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まず初めに、今回も訂正から。
早大食いカテゴリに、「大食い選手権九州縦断ニューフェイス決戦」の予選(寿司30分)が反映されていませんでした。
この競技を反映させる事により、新たに立石将弘選手のハンデとして、早大食いカテゴリ56ポイントが与えられました。
関係者各位に御迷惑をおかけしました。お詫びします。
では、本題へ。今日は3回にわたってお送りして来た「フードファイターフリーハンデ(以下:FFFハンデ)」の総括を行います。
全カテゴリのハンデを収録した一覧表の公開と、フードファイト界全体に対する解説をお送りします。
まず、全カテゴリ・ハンデ一覧表ですね。
スペース等の事情により、別ページに掲載しました。
こちらをクリックして下さい
(新しいウィンドゥが開きます)
一覧表の最下部には、これまで3回分の講義のリンクも付けましたので、各カテゴリごとの解説がご覧になりたい方は、そちらからでも閲覧できます。どうぞ、ご利用ください。
それでは、総括に移ります。といっても、一覧表載せるだけじゃ能がないので、「フードファイトについて、何か書いてみようか」と思っただけですので、全然総括になってないかも分かりませんが……
例によって、本文中は文体を変えます。
激動の2001年を経て、フードファイト界はかつてない転換期に入ったと言えよう。
まず、長時間競技を繰り返し、“大食い”系の最高実力者を選ぶ「大食い選手権」の独占状態が終焉を迎えた。
そして、「大食い──」の対抗馬として、短時間競技中心で、実力だけでなく運も勝負のファクターに加えた競技会・「フードバトルクラブ」が登場、あっという間にフードファイト界のメジャー大会に成長した。
この事実は、これまで我々ウオッチャーが抱いて来た、「60分以上の長時間で最も多くの食材を食べられる選手こそが、最強のフードファイターである」という、「大食い選手権」が我々に植付けて来た固定観念の崩壊に直結してゆく。何故なら、「フードバトルクラブ」の誕生により、「超短時間で一定量の食材を食べる事の出来るフードファイターもまた、最強のフードファイターに相応しい」という新しい概念が生まれたからである。
「フードバトルクラブ」の開始以来続く、昔からのウオッチャーを中心にした「フードバトルクラブ」バッシングは、“「大食い選手権」製固定観念”の崩壊を阻止したい気持ちの表れなのであろう。
そもそも、
「フードファイトにおいて、長時間の大食いに長けた選手と短時間早食いに長けた選手、どちらが評価されるべきか?」
……という疑問に、実は明快な答は無い。これは、この「FFFハンデ」を見れば明快に理解できよう。まだ発展途上中の早飲みカテゴリは別にして、他の5カテゴリの最高値は64.5〜67の間に収まっており、そこに大きな差は無い。カテゴリ間にレヴェルの格差は皆無と言って良い。あるのは個人の能力差だけである。
“早食い”と“大食い”の間に貴賎は無いのだ。これまで我々が「大食いこそ、フードファイトの王道」と思っていたのは、実は「大食い選手権」運営サイドの意向に過ぎなかったのである。
だから、“早食い”と“大食い”の間に価値の差などは存在しない。
しかし、「大食い選手権」が独占的な支持を集めていた間、ほぼ“大食い”のみにスポットライトが当てられていたように、両者の間に“流行り廃り”が存在するのもまた、事実である。
これは他のスポーツの分野で、本来そこに価値の差が無いはずの各競技の間に、流行り廃りによってカテゴリ分けされた“メジャースポーツ”と“マイナースポーツ”という言葉が存在している事からも分かるであろう。
では、これから“大食い”と“早食い”のどちらがメジャー扱いされてゆくのであろうか?
