOTE風 ボボボーボ・ボーボボ』作:澤井啓夫/画:小畑健)と『ボボボーボ・ボーボボ風 DEATH NOTE』作:大場つぐみ&小畑健/画:澤井啓夫)の2本立てです。
 ……いやー、企画最終週にしてやってくれますなぁ「ジャンプ」編集部!(笑) やっぱり、この辺の柔軟な発想が、いかにも「ジャンプ」らしくて良いですね。
 しかし、これはレビューどうしましょうか(笑)。あまりにも企画色が強い作品であれば、レビューから除外してチェックポイントで扱う事になるかも知れません。

 ◎また、「週刊少年ジャンプ」次号(21号)には、読み切り『Mosquito Panic!』作画:中西まちこ)が掲載されます。
 この作品は03年下期「手塚賞」佳作受賞作で、受賞当時弱冠18歳の中西さんは今回がデビュー作。この03年下期の「手塚賞」、「赤塚賞」の受賞作はやたらと本誌掲載されており、この作品で代原掲載を含めると5作目。その割には、当ゼミを含めたネット界隈の反応はイマイチだったりもするのですが、今回は果たしてどうなるでしょうか。

 ◎「週刊少年サンデー」の次号(21号)には、読み切り『もみあげキャプテン』作画:大塚じんべい)が掲載されます。
 大塚さんについては資料不足もあり、受賞歴や過去の活動歴などが皆目不明なのですが、どうやら新人ギャグ作家さんのようですね。

 ◎また、同じく「週刊少年サンデー」の次号(21号)には、読み切り『地球防衛バッパパーマン』作画:森尾正博)も掲載されます。
 森尾さんは01年11月期の「サンデーまんがカレッジ」で佳作を受賞、その後、月刊増刊03年9月号でデビューし(?)、同年12月号からは『伝説の帰宅部 Returner』を短期連載していました。今回が週刊本誌初登場となりますね。
 ちなみに森尾さんは「まんカレ」佳作受賞発表時(02年1月)で26歳でしたから、現在は28〜29歳。デビュー年齢の比較的高い「サンデー」でも、あまり見られない晩年デビューですね。

 ※今週のレビュー(今週もチェックポイントはお休みします。ご了承下さい。なお、『怪奇千万! 十五郎』の連載総括については次週以降にお送りします)
 ●今週のレビュー対象作…3本
 「ジャンプ」:読み切り1本/前・後編読み切り総括1本
 「サンデー」:読み切り1本 

 ※7段階評価の一覧表はこちらから。

☆「週刊少年ジャンプ」2004年20号☆

 ◎読み切り『BLEACH番外編(−17話) 逃れゆく星々のための前奏曲』作画:久保帯人

 作者略歴
 1977年6月26日生まれの26歳
 デビュー
は「赤マルジャンプ」の前身にあたる季刊増刊の96年夏号に掲載の『HEARTED MACHINE』(当時は本名の久保宣章名義)。新人賞の受賞歴等は確認できず、恐らくは“新人予備軍”から編集会議をクリアしてのデビューと思われる。
 その後、週刊本誌96年36号、97年51号に読み切りを発表した後、1年半以上のブランクがあって、99年34号より『ゾンビパウダー』で初の週刊連載獲得(27回・2クールで打ち切り終了)
 その後、「赤マル」01年冬(新年)号に発表した復帰作・『BLEACH』が、週刊本誌01年36・37合併号より週刊連載化。一時期は打ち切りの危機も経験したが、現在は中堅以上の地位を確保し、今や連載3年目も半ばを突破して現在に至る。
 

 についての所見
 
まぁ、今更になって特筆すべき事は何もありませんね。
 ややクセがありながらも、長期連載のキャリアと確かな技術に支えられた完成度の高い絵だと思います。今回の番外編はページ数の割に登場人物がかなり多かったですが、端役も含めてキッチリと描き分けも出来ていたので全く読み辛さはありませんでした。


 ストーリー&設定についての所見
 本編のメイン〜重要サブキャラの過去の姿にスポットを当てて、簡単なエピソードを描きながら本編の設定補強もしてしまうという、「まさに番外編」と言うべき作品でしたね。特に目新しさは無い構成ではあるのですが、ここしばらくの「ジャンプ」番外編では当たり前の事すら出来ていない作品が目立っていましたので、何だか必要以上にホッとしてしまいました(笑)。
 そんなわけで、全体的にはセオリーに則った手堅い仕上がりになっていたと思います。ただ、ややフューチャーさせる登場人物の数を欲張り過ぎ、1人1人の心理描写がやや甘くなったかな…という感もあります。今回のエピソードでは脇役扱いのルキアの心理が一番深く描けてるというのも、バランスという面から考えると疑問が残りますしね。

 今回の評価
 完成度の高い、まさに“プロのお仕事”がキチンと出来ている佳作ですね。本当ならもっと高い評価を出したいところですが、番外編ゆえのシナリオのボリューム不足もありますし、今回は厳しめにA−寄りB+ということにしておきましょう。


 ◎読み切り(前・後編総括)『桐野佐亜子と仲間たち』作:二戸原太輔/画:叶恭弘

 作者略歴
 ※二戸原太輔さん
 03年下期「ストーリーキング」ネーム部門準キング受賞。結果発表(03年11月末)当時21歳。今回はこの時の受賞作掲載で、なおかつデビュー作となる。

 ※叶恭弘さん
 1970年12月16日生まれの33歳
 「ジャンプ」作家になる以前のキャリアの存在も噂されているが、詳細は不明。「ジャンプ」系のキャリアにおいては、「ホップ☆ステップ賞」(=「十二傑新人漫画賞」の前身の前身)92年1月期において、『BLACK CITY』で入選を受賞この作品が季刊増刊92年秋号に掲載されて「ジャンプ」デビューを果たす。
 その後は94年から1年〜2年に1度のペースで季刊増刊を中心に作品を発表、その傍らで小説本の挿絵も担当するなど、寡作ながら幅広い活動を続ける。
 02年24号からは、「ジャンプ」初の連載となる(叶さん自身による、『ジャンプ』デビュー以前の連載経験を窺わせるコメントが存在)となる『プリティフェイス』の週刊連載が開始。この作品は03年28号まで約1年間続き、「赤マル」03年夏号では、この作品の事実上の完結編となる『プリティフェイス番外編』を発表。
 個人名義での最新作は「赤マル」04年冬(新年)に掲載された『Snow in the Dark』

 についての所見
 「ジャンプ」を代表する腕達者の叶さんを捕まえて、駒木が何も言う事などありません(笑)
 前作『Snow in the Dark』に比べると、やや粗いような気がしないでもないですが、「見易さを第一に心掛けた」(叶さん)という事から、純粋な絵の完成度よりも“マンガの記号としての絵”という部分を意識したのではないでしょうか。
 ただ1点だけ、前編の佐亜子が落ちて来た鉄骨を足で受け止めるシーン最初に振り上げた足は左足なのに、次のコマで蹴り上げているのは右足になっているように見えるんですよね。弘法も筆の誤りというヤツでしょうか。

 ストーリー&設定についての所見
 まず全体の構成についてですが、やや展開が強引で、その割にはページを使い過ぎて大味になったような印象がありました。しかし、伏線や“起承転結”など基本的な要素はきちんと押さえられており、総合的には及第点程度の出来にはなっているのではないでしょうか。
 それ以外の部分で評価出来る点は演出面、特に“小ネタ”のディティール部分の表現は優秀だったと思います。『マネーの虎』風“次回予告”など、パロディ的な描写が特に上手いみたいですね。ただ、少しばかり設定の提示が描写より説明に偏っている気もしましたね。何とか演出で誤魔化せているのではないかと思うのですが、賛否分かれそうなポイントではあります。

 他に重要なポイントとしては“天啓”についての設定がありますね。これについては、既製の作品からかなり露骨なアイディア流用があったと指摘する声もあがっているようですが、個人的には特定の作品の“パクり”というよりも、少年マンガの定番パターンに独自の名前を付けて新品扱いにしたようなモノだという気がします。
 で、この設定は実際の所、なかなか奥が深そうではあります。上手くやれば頭脳プレー、駆け引きの応酬といった複雑で高度なバトルシーンも展開できそうです(もっとも、やり過ぎると“底抜け脱線ゲーム”状態になりますが……)。
 ただ、今回の作品では、実際に登場した能力がミもフタも無いくらいに強力だったために、結局は単なるパワーゲームになってしまったのが残念でした。佐亜子の“重力法則無視”という能力に致命的な弱点が1つでもあればアクセントが利いて良かったのではないかと思うのですが……。
 

 今回の評価
 今回は、叶さんの画力に助けられてB+寄りといったところですね。
 この手の作品は、わざわざ原作者を起用しなくても腕の良いマンガ家さん1人で描けてしまいます。今後も二戸原さんがこの路線でもって原作者として活動しようとするのなら、かなりのスキルアップを果たす必要があるでしょう。

☆「週刊少年サンデー」2004年20号☆

 ◎読み切り『ゴーストロジック』作:浜中明/画:ネモト摂

 作者略歴
 ※浜中明さん
 02年に実施された「サンデー原案・原作ドリームステージ」読切原作部門の大賞受賞者。03年5月の結果発表時で26歳なので、現在は27歳前後
 デビュー作は「ドリームステージ」の受賞作・『ソフィアの掟』画:中道裕大)。今回はそれ以来となる新作発表で、週刊本誌初進出。

 ※ネモト摂さん
 「小学館新人コミック大賞・少年部門」03年下期に『エッグノック』で大賞受賞。その際、ネット界隈では、複数のマンガ情報系サイトから「過去に何らかの媒体で見た事がある絵柄だ」との声があがるも、結局は詳細不明。年齢は03年末の受賞当時で27歳
 (現時点で確認出来る資料に基づく)デビューは、月刊増刊「少年サンデー超(スーパー)」04年2月号で、作品は受賞作『エッグノック』。原作の浜中さん同様、今回がデビュー2作目で週刊本誌デビューとなる。

 についての所見
 「新人コミック大賞」受賞当時から高い評価を受けていたネモトさん、確かに「サンデー」系新人作家さんとしてはトップクラスの実力があると思います。背景処理や細かい部分などの完成度が特に高く、デビュー前は長期間アシスタントの経験があった事を窺わせますね。
 ただ今回に限っては、人物の表情の描写を失敗しており、違和感を感じる場面が多々有りました。キャラの表情が違うという事は、即ちマンガを構成する記号を間違えているという事です。これではどれだけ素の画力が高くても、マンガの完成度を評価する上では減点材料になってしまいます。
 
 ストーリー・設定