まず我々ウオッチャーの間では、依然として強く残る「大食い選手権」製固定観念の影響で、しばらくの間は“大食いメジャー志向”が優勢で推移するであろうと思われる。ただし、これから“「フードバトルクラブ」からフードファイトに触れたウオッチャー”が多数誕生するにしたがって、状況は変わりうると思われる。
フードファイト選手の間では、これはもう「フードバトルクラブ」優勢、即ち“早食い”優勢に推移する事は間違いない。出場するまでの敷居の高さや賞金の額(優勝賞金は450万円差!)から考えて、有能な選手が「フードバトルクラブ」に偏るのは必然と言えるからだ。
以上から考えると、これからは“早食い”のメジャー化、競技のスピード化が進展していくと推察できる。
フードファイト界に起こっている、起ころうとしているこれらの事、実は、とあるスポーツの約300年前の姿と、多くの面で相似している。
そのスポーツとは、競馬。そう、この「FFFハンデ」の元祖的存在の「フリーハンデ」が扱うスポーツである。
約300年前、当時イギリスで盛んになりつつあった近代競馬は、現在とは全く違うレース方式で行われていた。
そのレース方式とは、4000m以上の超長距離のレースを何度も行い、大きく遅れた馬を失格にしながら、最終的に勝った馬(若しくは1着回数の多い馬)を優勝とするもので、これを“ヒートレース”方式と言った。
ヒートレースでは、能力値の高い馬が間違いなく勝つ。だから「強い馬を選抜する」という目的は果たせられた。しかし、同じメンバー、それも能力差が既に分かっている馬たちを繰り返し走らせるので、レースそのものに妙味は無い。
よって当時の競馬は、関係者と一部のマニアだけの閉鎖的な環境に置かれていて、一般的な認識は広まっているとは言い難かった。
そんな閉鎖的な状況を憂い、一部の競馬関係者が新しい競馬のレース方式を模索した。
競馬人気が盛り上がらないのは、競技として面白くないからだ。競技として面白くないと言う事は、ヒートレースに代わる新しいレース方式を考えなければ……というわけである。
競技の面白さを引き出すためには様々な方法があるが、最も手っ取り早く効果が大きいのが、「結果やその予想を不確実にする」ということである。何が起こるか、どの馬が勝つか分からないというだけで、観る人は、いわゆる“ワクワクドキドキ感”を味わう事が出来るからである。
そういう事情の下、新しい方式のレースが実施に移された。
距離を、当時としては短距離の2400m程度に設定し、レースの回数も複数ではなく一発勝負に。こうすることによって、これまでは起こるはずの無かった波乱も起き、しかも1回のレースだけでは馬の優劣がハッキリしないので、何度も勝負を繰り返す必要が生じてくる。そうすると、何度でも最強クラスの馬による大レースが組まれるようになり、ドラマも生まれてくる。
この狙いは見事に的中し、それ以後の競馬は、ヒートレースが急速に廃れる一方で、一発勝負形式の競技が主流になっていった。
この時生まれたレースの中に、現在も残る英ダービーや、英オークスなどがあり、現在に至る、というわけである。
……お分かりだろうか? 競馬の話で言うところのヒートレースを「大食い選手権」に、ダービーのような一発勝負レースを「フードバトルクラブ」に当てはめると、理解しやすいかと思われる。
つまりは、現在のフードファイト界は、ヒートレースと一発勝負レースが混在している転換期というわけだ。
この喩えに従うと、やがてフードファイト界は「フードバトルクラブ」に牛耳られていく事になるわけだが、そこまでいくかどうかは、正直言って分からない。現在の状況(「フードバトルクラブ」に対するバッシングと、番組構成の稚拙さ等)を考えると、「フードバトルクラブ」が、競馬で言うダービーのような存在になれるかどうか分からないからだ。
その一方で、このまま行くと、ヒートレース=「大食い選手権」が下火になってゆく事は避けようがないと思われる。この事は、年始の視聴率戦争における「大食い選手権」の完敗からも分かる事だ。やはり勝敗が読める競技より、読めない競技の方が観ていて面白いのは確かだと言う事なのだろう。
という事は、である。
現在、フードファイト界は、転換期であると同時に業界全体が地盤沈下を始める危機に瀕しているとも言えるのだ。そして、この事を把握している人間は極めて少ない。
駒木が知り得る範囲で、この危機を自覚している業界関係者は、フードファイターの岸義行氏くらいである。彼は、「フードバトルクラブ」と「大食い選手権」が共倒れに終わった時のフードファイト界を憂いて、自ら第三勢力となる団体を旗揚げするに至った。その意気込みたるや素晴らしいものだが、その活動が果たして的を得たものであるかは疑問である。これはまた、後で述べよう。
「大食い選手権」時代の終焉、しかし、それに代わって天下を取ったはずの「フードバトルクラブ」の地盤が極めて脆弱。加えて、それに伍するような第三勢力の登場も望み薄。これが現状である。
この現状を打破するためにはどうすれば良いか?
手っ取り早い方法は、「フードバトルクラブ」の構成を洗練し、フードファイト界のダービーとして成長させる一方で、「大食い選手権」も、勝負の面白さにウエイトを置いたリニューアルを実行することだ。要は既存勢力の地盤強化と巻き返しである。新興勢力が登場しないという事は、ある意味で悲しい話だが、第三勢力が微弱な現在、致し方なかろう。
幸いな事に、「大食い選手権」運営サイドは現状に大きな危機感を持ち、「大食い選手権」のリニューアルにとりかかっているようだ。それが即結果に繋がるかどうかは未知数だが、中期的には良い結果に繋がるであろうと確信している。
対照的に心配なのは、運営スタッフに資質的・能力的問題のある「フードバトルクラブ」の今後である。駒木個人の希望としては、新井和響氏や岸義行氏、または赤阪尊子女史らベテラン選手が第一線を退き、運営サイドに名を連ねてもらいたいのであるが……。
こういう状況であるから、我々ウオッチャーが、フードファイト界に貢献する方法といっても、極めて手段が限定されてしまう。せいぜい、視聴率を上げるように視聴率モニターの知人に働きかけたり、番組宛に激励の手紙を送る程度であろう。それ以外には、駒木のように、インターネットで微力ながらフードファイト振興に協力するくらいしかない。
逆にやってはいけないのは、フードファイト番組そのものを批判したり妨害したりする事であろう。それは、一連の「フードバトルクラブ」バッシングも含めて、の話である。愛着のある「大食い選手権」を守りたいのは分かるが、だからと言って、「大食い選手権」の弱体化を放置したまま、「フードバトルクラブ」の存続を阻止するのはお門違いも甚だしい。それは、フードファイトウオッチャーとして有るまじき行為である。今、両番組に必要なのは叱咤激励であって、非難誹謗ではない。叱咤と非難を取り違えてはいけない。
……ここまで難しい事ばかり書いて、全く総括になっていないので、ここらへんで総括らしい事も書いておこう。
2001年は、とにかく素晴らしい人材に恵まれたビッグ・イヤーであった。2000年秋の小林尊出現まで、なかなか現れなかった新世代のフードファイターたちが、ここにきて堰を切ったように台頭し、フードファイト界は一気に盛り上がった。この事は、常識外れのパフォーマンスを示す、65ポイントを超えるハンデを獲得した選手が3名も現れた事でも分かるだろう。
そして、2002年シーズンの開幕戦である「大食い選手権」地方予選から、既に続々とニュースターが現れ始めている。近畿地区予選で優勝した山本卓弥選手は、予選決勝で新人離れしたパフォーマンスを見せ付け、暫定ハンデ62を獲得した。一部地区予選では大きな不手際があったとの情報も得ているが、大半の地区からは、山本卓弥選手のような新たなるタレントが出現していることであろう。
ところで、今回の「FFFハンデ」では、「フードバトルクラブ」と「大食い選手権」をハンデ対象競技会として採用し、記録の信用性に欠けるバラエティー系番組の企画や、チェック不能なローカル番組、さらに地方での非TV系競技会は対象外とした。
これは、駒木一個人で、事実上全ての作業をこなさなくてはいけない物理的事情によるものが大きいが、地方競技会に関しては、競技の状況が分からないという他に、競技会全体のレヴェルが低いということが挙げられる。
ただし、そんな中で、駒木が非TV系競技会の中で、唯一採用する意向を持っていた競技会があった。
それは、先に挙げた、岸義行氏が主宰する“日本大食い協会”なる任意団体が開催した、「全日本大食い競技選手権」であった。
この競技会は、今回の「FFFハンデ」でベスト10にランクインした選手の過半数が出場しているという、言わば史上最大の非公式戦である。また、ハンデ対象競技会の少ない大食い60分カテゴリにあてはまる競技会であるため、ハンデ制定用資料としての価値も大きい。
しかし、この競技会をハンデ対象競技会として採用するにあたって、最後までクリアできない問題が存在した。
まず、この競技会は、日本大食い協会から販売されているビデオを観ないと、その模様を知る事が出来ない。しかし、これはまぁ良い。問題は別のところにある。
問題は、このビデオの販売本数を増やすために、競技会の結果を完全非公開にしている事である。駒木は幸いにも、高橋信也選手のウェブサイト内のコンテンツ(現在は削除)でおおまかな模様と順位を知る事が出来たが、その結果を今、ここで書くことさえ出来ない。正確には、しても良いのだろうが、それをすると、恐らく日本大食い協会サイドから削除要請が来るであろう。
「FFFハンデ」を観てもらえれば分かるように、ハンデ値と順位は、ハンデ対象競技会での順位が大きく反映される。もし、「全日本大食い競技選手権」をハンデ対象にすると、間接的にこの競技会の順位を公開してしまう事になるだろう。そして、「このハンデはどういう根拠からですか?」と訊かれた時も回答出来ない。これでは、とてもハンデ対象競技会には採用できないのである。
競技会ビデオの売上は、協会の運動資金、つまりフードファイト振興に使われるわけで、売上を伸ばそうとする考え自体は間違ってはいない。しかし、やり方は大きな過ちを犯しているとしか言えない。
競技会を開催して、利益をあげようと思ったなら、まず競技会を一般公開するべきである。観客席を設置し、入場料を徴収する。それは100円だろうが500円だろうが、数千円だろうが構わない。適正価格を判断して、設定すればいいことだ。
その上で、競技結果を詳しくレポートし、マスコミ媒体やインターネットで公開する。もしも、その競技会がエキサイティングで興味を引くものであれば、必ず「ビデオは販売しないんですか?」という反応があるはずだ。その上で、予約を取ってビデオを作製し、販売すればよい。レポートの反応が悪ければ、どうやったってビデオは売れない。経費の無駄遣いになる前に止めるべきだ。そうなった時は、運営サイドの失敗なのだから、責任を自身で取るほかは無い。
ビデオの内容詳細を隠し、ましてや「隠した方が、観たがる人が多いだろうから」などと考える事自体が極めて不謹慎である。これでは雑誌広告にある、怪しげな通販商品と何ら変わるところが無い。
……有料観客制、レポート公開後に反応を見てからの通販──
協会サイドにしてみれば、どう思うだろう? 難しい事ばかりだろうか?
しかし、2つのテレビ局に次ぐ第三勢力になろうとするのなら、これくらいのハードルを越えなければ到底無理な話だし、弱小団体で良いというのなら、時間と労力の無駄だ。やらない方がまだマシである。
フードファイト界を、選手の立場から牽引していくという姿勢は素晴らしいのだから、その中身を充実させていってもらいたいと思う。
最後はまた脱線してしまった。総括としては失格の文章かもしれない。しかし、駒木のフードファイトに対する真摯な思いだけでも伝える事が出来れば幸いである。
……長々と失礼しました。講義時間もオーバーしてますし、ここで終わりたいと思います。
次回の文化人類学講義は、春の大食い特番直前のレビューになると思います。お楽しみに。
それでは、ご清聴ありがとうございました(この項終わり) |